勤怠管理の厳格化が求められるとはいえ、今まで使っていた紙のタイムカードシステムの乗り換え先はどこにすれればいいのでしょう? 今回は乗り換え先として考えられる3つの方法と主要なツールの特徴をまとめて紹介します。
紙のタイムカードを使った勤怠管理は依然として一般的ですが、近年では勤怠管理システムに移行する事業者も増えてきています。以前に比べ導入のコストが下がっていることや、紙のタイムカードではできなかったことができることがその要因です。さらに昨今では、労働時間管理の適正化が求められる働き方改革関連法の施行も、従来の勤怠管理を見直すきっかけとなっています。
しかし、勤怠管理システムの導入を検討しているものの「実際にどのようなシステムがあるのか」といった選択肢の情報をあまりご存じない方も多いと思います。個別の情報はあっても、並列に比較検討するのが難しいこともあります。そこで、本稿では勤怠管理システムを3つの製品カテゴリーに分類し、「紙のタイムカードとの違い」および「それぞれの特徴」を紹介します。
紙のタイムカードに代わる勤怠管理システムには3つの種類が考えられます。
以下、それぞれのカテゴリーがどのようなもので、紙のタイムカードとどのように違うのかを解説していきます。
3つの製品カテゴリー全てに共通する「紙のタイムカードとの違い」は一体何でしょうか? 従業員の勤怠を管理するという基本的な機能に変わりはありません。
根本的な違いは、当たり前に思うかも知れませんが、どのカテゴリーの製品も「タイムカードを用いないこと」です。毎月のタイムカードの配備や使用後のタイムカードの保管といった業務が不要になります。タイムカードの購入費用が抑えられますし、物理的な「紙」を紛失するリスクもなくなります。
もう一つの大きな違いは、勤怠の記録をデータとして残せることです。これにより、勤怠データを物理的に保管する必要がなくなります。また、製品によってはかなり高度な集計機能がついていたり、給与ソフトなどとの連携機能がついているものも存在します。
ここまでは3つに共通した特長ですが、実際には上記の選択肢にはそれぞれ長所と短所を持ち合わせています。
タイムレコーダーには、打刻に紙のタイムカード以外を用いる製品が幾つか存在します。こうした製品は幾つか挙げられますが、実用性や実績の面で一般的といえるものはそう多くありません。今回は、紙以外のタイムレコーダーの製品例として、アマノの「TimeP@CK iC」を取り上げます。
TimeP@CK iCは、打刻にICカードを用いるタイプのタイムレコーダーです。社員証や交通機関の定期券にICカードが使われてることは少なくありません。TimeP@CK iCではこれを打刻用カードとして流用することができます。
付属ソフトウェアの「サッと勤怠with」を使えば、TimeP@CKで記録した勤怠データを、PC上で閲覧したり編集や集計したりできることも大きな特徴です。
タイムレコーダーアプリは、タブレット端末にインストールして利用するアプリで、タイムレコーダーの機能を持ったものを指します。
タブレット端末にインストールするので、打刻や勤怠データの閲覧、編集や出力もタブレット端末の画面からできます。
既にタブレット端末で「レジアプリ」や「予約管理アプリ」などを使用している場合は、そのタブレットを打刻用にも流用でき、経済的です。
「(1)紙のタイムカード以外の記録方法を採用したタイムレコーダー」と同様に、このカテゴリーも、一般的な製品はまだ多くありません。今回は、ネオレックスの「タブレット タイムレコーダー」を例に見ていきます。
タブレット タイムレコーダーは休憩や残業などの基本的な集計機能に加えて、打刻ミスや休日の登録ミスなどにアラートを出す機能が付いています。管理者は月末の集計を待たずにすぐにデータの確認をスムーズに行えますから、抜けもれのない管理をしやすくなります。
タブレット タイムレコーダーはこの他にも独自の機能を数多く搭載しています。例えば、出勤/退勤をメールで通知する機能、同僚にビデオメッセージを送る機能、打刻時の調子を記録する「ハワユー」などです。
クラウド勤怠管理システムとは、勤怠データをインターネット上で管理するタイプのシステムです。
クラウド勤怠管理システムの大きな特徴は、勤怠データがインターネット上にあるため、複数拠点の管理が月の途中でもリアルタイムにできることです。
製品によっては高度な集計機能や給与ソフトとの連携機能が付いていたり、残業時間超過などのアラートが出せるものもあります。
紙のタイムカード以外を用いるタイムレコーダーや、タブレットにインストールするタイムレコーダーアプリには、あまり選択肢がありませんでしたが、クラウド勤怠管理システムにはたくさんの選択肢があります。中でも代表的なものとしては以下の製品が挙げられるでしょう。
なお、ほとんどのクラウド勤怠管理システムは、主に100人未満の事業者で利用されており、小規模から中規模向けに最適化されています。
ただし、中には3000人以上の大規模な組織に特化したサービスもあります。例えば「ネオレックス バイバイタイムカード」は、クラウド勤怠管理のメリットは残しつつ、企業ごとのカスタマイズに対応することから、3000人以上の大規模事業者向けを前提としており、大企業での導入実績を多数持っています。
以上、紙のタイムカードに代わる勤怠管理システムの3つのカテゴリーを紹介しました。
次回はより具体的に、どのような事業所にはどの製品カテゴリーが適しているか、また各カテゴリーの中からどのような観点で製品を選べばいいか解説します。
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