以降では、実際にクラウドERPを選定する際、どのような点に着目して比較検討すればいいのか、主だったポイントを幾つか挙げてみたい。
IaaS環境へのリフト&シフトを考えている場合は、現在オンプレミス環境で利用しているERPパッケージがクラウド環境上での動作をサポートしているか、また実績があるかどうかについてあらかじめ調べる必要がある。ベンダーのサポートはもちろん、アドオン開発など製品に手を加えている場合は、その部分の動作もあらかじめ検証する必要がある。
クラウドERPに移行する場合は、オンプレミス環境からのリプレースという形になるが、ベンダーによっては自社アプリケーションからの移行パスを用意している製品もある。例えばオラクルでは、同社のERPパッケージ製品「Oracle EBS」のパラメータを、SaaS型のクラウドERP「Oracle ERP Cloud」用に自動変換するツールを提供している。
このようなツールや、ベンダーによるサポートサービスの有無によって、移行プロジェクトの難易度にも大きな差が出てくるため、この点も1つの判断材料にして製品を選定するのも手だ。
一部の企業では、ERP全体を一度にクラウドへ移行するケースもあるだろうが、多くの企業は予算や移行リスクを勘案しながら、ハードウェアやソフトウェアの保守切れを迎えたシステムから順番に移行を検討することになるだろう。
また複数のERPモジュールを導入している場合、経理や人事などの汎用的なモジュールはクラウドに移行しやすいが、販売管理や原価管理などは企業によって計算方法や管理方法が異なるため、大幅にパッケージをカスタマイズする企業も多く、クラウドERPの基本機能だけでは要件を満たすのは難しい。
その場合には、機能モジュールごとに個別導入できるアーキテクチャを備えた製品が適している。例えば、オロが提供する中堅・中小企業向けの「ZAC Enterprise」は、SaaS型ERP製品でありながら機能モジュール単位での導入が可能である。要件やニーズによって機能モジュールを組み合わせることで、自社にとって最適な形での導入が可能だ(図1)。また、常にユーザーから挙がる機能追加の要望をくみ取り、基本システムに反映している。絶えず機能が追加されるため、実装する機能も充実し、顧客からのカスタマイズ要望も年々減っているという(図2)。
一部の企業では、ERP全体を一度にクラウドへ移行するケースもあるだろうが、多くの企業は予算や移行リスクを勘案しながら、ハードウェアやソフトウェアの保守切れを迎えたシステムから順番に移行を検討することになるだろう。
また複数のERPモジュールを導入している場合、経理や人事などの汎用的なモジュールはクラウドに移行しやすいが、販売管理や原価管理などは企業によって計算方法や管理方法が異なるため、大幅にパッケージをカスタマイズする企業も多く、クラウドERPの基本機能だけでは要件を満たすのは難しい。
その場合には、機能モジュールごとに個別導入できるアーキテクチャを備えた製品が適している。例えば、オロが提供する中堅・中小企業向けの「ZAC Enterprise」は、SaaS型ERP製品でありながら機能モジュール単位での導入が可能である。要件やニーズによって機能モジュールを組み合わせることで、自社にとって最適な形での導入が可能だ(図1)。また、常にユーザーから挙がる機能追加の要望をくみ取り、基本システムに反映している。絶えず機能が追加されるため、実装する機能も充実し、顧客からのカスタマイズ要望も年々減っているという(図2)。
クラウドERPのメリットを享受するには、アドオン開発をできるだけ抑えた方が望ましいことは既に述べた通りだが、どうしてもアプリケーションの標準機能で要件を満たせない場合は、アドオン開発を検討する必要がある。
ただしその場合も、ERPのアプリケーション本体に手を加えるのではなく、モジュール単位で機能を追加する。アプリケーションとAPIで連携する「マイクロアーキテクチャ」の構成をとることで、後々のバージョンアップもスムーズに運ぶはずだ。
このような構成をとるためには、まずクラウドERP側にAPI連携できるインタフェースが用意されていることが前提となるため、この点はぜひ確認しておきたい。加えて、アドオンの開発環境にも目を向けたい。例えばオラクルのように、JavaやOracle Databaseをクラウド利用しながらアドオン開発を容易に行えるPaaS環境を提供している場合は、よりスムーズにアドオン開発を進められる(図3)。アドオン開発の発生が想定される場合は、開発環境もぜひ選定ポイントの一つに挙げておきたい。
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