そこで実際に、導入済みの人事管理システムについて導入形態を聞いたところ「自社開発」と「ERPパッケージの機能」が同率で32.8%となり、次に「人事管理専用のSaaS」13.4%、「クラウドERPの機能(SaaS)」11.2%とSaaS型人事管理サービスの利用が続く結果となった(図2)。
この結果を2017年5月の同調査結果(記事1(PID: 30009548)、記事2(30009549))と比較すると、「自社開発」が8.4ポイント減少した代わりに、「ERPパッケージの機能」が6.4ポイント増加。SaaS型人事管理サービスについては「人事管理専用のSaaS」が1.3ポイント、「クラウドERPの機能(SaaS)」が4.6%ポイントと合計5.9ポイント増加していた。前述したような働き方改革の実施やそれに伴う業務効率化などのニーズから、財務会計などの企業運営に関わるリソースを統合的に管理するERPの機能として人事管理システムを、またはSaaSを選択するケースが増えているようだ。
リプレース検討企業の増加傾向が見られた人事管理システムについて、最後に「現在利用している人事管理システムの満足度」を聞いた。その結果「とても満足」が3.0%、「まあ満足」が32.1%、「どちらでもない」47.0%、「やや不満」が11.2%、「とても不満」が6.7%となり、まとめると全体では「満足」が35.1%、「不満」が17.9%、「どちらでもない」が47.0%となった(図3)。2017年の同調査と比較すると「満足」が6.7ポイント減少した代わりに、「どちらでもない」が4.1ポイント、「不満」が2.6ポイントとそれぞれ増加。中でも「とても不満」と回答した割合は2.9ポイントも増加していた。
「不満」と回答したグループでは中小企業から大企業まで従業員規模によって偏りはなく、「動作が遅い」「操作性が悪い」「入力項目などが複数のシステムで重複しておりデータ連携に手間がかる」といった声が挙げられていた。IT予算が限られる中で使い勝手や速度の安定性を多少犠牲にしているケースも少なくないようで、それが不満の一因となっているが推察できる。
また「どちらでもない」や「やや満足」と回答しているグループにおいても、一部否定的な意見が挙げられていた。100〜1000人の中堅企業では「自社開発のためメンテナンスに課題がある。機能が限定的である」や「使用している機能が限定的なのに費用が高い」といった費用対効果への不満に、「兼務者の給与計算に対応できない」や「時短勤務などの最近の就労形態を踏まえた給与計算に対応していない」といった多様な働き方に対応ができていないことへの不満などが挙がっていた。1001人以上で年商規模500億以上の大企業においても「勤怠管理が主で人材の発掘や活用に至っていない」「使いにくい」「不便は感じないが優れているとも思えない」などの声が寄せられており、全体的に人事管理システムへの不満の声が目立つ結果となった。
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