企業の情報資産を災害から守るために有効なデータセンター。今回は外部のデータセンターサービスに関するユーザー調査を大公開!
吉井 誠一郎(Seiichiro Yoshii):IDC Japan シニアマーケットアナリスト
国内ITサービス市場およびBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)などのビジネスサービス市場を担当。市場の全体動向や主要ベンダーの海外進出戦略、ユーザー動向などの調査・分析を行う。IDC Japan入社前は、外資系/国内のベンダーおよびユーザー企業にて、オフショアを含むグローバルプロジェクトのプロジェクトマネージャーを長年にわたり務めた。他に営業、データモデリングによる業務分析、グローバル・アライアンスなど、IT業界にて20年以上の経験を有する。
地震や台風など多くの災害に見舞われている日本において、企業の情報資産における災害対策が注目されつつあるが、その要となるのが防災性能に優れたファシリティを持つデータセンターだろう。今回は、ホスティングやコロケーション、そしてIaaSを中心としたクラウドサービスなど、外部のデータセンターサービスに関するユーザー調査から、企業におけるデータセンターのニーズについて解説しよう。
データセンター事業者が提供するサービスは、ホスティングやハウジングといった基盤提供のみならず、IT運用サービスやバックアップ対策としてのディザスタリカバリーサービス、ストレージサービスといった、目的別のサービスも数多く提供している。そんなデータセンター事業者が提供するサービスの中でも、ホスティングやハウジング、そしてクラウドサービスにおけるIaaS領域など、インフラを中心とした外部データセンターサービスにフォーカスをあて、ユーザー調査の結果からデータセンター利用実態について明らかにしていきたい。
今回の調査においては、外部データセンターサービスの利用者はここ数年拡大傾向を続けており、中小企業から大企業まで規模にかかわらず、利用経験があると回答している企業は増えている。ただし、2018年が特別に伸びているわけではないため、ある意味その傾向は変化していない状況にあるといえる。
それでも、利用経験も利用予定もない企業が中小企業では4割、大企業であっても1割を超えており、今なお新規開拓の余地は残されていると考えられる。
データセンター事業者側の視点は今回の調査対象外となっているが、現在でも国内事業者データセンターの延床面積は拡大傾向にあり、堅調なビジネスとなっている状況にあるのは間違いないだろう。なかでも話題になってくると思われるのが、データセンターの老朽化やキャパシティー不足への対策だろう。実際、すでに建て替え需要が出てきているが、これは利用者からすると既存のデータセンターから別のセンターへ切り替えるきっかけの契機となる可能性がある。ただし、新たな設備が入ることでラックあたりの集積度はおそらく高くなり、空調など各種設備も新しいものになる。当然長く利用すればコスト押し下げ圧力もかけやすくなるため、ユーザーにとってのメリットは決して小さくはない。いずれにせよ、新たな環境への展開が今後さらに発生することが予想されるため、その動きについても注目しておきたい。
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