メディア

新規導入可能性の高い製品、5Gは何位? アフターコロナのIT投資動向最新予測

ITRが開催したオンラインイベントでは、同社の最新レポートが紹介された。2021年度に投資が増額傾向にあり、新規導入可能性の高い上位5製品とは?

» 2020年10月13日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大を受け、多くの企業がテレワーク環境の整備を進めた。コロナ禍における全社的なテレワークを通じて浮き彫りとなった課題を基に、BCPの見直しや新たなIT施策の検討を進めている企業も少なくない。

 ITRは2020年10月6日に開催したオンラインイベントで、同社が実施した「IT投資動向調査2021」(2020年8月21日〜9月1日、有効回答数2667件)の速報値からウィズコロナ時代におけるデジタル化の潮流とIT戦略、投資の方向性について解説した。講演を担当したのは同社のシニア・アナリスト、三浦竜樹氏だ。

ITR 三浦竜樹氏

 ITRが2020年4月に実施した「コロナ禍の企業IT動向に関する影響調査」によると、コロナ禍におけるIT予算への影響調査(n=1370)では「特別予算の計上のみを実施または予定」は9%、「特別予算の計上、プロジェクトの停止延期の両方を実施または予定」は40%、「プロジェクトの停止延期のみを実施または予定」は11%となり、残りの40%は「対応なし」と回答していた。およそ半数が特別予算の計上を実施もしくは予定していたことになるが、在宅勤務への緊急対応によってIT予算は増加したのか、もしくは、プロジェクトの停止及び延期のためIT予算は減少したのだろうか。

在宅勤務は急拡大もすでに減少傾向へ

 ITRの調査によると、コロナ禍以前は調査対象企業の約20%の実施率であったテレワークも、緊急事態宣言期間中には50%を超えるテレワーク実施率となったという。しかし8月中旬には若干の減少を見せているという。ほとんどテレワークを実施していない企業はコロナ禍以前は65%だったのに対し、緊急事態宣言期間には19%まで減少した。

従業員の在宅勤務割合分布図(出典:ITR ウェビナー)

 テレワークで緊急実施されたIT施策はテレワークの導入、コミュニケーションツールの導入などだ。社内外の文書の電子化対象拡大などは今後の投資拡大が予測される。

 ニューノーマルの働き方に向けた取り組み状況としては「オフィスレイアウトの変更」や「新たな働き方に即した就業規則の見直し」などをすでに実施済みもしくは実施予定の企業が多かった。一方、実施済みは一部であるが今後取り組みたいと意欲を見せる企業が多かったのは「顧客視点でのデジタル活用」や「人材採用制度の見直し」といった項目だ。調査によると、「脱・紙、はんこ」をうたうIT製品・サービスへの期待値は高いという。

ニューノーマル時代に向けた取り組み状況(出典:ITR ウェビナー)

 IT投資に関しては2020年度、減少を見込む企業が増えたものの、IT投資が増加すると回答した企業も増え、増加割合が高いという結果となった。

IT予算額増減の経年変化(出典:ITR ウェビナー)

2021年度の投資が増額、新規導入可能性の高い上位5製品は?

 次に三浦氏は、2021年度に投資額が拡大すると見込まれる製品と2021年度に新規導入の可能性が高い製品の上位5つを紹介した。テレワーク関連技術の他、5Gといった最先端の技術は何位となったのだろうか?

 ITRの調査によると、導入企業における次年度の投資額の増減傾向を指数化した「投資増減指数」上位5製品は「ビデオ会議/Web会議」「ローカル5G」「IaaS」「RPA」「エッジ・コンピューティング」の順だ。コロナ禍への対応でWeb会議のユーザーアカウント数を増やしたことが影響した。

 次に次年度に製品を新規導入する可能性のある企業の割合をパーセンテージで示した新規導入可能性については「5G(パブリック)」「電子契約/契約管理」「電子署名/タイムスタンプ」「ローカル5G」「AI/機械学習プラットフォーム」が続いた。2021年度は5Gの活用と“脱・はんこ”ソリューションに注目が集まっているようだ。

投資増減指数と新規導入可能性の高い上位5製品とは(出典:ITR ウェビナー)

DXへの投資とIT投資の関係性

 三浦氏によると、コロナ禍であってもDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組み状況は進展しているという。デジタル技術活用に着手している領域については、コミュニケーション・コラボレーションの高度化やワークスタイルの変革といったテレワークと関連する項目が上位に挙がった。主要IT動向の重要度指数の上位10テーマに関しても、「全社的なデジタルビジネス戦略の策定」「基幹系システムのクラウド化の実践」やテレワーク、従業員エンゲージメントに関するソリューションなどDXに関する取り組みが多くを占めた。

主要IT動向の重要度指数(出典:ITR ウェビナー)

 DXとIT投資の関係性について、三浦氏は次のように話す。「DXを推進する組織が明確に存在する企業は、コロナ禍においても『ワークスタイル変革』などITの適応力が高く、IT予算額についての影響も受けにくい。コロナ禍を契機にDXが加速すると考える企業は、勢いは小幅ながらもIT投資は増額傾向にあるだろう」。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。