それではなぜ、業務に必要なデータを必要なタイミングで不自由なく利用することができないのだろうか。「利用できていない」と回答した方に対しその理由を聞いたところ「必要なデータを集めていない」58.7%、「データを操作する権限がない」42.9%、「必要なデータが分からない」30.2%、「データを扱うスキルがない」19.0%と続き、その他の声としては「データが整理されておらず、そのままでは使えない」「社外からのデータアクセスに制限がある」「ビッグデータの扱いが制限されており異なる事業間で有効活用できない」などが挙げられた(図2-1)。この結果からデータの利活用ができていない企業の約6割で、業務上必要なデータ自体が取得できていない現状であることが分かる。
関連してデータ活用におけるシステム面での課題について聞いたところ「情報基盤が整備できていない(情報の統合ができていない)」が33.5%、「アクセス権限の整備に課題がある」33.0%などが上位に挙がり、おおよそ前述したデータの利活用ができていない方の理由と一致する結果となった(図2-2)。データの利活用ができていない企業では、活用を前提としたデータの収集・整理から始める必要があるようだ。
業務でのデータ利活用に向けてまずはデータを取得すること――このニーズはデータ利活用の必要性が中小企業にまで広がってきていることなども背景に予想以上に拡大しているようだ。
それを裏付けるように、データ活用に関して今後取り組みたい事項をフリーコメントで尋ねたところ「生産現場でのデータ活用が望まれているが必要なデータそのものが現場で取り込めていないことが多く、スタート地点になかなか立てていない」「工場設備のセンシングデータを収集したい」といった特定分野のデータ活用を望むものの収集環境の整備に至っておらず対応を望む声が多く挙がっていた。
他にも「データ活用の前にもっと早期にデータを収集できるようにしたい」「いまさらではあるが顧客データの全社共有がしたい」など全社的な情報基盤の構築を求める声も少なくなかった。
もちろん既に、分析ツールを導入しデータの利活用を進めている企業もある。具体的に実施施策を聞いたところ1001人以上の大企業を中心に「データ分析ツールの導入」「データ分析スキルの標準化(教育・研修)」「データ分析部署の整備」などツール導入や専門部署の設置などによって収集したデータの分析を推進する企業も一定数存在する(図3)。しかし全体的にはまだまだデータの"利活用"ではなくデータの“可視化”や“分析”にとどまるのが現状と言えそうだ。
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