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「Windows 95」大インストール大会がこんな形でよみがえるなんて:506th Lap金曜Black★ピット

むかしむかし、PCにOSをインストールするだけのイベントが成立する時代があったそうな。それが、いま再び形を変えて人気に。インストールしなくても良い時代に、私たちは、なぜこんなにもインストールしたいのでしょうか。

» 2019年03月22日 08時00分 公開
[キーマンズネット]

 30年続いた「平成」が間もなく終わる。平成時代の出来事を振り返るTV番組なども少なくないが、そのトピックの1つとして定番になっているのが「Windows 95発売日、深夜の大行列!」という映像だ。1995年11月23日0時(つまり日付が変わったばかりの深夜だ)に、秋葉原をはじめとして全国の家電量販店などで、発売されたWindows 95を買い求めるユーザーが大挙して押し掛けたのだ。

 ここ最近のスマホ世代の若者にはなかなか理解できないかもしれないが、「Windows 95」発売当時は、自分でOSのパッケージを購入して自前のPCに自力でインストールするのが当たり前の常識だったのだ。だからこそ皆こぞって解禁日の深夜に並んで購入し「即日インストールだ!」と鼻息も荒かったわけだ。ちなみに1995年の11月23日は勤労感謝の日で休日だった。

 いやあ懐かしい、と大混雑の“アキバ”(当時の秋葉原電気街)の映像を目を細めて眺める人も少なくないだろう。しかしあれから20数年、まさに平成が終わろうとする今、Windows 95をPCにインストールし、その速度を競うというチャレンジが話題になっているというではないか。まさかそんな、フェイクニュースでしょ? と思いきや──?

 しかしこれ、本当のことなのである。ルールとしては「Windows 95 OSR2」のインストールCD-ROMもしくはフロッピーディスク(!)のデータを使ってインストール作業を行い、そのスタートから終了までの時間を競うというのが基本ルールだ。

 経験者なら分かるだろうが、Windows 95はシリアルナンバーを入力したり、各種オプションを指定したりといろいろとインストール中の操作が多い。放っておいてインストールが終わるような類いの作業ではない。

 タイムアタックにチャレンジする場合、現時点ではキー入力に何らかのツールを使うことは許されていない。全てチャレンジャーが手作業でこなす必要がある。

 ただし、ハードウェアの制限はないため、多くのチャレンジャーは仮想マシンを使ってインストールを行う。チャレンジの際には仮想マシンの余分な周辺機器などをそぎ落としてからインストールを開始することが許されている。また、インストールデータのイメージ化もOKだ。

 ハック系メディア「Hackaday」が2019年3月9日に報じたところによると、そのWindows 95スピードインストールチャレンジにおいて新記録が誕生したという。そのタイムが、なんと「1分10秒9」だというではないか!

 その模様はRedsというアカウントを持つ人物が動画(YouTube)で公開している。素早すぎて一見すると何をどう操作しているのか分からないほど。……いや、いろいろな不具合やらやむを得ぬ事情からWindows 95のインストール作業を何度も繰り返した人なら分かるだろう。ぜひ一度見ていただきたいものだ。それにしても速い……。

 Hackadayによれば「Windows 95インストールタイムアタック」が流行しはじめた理由は、「ゲームのスピードラン」に挑戦してきた人たちが“新カテゴリー”として興味を持ち始めたからだという。「TA(タイムアタック)」とか「RTA(リアルタイムアタック)」とも呼ばれるそのプレイは、特定のゲームタイトルをどれだけ短時間でエンディングまで進められるかを競う。

 最新のゲームタイトルはもちろんだが、例えば33年前に発売された「スーパーマリオブラザーズ」もスピードランの対象になっていて、いまだに多くのプレイヤーによって攻略され続けている。本稿執筆時点で「スーパーマリオブラザーズ」の最短記録は「4分55秒913」、2018年9月27日に達成された記録だそうだ。

 閑話休題。余談はともかくとして、そういうタイムアタック競技の1つとして、今まさにWindows 95インストールに熱い視線が注がれているわけだ。先に触れた通り、今のところWindows 95インストールについては「手作業で」ということになっているが、ゲームのタイムアタックにツールを使ったり、「バグの利用可」だったりする部門もあるので、いずれ何らかの補助手段を使ったチャレンジも容認されるのでは、とHackadayは解説している。仮想環境でない、リアルなハードウェアへのインストールアタックも競技として成立するかもしれないという。

 平成が終わる、というのは海外の人にはほぼ全く関係のない話ではあるが、ちょうどそんなタイミングで、平成を語るに欠かせないWindows 95が世界で再び注目されているというのは偶然とはいえ面白いものだ。いずれタイムアタックの流行は日本へも波及してくることだろう。新元号を迎えたぐらいに、世界記録を達成した日本人が登場したらさらに面白いかもしれないな。


上司X

上司X: まさかの「Windows 95」がここに来て注目されているという話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: Windows 95のインストール作業をタイムアタックの競技にしちゃったってことですか。なんとも斬新な。


上司X

上司X: また“懐古厨”認定されてしまうかもしれないが、Windows 95はCD-ROM版とフロッピーディスク(FD)版があってだな……。FDの枚数たるや20枚。プラスドライバーディスクが3枚だったかな? それを順繰りに読み込んでインストールを進めたもんだ。いやあ、懐かしい。


ブラックピット

ブラックピット: 残念ながら僕はOSをFDでインストールした記憶はないですね……。


上司X

上司X: まあ、それはいいとして、だ(笑)。ともかく1分10秒チョイでWindows 95のインストールが完了するっていうのは、当時を知る者にとってはまさに脅威でしかないハズだ。


ブラックピット

ブラックピット: そういうものですかねえ。僕は初代スーパーマリオの記録の方が気になるっちゃ気になりますけど。いまさらWindows 95のインストールなんて……。


上司X

上司X: いやいや、言ってみればWindows 95のインストール作業がスーパーマリオの“やりこみ”と同等の扱いになりつつある、ってことじゃないかな。これもまた驚異的な話だ。


ブラックピット

ブラックピット: それにしてもWindows 95のインストールイメージのデータなんて、どこで手に入れたらいいんですかね? 当然ですが持ってませんけど? あー、スピードラン、挑戦したいなー(棒)


上司X

上司X: あ? 俺は持っているぞ。というのは置いておいてタイムチャレンジの詳細はHackadayにまとめられているようだから、そこから参照してみればいいんじゃないか? やる気があれば、の話だけどな。よっしゃ俺も昔取った杵柄(きねづか)、チャレンジしてみるか! ……まあ時間があったらの話だけどな(笑)。


川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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