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「11万被災市民のため」AIで年間数億円の効果を狙う熊本市、次の5年で何をする?イベントレポートアーカイブ(1/4 ページ)

 4月3日、熊本市は、「クラウドソリューションを活用した働き方改革基盤構築プロジェクト」のスタートを宣言した。5年間の長期プロジェクトであり、自治体として最大規模の「働き方改革」への取り組みとなる。その背景と内実を取材した。

» 2018年04月12日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

 4月3日、熊本市は、「クラウドソリューションを活用した働き方改革基盤構築プロジェクト」のスタートを宣言した。5年間の長期プロジェクトであり、自治体として最大規模の「働き方改革」への取り組みとなる。その背景と内実を取材した。

きっかけは「11万被災市民をどう守るか」

 2016年の熊本地震により11万人の被災者と熊本城一部倒壊をはじめとする大きな物的損害を生じた熊本市。それから2年近くたった現在もまだ復興の途上にある。その、復興途上の熊本市が、単なる復興、復旧ではなく、年間数億円規模の業務効率化とコスト削減を目指した大規模な働き方改革基盤を構築するという。

 復興を加速するために同市はICT基盤を一斉にクラウドベースに移行し、市役所の業務効率改善と、同市職員および市内136校(小中高)教職員の合計1万2500人の働き方改革を推進する計画を示した。この計画では「Microsoft 365」を前提に、市職員や教職員向けに共通のプラットフォームで情報共有インフラを構築するというもの。

 被災者支援や災害復興といった行政業務の業務効率化や情報共有、交換の円滑化を図るとともに、懸案だった教職員の時間外労働の軽減をはじめとする働き方改革をさらに前進させる考えだ。

 地方自治体としては非常に意欲的な取り組みだが、そのきっかけには切実な課題があった。以降ではその経緯を見ていく。

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