メディア

開発ノウハウ無償共有で加速する、RPA市民開発の未来

» 2020年10月05日 10時00分 公開
[元廣妙子RPA BANK]

2021年9月13日、RPA BANK はキーマンズネットに移管いたしました。
移管に関する FAQ やお問い合わせは RPA BANKをご利用いただいていた方へのお知らせ をご覧ください。

RPA BANK

日商エレクトロニクスはこの夏、これまで社内開発で活用してきたBlue Prismのテンプレートや部品などを無償配布することにしました。 ユーザー間での開発ノウハウ共有が進むことで加速していくRPA市民開発について、Blue Prism社と共にご説明します。

■記事内目次

  • 開発ノウハウの無償公開について
  • 日本のRPAは幻滅期?
  • ノウハウやアセット共有をするメリットについて
  • 公開するノウハウの事例
  • Blue Prismとは
  • Blue Prism DXについて
  • デジタルワーカーとデジタルタレントの違い

登壇者

日商エレクトロニクス株式会社 DX第二事業本部 デジタルレイバーコンサルタント 鈴木 秀英 氏
Blue Prism株式会社 イノベーションセンター エバンジェリスト 市川 義規 氏

開発ノウハウの無償公開について

鈴木 秀英 氏(日商エレクトロニクス株式会社 DX第二事業本部 デジタルレイバーコンサルタント): こんにちは。日商エレクトロニクスの鈴木と申します。本日は弊社のセッションをご覧いただきありがとうございます。本日、「開発ノウハウを無償共有で加速するRPA市民開発の未来」と題させていただいてるんですけれども、名前の通り、RPAの今後にとって市民開発というワードが重要になってくるよということ、かつ、それがその開発ノウハウを無償供与するということで加速していくということについて、さらにその開発ノウハウを無償供与について我々がどのような取り組みをしているのか、こういったことを説明させていただこうと思っております。

本日そういったことが完全に我々だけの話じゃなく、RPA業界全体の課題で、今後やっていかなけないことということを知っていただくために、Blue Prism株式会社から市川様にお越しいただいて、私の後に発表いただくことになっております。

セッションの本題に入る前に我々日商エレクトロニクスについて少し補足させてください。我々総合商社の双日株式会社の子会社となっておりまして、ITを扱っているんですが、およそ1000人ほどの中ぐらいの会社となっております。

我々のスタンスとして、基本的にRPAをまず自分の会社で試して、それを親会社の双日に入れさせていただいて、さらにその経験を他のお客様にも展開していくというようなやり方を必ずしていて、我々もRPAのユーザーということです。

早速メインテーマに入っていこうと思うんですけれども最初の話として、我々、日商エレクトロニクスはBlue Prismで開発したアセットをオープンにしますという発表があります。

アセットというのは何かというと、わかりづらいと思うんですけどもロボット製作時に使う部品、Blue Prismの用語ではオブジェクトと言いますが、作るときにどうやって作ればいいのかのサンプル、もしくは作るために使うテンプレート、そういったものもひとくくりにしてアセットと呼んでいます。こういうものを我々は今後完全にオープンにする、つまり無償でどなたでも使える形で提供することになりました。

なんでこんなことするのか、日本ではかなり珍しいことで初だと思うんですけれども、少しかっこつけさせて言わせていただくと、どういう目的かというと、日本のRPAを終わらせないためだと思っています。

日本のRPAは幻滅期?

その話をもう少し詳しく説明します。日本のRPAは今ご覧いただいてる指標はガートナー社が発表したRPAが今どのようなトレンドにあるのかという図なんですけれども、どんな技術でも必ず黎明期があって、一旦過度な期待をしてピークに入りその後、少しちょっとやって駄目で幻滅して、その後啓蒙活動を経て普及していくというような流れが普通だと思うんですが、その中のRPAがまさに202017年18年というタイミングでピークに入り、その後に2019年2020年という流れにおいて幻滅期に入ってるんじゃないかと思います。

もちろんこの通りいけばいいんですけれども、この形の図はたぶんうまくいった後の図だと思っていて、うまくいかないでそのまま幻滅したような技術はたくさんあるんじゃないかと思うんです。

そうなると、RPAをこのままちゃんと活用していく、日本で普及させていくためには、おそらくちゃんとした啓蒙活動が必要であろうと。そうすると、どのような形で普及させていかなければいけないかというと、やはり幻滅の理由を分析しなきゃいけない。幻滅の理由が何だったのかというと、おそらくRPA当初の売り文句であった、ユーザー部門による自動化という話がやっぱり過度な期待だったじゃないかなと思います。

いくらコーディングが不要ですと言っても、ITリテラシーが全くない状態でできるものではなかった。ユーザーからしてみると、結局自分で作らないで頼んで作ってもらうんだったらRPAじゃなくて、普通のシステムも同じだったということです。仮にユーザーが作ったとしても、それの運用とかシステム統制とか、そういうことを全ユーザーで面倒見るのはやはり無理だったとこういうところに幻滅の理由があったんじゃないかと思っております。

実際RPAを使ってるユーザーがどんな感じで使ってるかという調査があるんですけれども、やはりユーザー部門の開発が、IT部門が開発よりも少なくて、かつユーザー部門の開発の中でも半分ぐらいが、結局外部委託に頼っているわけです。つまり専門家がやっている。IT部門での開発というところでも、この図にはないんですけれども、私の経験上でいうとおそらくIT部門が外部委託で開発しているというパターンが多くて、IT部門自身が開発しているパターンは少ないのではないかと考えています。

ユーザー部門の開発というのが過度の期待だったとしても、RPAの価値がなくなるわけではないと、我々は考えています。一般システム開発に比べて、RPAというのはユーザー部門で開発するというところを除いたとしても、レガシーシステムの結合が容易とか、個別に業務を自動化していくよりも、RPA一個で何とかいろいろシステムをやっていったら予算が低いとか、本当のITリテラシーがないユーザーでは無理だとしてもIT部門レベルのITリテラシーがあれば専門家に頼らなくても開発保守できるんじゃないか、というようなメリットとかもあると思います。

こうなるとユーザー部門開発というのが過度だったとしても、IT部門で内製してもある程度効果があるじゃないかという気がするんです。しかもIT部門って何が有利かというと、レガシーシステムと結合が容易という話です。レガシーシステムはもちろんRPA専門家や外部の人は知らない、その会社のIT部門の人は一番よく知ってるわけです。他にもIT部門で開発保守可能というメリットも、そもそも外注してしまったらあまり活きてこないんですけれども、これをIT部門が内製できるとやはりコストパフォーマンスが高くなっていきます。なので我々としては、今後のRPAで重要になってくるのは、ユーザー部門で開発は諦めるにしても、ユーザー部門ではないけどITリテラシーのある社内の人というのを使って開発していこうというところを、メインに据えていかなければいけないと思っております。

ノウハウやアセット共有をするメリットについて

ここで市民開発という見なれないワードがでてきたと思うんですけども、だいたい内製だと思っていただいて大丈夫だと思います。我々としては内製というだけじゃなくて、内製だと社内にすごいRPAエンジニアを抱えて作るというのも内製になると思うんですが 、そうではなくて、その会社の中にいる、会社のシステムとか、会社の業務についてよく知ってるけどRPA専門家ではないという人が、ある程度勉強して開発するというようなイメージを持っています。

ただ、どうしても市民開発をやるときにつまずく壁が、ITリテラシーがあったとしても、RPAという新しいものなので、ネット上でのノウハウとかが少なすぎるんじゃないかということです。

特に日本語。英語だったらまだしも日本語はまず少ないです。昔からある例えばエクセルとかWindowsパッチとかだったら、おそらく社内のITリテラシーのあるIT部門の方であれば、ちょっと調べて何とかするってことを教えてもらうことできるんじゃないかと思うんですけど、RPAって基本的なところはともかくとして、基本的なことができるけどちょっとつまずいたらそれを解決するみたいなピンポイントなところの情報が、そうそう出てこないような状況にあるのではないかと思います。

もちろんエクセルとかWindowsバッチファイルみたいな話に追いつくのは歴史の問題で難しいと思うんですが、少しでも追いついていくためにはユーザー間のノウハウ共有ということを推し進めていかないといけない。特に日本語の資料が欲しければ日本国内でやるしかないんですよ。

もしノウハウとかアセット共有が国内でどんどん普通になっていくと大きなメリットとして、RPA業界が変わっていく。一つには、内製新規導入が容易になると書いてありますが、ノウハウが全くない状態で調べても何かつまずいたところがわからないみたいな状態だと、専門家のベンダーを頼り、最初からベンダー選定をして、ベンダー主導でPOCをして、ベンダー主導で開発して、とせねばならず、内製ではないというような状態になると思うんです。

しかし、ノウハウがネット上にだいたいもう何でもかんでも揃っているという状態になると、試しにとりあえず入れてみますとか、試しに作ってますとか、そのまま内製してもいいですし、ようやくそっからプロが欲しいなと思ったらベンダー選定するとこういう流れになると、RPA業界大きく変わるんじゃないかなと思います。

またRPAプロジェクトって開発というところがやっぱりどうしても大きな比重になってくると思うんですが、その開発だけじゃなくて、RPAに紐づいて業務改善をしていきたいというのがやはりあると思っていて、ロボットの製作にはRPAプロジェクトのチームってコストをかけていると思うんですけど、ノウハウとかの共有が簡単になっていけばいくほど、他のところに目を向けることができるようになって、RPAプロジェクト自体の価値が上がっていくと思っています。

日商エレクトロニクスとして今回考察してきたような形で、この先日本のRPAはやはり市民開発が大事だと思います。市民開発を促進するためには日本語ノウハウが必要です。日本語ノウハウを増やすには、ユーザーが積極的に開示していかなきゃいけない、というような雰囲気が必要だと思っています。

我々もずっとベンダーとしての日商エレクトロニクスと、ユーザーとして日商エレクロトロニクスという葛藤がなかったわけじゃなくて、どうしてもベンダーとしてノウハウを開示したくないという気持ちはあったんですけど、今まで話してきたことを踏まえると、間違いなくちゃんと開示していくというようなコミュニティを作っていかなきゃいけない、そのためには我々が率先してやらなければいけないということで、今回の公開を決断させていただきました。

公開するノウハウの事例

今まで公開公開と言ってますけど、その公開するものなんだろうっていうのがまだよくわかっていらっしゃらない方もいると思いますので、例えば具体例を出させていただきます。営業日判断と書いてありますが、例えばこんな業務ってありませんか?この業務は第10営業日から13営業日まで実施しますとか、毎週月曜に実施するけれども、月曜が祝日だったら火曜日にやりますとか、こういう業務たくさんありますよね。

これを皆さんがもし自分の業務だったとして、GoogleカレンダーとかOutlookカレンダーとかお使いのカレンダーソフトで自分でその予定を入れてみるってことを考えた場合、おそらくそんなにこんな複雑な設定できないんじゃないかと思うんです。

RPAのスケジューリングみたいな機能もおそらくカレンダーよりはマシだと思うんですが、ここまで面倒くさいことはあまりできない。そうなった場合、この業務を実行するロボットをどういうふうに実行すればいいかということなんですが、まず一つの方法としては、今月の第三営業日は何日だからみたいに、毎月毎月自分で考えてそのときにロボット起動するっていうのがありますよね。

ただこれ間違いなく忘れるしミスりますよね。あと毎月、月初にスケジュール考えて予約すれば少しはミスが減るかもしれないけど、これも忘れるし面倒くさいですよね。そうなると、我々がいいと思ってる方法としてはロボットは毎日実行します。

ロボットは毎日実行するんだけれども、始まったらすぐにまず自分が動いていい日なのかを確認するロジックを入れておきます。正しい営業日じゃなければ何もしない。こういうふうにロボットを作り、図にももありますけれども毎日起動する部分で最初にどういうふうに、例えば「実行日は10から13営業日です」とかいうのを読み込んで、それに伴って今日は実行する営業日のかなっていうのを判断した上で、10から13営業日であれば実際の業務を実行する、そうでなければ何もしないで終わる、というロボットを作ればすごくうまくいくんじゃないかなと思うんです。

しかし、これおそらくRPAをいきなり入れた方がぱっと急に思いついてロボットを作れるかというと、そうじゃないと思うんです。一方で我々の開発プロジェクトでは、必ずこういうふうにしなさいということが決まっていて、それをするために設定ファイルを読み込むオブジェクトであるとか、営業日の処理をするオブジェクト・部品であるとか、その部品を使って営業日判断をどういうふうにやるのかというサンプルがあったりとか、ご覧いただいたような、毎日冒頭を実行するけれども、その実行した冒頭の部分の設定ファイルの内容で、今日はやる/やらないを判断して、やるかやらないかを決めるというようなロボットっというものを作るためのテンプレートであるとか、こういうものを全てとり揃えてます。これを今回無償でダウンロード可能ですので、使っていただいても良いですし、ダウンロードして参考にするだけでも構わないと思うんですけれども、重要な点は、もちろん我々の中にもたくさんいろんなノウハウがあってそれを今回いろいろ公開させていただくんですけれども、おそらくそれだけでもちろん完璧ではないので、もし使っていただいた方には、我々と同じようにノウハウの開示というのをやっていただけると、すごく我々は嬉しいと思っています。

最後に予告ですが、我々アセットという形で実際の成果物も共有させていただこうと思っていますが、Blue Prismの製品や開発にとどまらず、運用やそういう話に関してという点でも文章ベースでのノウハウ共有も必要だと思ってますので、来月に日商エレクトロニクスのブログというのを立ち上げてそこでノウハウ共有もやっていこうと思っています。もし興味があればご覧ください。

この後Blue Prism社の市川様より、Blue Prism社のアセットとかの共有についての取り組みというのを発表いただくことになっております。よろしくお願いします。

Blue Prismとは

市川 義規 氏(Blue Prism株式会社 イノベーションセンター エバンジェリスト): Blue Prismの市川でございます。本日はお時間いただき誠にありがとうございます。最初の鈴木様のご説明に、私の方から少し補足をさせていただければと思いますのでよろしくお願い申し上げます。

冒頭、鈴木様の方からBlue Prismのその部品を作っていくという話で、作ってそれを公開していろんなユーザー様に使っていただくっていう話をしていただいたかと思います。この部品を使うところの重要性について、私の方から少し補足させていただければと思うんですが、そもそも本日ご視聴されてる方たちはそもそもBlue Prismってなんだっていう方も結構いらっしゃるかもしれないので、少しBlue Prismのお話させていただければと思います。

Blue Prismは、2001年に創業した会社でございまして現存するRPAの会社の中では最も古い会社となっております。Blue PrismはRPAの製品を出しているわけですけれども、他社と比べて端的に言ったら何がいいのかと気にされる方多いと思いますので、今投影してる1枚にちょっとおさめてきたのでご覧いただければと思います。

まず一つは機能です。私ども機能に関しては非常に自信を持っております。それは例えばその管理系の機能です。セキュリティとか内部統制とかそういう系の機能もそうですし、あるいは稼働率の話です。後で補足しますができるだけその一つのライセンスでたくさん稼働していただくのを非常に重要視している形となっております。

またRPAをやる上でいろんなデータあります。作ったものもあれば、実行するときの何かログインの情報、いろんなログ情報とかいろんな情報あるんですけれども、そういうデータをデータベースに一元的に集めて管理できるようになってるところがけっこう自信を持っているところでございます。

ただ、この機能が優れてるっていうのはBlue Prismの良さの一面でしかなくて、もう一つあります。もう一つがコストです。RPAのコストってこの話もすると長いので後ほどちょっと補足するので端的に申し上げますが、最近「RPAのコストってなかなか馬鹿にならないね」というご意見がありますが、Blue Prismはコストを抑制するというところに非常に強みがございます。

この部品化の話、再利用性を高めていくとか変更箇所を極小化して変更にかかる手数を減らしていくっていうところもそうですし、あるいはBlue Prismの本番環境だけしかライセンス課金しないという大きな特徴があります。ユーザー数分の課金は必要ないわけです。こういったところがポイントかなというふうに思います。

またワークロードを集約する話もあります。できるだけ少ない数のライセンスでたくさんの仕事ができるようにするところで、そもそもライセンス数を圧縮していくというところ、なのでBlue Prismというのは適用範囲を広げやすく、なおかつ範囲を広げたとしてもコストが大きくなりにくい、最も高い投資対効果・ROIを得られる製品なんじゃないかなというふうに思っている次第でございます。

今3つほどちょっとあげましたけども、具体的に何なんだっていう話があると思うので少し補足の説明ができればと思います。まず一つはその部品の管理のところです。先ほど鈴木様もおっしゃっておりましたけれども、この部品化っていうのはすごく重要です。RPAだけではなく、自動化とか、システム化とか考えたとき、部品化っていう考え方すごく重要です。

Blue Prismはそれをやっぱり重要視しているので、皆様から見て左側にBlue Prismが書いてありますが、いろんな端末で確かに自動化処理は動かせるんですが、部品の情報とかは全部データベースに入っています。

その部品がどこでどう使われてるかっていうその依存関係とかも全部データベースに入っているので、部品をアップデートしたりとか、何か変更があったときに修正したりとかも、1カ所直せば全部に適用するということができるようになっています。

ところが世間で私が話に聞く限りだと、デスクトップで自動化するような製品だとなかなかこれが難しい。部品の管理を集中的にできますよって話はよく聞くんですが、その集中的にできるってどうなってるんだっていうのを実際見ていくと、結局部品っていうのはファイルであってそのファイルをいろんなところで何がどう使ってるかみたいなことを、一生懸命どこは更新したらここを変えなきゃと言って把握しなければいけないというふうに聞いております。こうすると最初小規模でやるときは全然いいんですけれども、規模がだんだん大きくなっていくと、部品の修正アップロードとかそういうのがすごく大変になるので、運用管理という意味で、Blue Prismのように、1カ所で依存関係も含めて管理できるというのは非常に重要なのかなというふうに考えております。

またライセンス体系の先ほど私が申し上げた2つ目のところですけれども、Blue Prismは非常にシンプルなライセンス体系になっておりまして、本番環境の最大同時実行数という形でライセンスを計算する仕組みになっています。

逆に言うとその本番環境以外では、ライセンス費用はかからないわけです。開発環境とか、テスト環境とかあるいは開発ツールをいろんな開発者の方にお配りして、一つずつ何かライセンス費用がかかると、開発者共同で使えるライセンスはいくらいくらだけれども、開発の人数分ライセンスがかかるとか、そういったものがないんです。

あるいはそのテスト環境で動かす際に、テスト用のライセンスを購入しなければいけないということもないです。本番環境の最大同時実行、つまり本番環境の実行の多重度でライセンスを課金する仕組みになっています。ですので百数十万円が1ライセンス当たり掛かるわけで、それだけ聞くとちょっと高いかなって思われるかもしれませんが、これがたくさんの開発者で、そのロボットを従業員の方全員でロボットを作っていこうというビジョンをお持ちの場合は、Blue Prismのライセンスは非常に安くリーズナブルに提供できるんじゃないかなというふうに考えております。

3つ目のところはその集約の話です。今皆様から見て左側にちょっと出てると思いますがBlue Prismですといろんなユーザーの方が、何かトリガー押すと、それはメールでもいいですし、何かファイルを置くとかでもいいですし、まだいろんなトリガーがあると思うんですけど、画面で何かボタンを押すと、そういう形でそのトリガーを引いたら皆様からのいろんな端末からのトリガーを1カ所に集めて、その1カ所のところで集中的にロボットを動かしていくという仕組みになっています。

こうすることによって、そもそも実行する場所をすごく少なくできます。非常に高稼働率であリます。ライセンス数も少なくて済むという形になりますが、よくあるデスクトップの自動化だと、なぜか要はユーザーの方たちがこれ実行してトリガーを引いたら、その場でそのパソコンで動くわけです。こうすると非常によろしくないです、というのは稼働率が低い。1台の皆様から見て右側の世界では一つのロボットが動いてる時間っていうのはすごく短いわけです。なので非常に稼働率が低いロボットがたくさん増えてって、しかもそれぞれに対してライセンスがかかってしまうという形になり、非常に不経済という形かなというふうに思います。

私が今ご説明した内容はグラフに書くとこんなふうになるんじゃないかなと思います。赤い方がデスクトップ自動化です。一台あたりは安いんです。話に聞く限りだと数十万円ぐらいで買えるという話で1台当たりは安いんですけれども、やればやるほどどんどんライセンス費用も上がっていく。そういう部品を編集したりとか、変更に対応したりとかというその維持管理のコストも右肩上がりに上がっていくという。しかしBlue Prismの場合はコストというのが確かに百三十何万円とかそういうのは1台で見たら少し高いかもしれませんが、長い目で見ていくと、その部品を使った再利用であるとか、変更容易性を実現していくところもそうですし、ライセンスが本番環境しかかからないという話もそうですし、あるいは集約して実行することでそもそもその環境の規模を小さくして、費用圧縮するということもできるわけです。

そういった意味で先ほど鈴木様もおっしゃってましたけども、RPA幻滅期と言われているこの中でこのBlue Prismを使った自動化というのは、この幻滅期を脱却する上で非常に良いポイント、特にコストのところは非常に持ってるんじゃないかなというふうに考えております。

ただBlue Prismで自動化をしていく上で、こういう素晴らしい特徴があるんですけれども、やはり考えなきゃいけないところがあります。それが部品の話です。Blue Prismは先ほど申し上げましたように部品化にはこだわっています。どこでどういう部品が呼ばれたという依存関係とかも含めてデータベースで一元管理して、変更が生じたらどの部品がどこで使われてるかってぱっと一覧で出すことができて、非常に優れているんですけれども、残念ながら部品化のフレームというか、枠組みが優れていても、その中身の部品を作らないことには、絵に描いた餅になっちゃうわけなので、部品をやっぱり作っていく必要がございます。

当然Blue Prismをそこについては意識をしていて、いわゆるエクセルとか何かWordとか、あるいは何かEメールとか、Outlookとかそういったものの標準部品とかを出していたりします。あるいは共通的な仕組みとしてどこの企業も使っているようなシステムの自動化部品です。例えばSAPとか、Salesforceとか、ServiceNowとかいろいろあると思うんですけども、そういった部品というのもいろいろな会社様のお力をお借りしながら部品を揃えている形になっています。お客様固有で使われているような部品に関しては、これはもうどうしてもお客様の手組みのシステムとかスクラッチのシステムとかもありますので、お客様ごとにやっぱり部品をご用意いただく形になるんですけれども、そのようなだいたい3層構造で部品化を進めています。

ただやっぱりBlue Prismを正直そんなに大きい会社じゃないんです。めちゃくちゃ小さいわけじゃないですけれども、例えばマイクロソフトとかIBMとかそういう会社に比べたら全然小さい会社なので、我々だけでその部品を揃えていくのがなかなか困難なところがあって、そういったその文脈の中で、今回鈴木様のお話にもありましたように日商エレクトロニクス様が、日本語で日本のお客様向けに拡張の部品をご用意いただいたというような話になってる形です。

Blue Prism DXについて

これらの部品は、我々が持ってるこのBlue Prism DXというウェブサイトの中で流通することができるようになってます。部品は、このBlue PrismDXというウェブサイトの中にたくさんリストされてる形になっていて、例えばAI-OCRの連携部品が欲しい、AI Insideさんが持っているDXSuiteとの連携部品が欲しいって言えば、そのWebサイトの中で、AIinsideとか、DXSuiteって入れていただければ部品が出てくるわけです。

あるいは先ほど申し上げたようなそのSAPとかSalesforceとか、ServiceNowとかっていうのもそういった形で入手できるようになっています。今回日商エレクトロニクス様はそういった流れの中で、日商エレクトロニクス様の部品がこのBlue Prism DXっていうWebサイトの中に入る形になっていてそこからダウンロードができる形になっているわけです。

もちろん、日商エレクトロニクス様もたくさんの部品をお持ちで、今回はその中の一部という形になるというふうに伺っています。非常に基本的なものです。自動化をする上で、Blue Prismを使う上で誰もが使うような基本的な部分でかつ日本的な事情を配慮したところについて、無償公開ということでこのウェブサイトからダウンロードできるような形でございます。

なのでぜひどんな部品があるんだとか、ちょうど使ってみたい部品とかっていうリクエストがございましたら、ぜひセッションのアンケートであるとかそういったところにコメントいただけたらなというふうに思います。

部品の全体像に関してもぜひ知りたいということであれば我々、Blue Prismからも情報アップデートができますので、ぜひお問い合わせいただければと思っている次第でございます。最後に私も先ほど鈴木様のお話なかなか結構熱くて、RPAの未来に関するお話いただいたと思うんですけれども、私もそういう方向性の話少しだけできればなというふうに思っています。

デジタルワーカーとデジタルタレントの違い

我々Blue Prismは長年デジタルワーカーというものを提供することに力を入れていきました。デジタルワーカーというのはいわゆるRPAです。人と同じようにウェブとかエクセルとかそういう業務アプリケーションを操作して、人の定型作業を代替するっていう考え方、これがデジタルワーカーです。ただ昨今我々の中で一つ新しいコンセプトとして出ているのがデジタルタレントというものでございます。

デジタルワーカーとデジタルタレントが何が違うのかっていうところですが、簡単に言ってしまうとこのデジタルタレントというのは学習済みのデジタルワーカーです。デジタルワーカーあるいはRPAは皆様ご存知のように教える必要があります。人と同じようにいろんな業務をやりますけれども、人と同じような業務をやらせるためにはどうやったらいいかっていうのを教えてあげないといけないです。

まず例えば「エクセル開いてください」そして「エクセルで開くブックは何とかかんとかっていうブックです」と、「その中の何とかっていうシートを選択して、Aの1セルにある値をコピーして、次のこっちのウェブサイトにA1のセルの値を入れてください」みたいなそういうことを実際RPAに教えてあげないと、そういう業務処理ができないわけです。

ただそれをもし仮に事前に学習済みのRPAが出てきたとしたら、今までのRPA以上に、より高度なことができるんじゃないかと、そういうRPAあるいはデジタルワーカーをデジタルタレントというふうに呼ぼうと言ってるわけです。

このデジタルタレントというのは、例えばSAP例に挙げればと思うんですけれども、SAPを基幹システムとして使っていてSAPに入力しますってなると全部の社員がSAPにそんなに入力してるわけじゃないです。入力しているケースもありますけれども、結構濃淡あると思うんですよ。

例えば皆様から見て左側にいる女性が作業依頼をすると、メールにエクセルか何か添付して、こんな何か注文出しといて、とか購買処理しといて、とか出すわけですね。それを真ん中の円のあのサークルに囲まれた方がSAPに実際に入力をしていきます。これがRPAを使うと要はBlue Prismに寄り添うデジタルワーカーというのが真ん中に来て、メールのそのエクセルの作業依頼を受けたBlue PrismがSAPに代わりに入力してくれるわけです。

ただBlue PrismにはこのSAPの操作というのを事前に教えてあげないといけません。それがデジタルワーカー、RPAに対する教育であったり訓練だったりするんですが、ここでSAPの部品が十分にあれば、教育とか訓練がほとんど必要なくなるわけです。

最低限の設定だけで動くようになると、それを我々としてはデジタルタレントという、デジタルワーカーから1レベル上がった存在だというふうに考えてます。今回日商エレクトロニクス様の取り組みは、これは日本版のデジタルタレントを作る上での第一歩だと私としては考えております。

こういった仕組みをどんどん拡張していくことで、日本でも、通用するデジタルタレントというのがどんどんできていくと思うんですね。それはもちろんその無償公開された部品もそうですが、無償でない部品とかも含めてそういう世界になっていくと思います。Blue Prismとしてもこういった取り組みは他のユーザー様であるとか、あるいは他のパートナー様にもぜひ広げていくように活動を働きかけをしていくことで、日本にデジタルタレントという新しい波を起こしていけたらなというふうに思います。

私の話は以上となりますので、またちょっと鈴木様の方にお返ししたいというふうに思います。どうもありがとうございます。

鈴木氏:市川様ありがとうございました。軽くまとめさせていただきますと、やはり日本のRPAはこれから市民開発が大事なんだという新開発の方向に向かっていくんだよということ。また、市民開発を加速するためにBlue Prismアセットを公開しましたということ。それに加えてBlue Prism社からも発表いただいた通り、アセットやノウハウ共有、さらにはデジタルタレントというお話もありましたが、こういう話というのも世界の流れであって、今後非常に重要になってくると思いますので、日本ユーザーにも高波に乗っていただきたいということを期待しております。

本日は弊社のセッションを、ご覧いただきありがとうございました。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。