キーマンズネットが行った読者調査によると、今後、ワークフローツールを導入する企業は減少傾向にあることが明らかになった。その理由は?
キーマンズネットは2018年12月20日〜2019年1月17日にわたり「ワークフローツールの導入状況」に関する調査を実施した。全回答者数305人のうち、情報システム部門が46.2%、製造・生産部門が13.4%、経営者・経営企画部門が5.3%、営業・販売部門が5.2%といった内訳であった。
今回はワークフローツールの「導入形態」や「連携して使用しているツール」「連携したいと検討中のツール」などの調査結果を見ていく。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。
前編はワークフローツールの導入率や導入目的などから導入状況を紹介した。中でも特に注目したのが導入率が71.1%あり、そのうち約2割だけがリプレース検討者という点だ。
前編ではその理由を探るべくツール導入者の不満の声からその理由を深堀したが、後編はそこで多く聞かれた「他システムとの連携が少ない、できていない」といった声に着目し、その実態や今後の展開について考えていきたい。
実際ワークフローツールを導入している企業で、他ツールとの連携はどのくらい進んでいるのだろうか。連携有無について聞いたところ「連携して利用している」は60.4%と過半数に上っていた。連携しているツールについては「グループウェア」が51.6%と最も多く、次いで「電子帳票」26.7%、「ERP」23.5%、「DB」19.8%、「文書管理」17.5%と続いた。
関連して今後連携を検討中のツールについて聞いたところ、ここでも「グループウェア」が61.9%と過半数を占める結果となった。一方で導入済みでは5位であった「文書管理」が52.4%と2位に上がり、次いで「電子帳票」35.7%、「ERP」16.7%と続いた(図1)。
導入済みでも導入予定でもグループウェアとの連携を望む声が多かった。情報共有やコミュニケーションツールとして従業員の利用頻度が高いグループウェアと連携することで、申請・承認などの電子化した業務手続きをより迅速に確実に対応できるなど、業務効率化のイメージがつきやすいことも理由の1つになっていそうだ。
それではどのような形態でグループウェアとの連携をしているのか、または望んでいるのだろうか。そこで、調査では、現在の導入状況と今度導入/リプレース予定のツールの利用形態を尋ねた。
導入済みでは「ワークフローパッケージ(ソフトウェア)」が35.5%、「グループウェアの一機能として」が23.0%、「ワークフローパッケージ(ASP・SaaS)」が21.2%、「自社開発」が20.3%と続いた。約4割が専用パッケージを導入している以外、グループウェアの一機能を活用しているケース、ASP・SaaSの利用、自社開発などは2割ずつと横一線であった(図2-1)。
他方、今後の導入予定を尋ねたところ、「グループウェアの一機能として」が最も高く30.7%。次いで「ワークフローパッケージ(ソフトウェア)」が26.7%、「ワークフローパッケージ(ASP・SaaS)」が16.0%、「文書管理ツールの一機能として」12.0%と、「自社開発」の割合が大きく減る代わりにグループウェアや文書管理ツールの一機能を活用し統合化を望む意向が高かった(図2-2)。
導入予定者を中心に「ワークフローを他ツールと統合したい」という声が大きくなった背景には何があるのだろうか。前編でも触れたが導入者の「不満の声」から考察していこう。
まずは「シングルサインオンを実装していない」「上司が忙しいことを理由に申請を見ないことが多々あり、業務が滞る」といった不満の声が挙げられる。
せっかくワークフローツールを導入したものの、承認者がアクセスしにくい環境のために、かえって処理が滞っている状況が推察できる。
このような課題に対して、例えばスケジューラーや会議室予約などの機能を備え、従業員の利用頻度が高いグループウェアと連携したり、あるいはグループウェアが備えるワークフローツール機能を利用すれば、課題を解消できる可能性がある。
この他、「社外からのアクセスが難しい」「外出先で使用できない」といった不満も多く挙げられた。
このような課題に対しては、“働き方改革”の一環として、ASP/SaaS型ツールを利用したり、SaaS型アプリケーションの機能を利用する方法に置き換えることで対応できる。
これらのニーズを踏まえると、次期製品導入で「グループウェアの一機能として」を選ぶ企業が最多となったことも理解しやすい。
このようにワークフローツール自体の有用性は十分に感じているものの、働き方改革などを背景に変わりゆく業務体系や運用に、ツール自体も合わせていかなくてはならないタイミングに来ているのではないだろうか。このような背景から必要に駆られて他ツールと連携を望む声が噴出してきているものと考えられそうだ。
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