テレワークで利用者が急増しているWeb会議ツールで、他人の顔に簡単になりすますツールが登場した。どのようなものなのだろうか。
連日のWeb会議で画面越しに見る同僚の顔に慣れてきた人も多いだろう。一部のWeb会議ツールでは、画像の合成によって背景を変更することが可能だ。最近では、AI(人工知能)を活用して人物画像を合成することで、自分の顔を全くの別人にして会議に参加できるという。思わぬセキュリティリスクも潜む技術だが、いったいどういうものなのか──?
人物画像を合成する技術は「ディープフェイク」と呼ばれている。Web会議でディープフェイクを利用できるツールが「Avatarify」だ。
Avatarifyを使えば、Webカメラで撮影した自分の顔部分をリアルタイムで他人の顔に変更できる。自分が表情を動かせば、合成した顔も同じように動く。他人になりすました状態で違和感なくWeb会議に参加できるということだ。
Avatarifyについては2020年4月16日、テック系メディアVICEが報じた。記事によると、プログラマーのアリ・アリエフ氏がこのAvatarifyを開発し、GitHubにオープンソースで公開しているという。
Avatarifyには、オープンソースで公開されている「First Order Motion Model for Image Animation」というコードが利用されている。一般的なディープフェイクは、任意の表情に動く偽の人物モデルを作成するためには、複数枚の人物画像を用意し学習させる必要がある。しかし、同コードを使っているAvatarifyはトレーニングの必要なく、リアルタイムで他人の顔をコピーできる。
当然、音声までは変更できないが、映像ソースのある人物であれば誰にでもなりすますことが可能だ。現時点では「Zoom」、「Slack」、「Skype」など主要なWeb会議ツールに対応しており、若干のプログラミング知識があれば容易に使用可能という。ただ、モデルの作成にはゲーミングPC並みのマシンパワーが必要だ。開発者のアリエフ氏は、近いうちにノートPCでも快適に動作できるよう計画しているという。
誰もが知る有名人の顔に扮してWeb会議に友人が参加してきたら、楽しい会議となるだろう。その一方で、悪意のある第三者がアカウントを乗っ取り、本人になりますして社内会議に潜入するなどのリスクも懸念されている。
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上司X: ディープフェイクで顔を偽ってWeb会議に参加できる「Avatarify」というツールの話だよ。
ブラックピット: 連日のWeb会議、そして昼休みの今もこうして呼び出され……。正直飽きてきたのでAvatarifyに興味津々です。
上司X: おや、キミも使ってみるか?
ブラックピット: どちらかというと、使っていただきたいですね……。
上司X: 俺が使えと?
ブラックピット: もうすっかり見飽きたので。たまには音声のみの参加でいいのに、毎回顔出ししてくれなくていいんですよ。
上司X: 上司になかなかひどいことを言ってくれるじゃないか。
ブラックピット: ただの軽口ですよ。それにしても、使ってみたいですね。
上司X: 確かにもう在宅とWeb会議にも飽き飽きだな。キミと話すぐらいなら他人になってみてもいいかもしれないな。さすがにオフィシャルな会議では使いにくいだろうし。いつまでこの状況が続くかは分からないから、少しは楽しんでもいいな。
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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