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テレワーク時代に最適な研修ツールは? オンライン研修ツール5選、機能と特長を解説

オンライン採用の導入やWeb会議にテレワーク……組織とビジネス現場のリモート化が進むなか、懸念されるのが社員間や経営層と雇用者層でのコミュニケーション不足やサポート機能低下による意欲喪失、ひいては社員の早期離脱といった課題だ。「オンライン研修」はそんな不安にどう応えてくれるだろうか。

» 2021年01月25日 18時00分 公開
[土肥正弘キーマンズネット]

オンライン研修の成果と2021年度の研修方式検討状況

 2020年度はコロナ禍によって研修のオンライン化ケースが進んだが、従来のオフライン型の集合研修(以下、集合研修と呼ぶ)との違いにまだ戸惑う企業も多いようだ。総務専門誌「月刊総務」によるアンケート(2020年12月7日〜16日に実施)では、調査対象企業の73.4%が対面研修のオンライン化に着手したが、59%は対面研修に戻したいと考えているという。

 また貸し会議室事業者のマックスパートが2020年12月16〜23日に実施したネット調査では、オンライン研修の実施企業は約70%だったが、回答者に「集合型研修と比較してオンライン研修ではどのような変化があったか」と尋ねたところ、以下図のような回答結果となった。

2020年12月「コロナ禍の研修に関する調査アンケート」プレスリリース(マックスパート)

 研修成果が向上したとの回答よりも、低下したと感じているケースが少し多いようだ。だが、オンライン研修を一部であっても続けたい、続けなければならないと考える企業は多い。同調査では、2021年の研修で検討している実施形態についても尋ねており、19.1%がオフライン研修と答えている以外は、30.34%が完全オンライン化、50.56%がハイブリッド型(参加者の一部は会場で参加、一部はオンラインで参加)を検討していることが示されている。

2020年12月「コロナ禍の研修に関する調査アンケート」プレスリリース(マックスパート)

 こうした調査結果にも見られる通り、オンライン研修には良いことばかりではなく、デメリットもある。現実的に集合研修の実施が2021年も難しいと予測される現状では、オンライン研修のメリットを最大限活用しながらデメリットを避ける工夫をしていくべきというのが、一般的な認識になっているようだ。

オンライン研修のメリットとデメリット

 一般的なオンライン研修のメリットとデメリットを整理しておこう。

【オンライン研修の主なメリット】

  • 集団研修会場への移動時間と交通費が節約できる
  • 会場予約・設営のための時間・コストが発生しない
  • 集団研修会場の座席などの要因による講義視聴難易度に差が出ない
  • 本社などから遠い地域の従業員にも均一な内容の研修が行える
  • ストックされた資料・映像などの再利用が可能で新規教材などの作成コストが削減できる
  • 社内講師・外部講師の出張コストがかからない
  • チャットなどにより集団研修では難しいコミュニケーションが手軽にとれる

【オンライン研修の主なデメリット】

  • 利用する端末やネットワークの品質・性能により受講の快適さに差が生じる
  • 講師側から受講者の理解度や集中度合いが分かりにくい
  • 講師以外から研修参加者全体への発言が難しく、質疑応答が十分にできない
  • 講師と受講者、受講者と受講者とのインフォーマルな関係性がつくれない
  • グループワーク、プレゼンテーション、実技に関するトレーニングがしにくい

オンライン研修で見えた課題は?

 テレワークでWeb会議などを利用した経験があれば、これらメリットとデメリットの多くは直感的に理解できるものと思う。コスト面や研修内容の平準化の面ではオンライン研修は非常に有効な手法になるが、研修の質や効果の面では集団研修にまだ及ばない面があるといえるだろう。集合研修との大きな違いは、講師から受講者に内容を伝える一方通行の講義になりがちな点にある。それを埋めるためにチャットの活用などの工夫がされ、集合研修ではできなかったコミュニケーションが可能になる場合はあるものの、それは集合研修でのリアルな出会いや会話で醸し出されるインフォーマルな関係性を生み出すところまではなかなか難しい。

 特に、企業の研修で重要な位置を占める新人研修において、そのような横のつながりが生まれにくいという点は、オンライン研修推進において十分に留意するべきだ。次図は、HR総研による「人材育成に関するアンケート調査」(2020年8月21日〜9月6日)の結果だが、新人研修がどの規模の企業でも重視されていることが分かる。またその内容は「社会人としての心構え」「マナー」「会社の仕組み・ルール」「コミュニケーション」「会社の歴史・理念」といった基本的な領域に関するものが多い。

企業規模別 実施している階層別研修、HR総研「人材育成に関するアンケート調査」
企業規模別新入社員研修の内容、HR総研「人材育成に関するアンケート調査」

 ますます深刻化していく一方の人材難の時代にあって、人材を会社に定着させ、早期離脱を防ぐことは人事戦略面で最も大きな課題の一つになっている。新人研修の機会を活用した「オンボーディング」は今後さらに重要性を増す。新人同士や新人と先輩社員間、新人と上司やベテラン役職者などとの仕事や会社の価値に関する思いを共有するには、対面での会話の機会を増やすことが望ましいが、テレワークやオンライン研修に少なくとも一部は頼らざるを得ない状況の中で、どのように理念やポリシーを共有できるかが、研修の主催側にとってますます大きな課題となる。

活用可能なオンライン研修ツールは何?

 研修ツールは、かつてはEラーニングツールとしてオンプレミスによる学習システムの構築や学習コンテンツの買い取りが主流だったが、現在ではSaaS(Software as a Serice)として映像共有やチャット、コンテンツ配布などの機能を備えたクラウド型のオンライン研修を実施するケースが増えている。利用できるツールとしては、およそ3種類だ。

Web会議ツールおよびオンラインセミナー特化型ツール

 「Zoom」「Microsoft Teams」「Google Meet」「Cisco Webex」などのWeb会議サービス、あるいはウェビナーと呼ばれるオンラインセミナー配信サービス(「Zoom Webinar」「Cisco Webex Events」「V−CUBEセミナー」「ネオラボCalling Meeting」など)は、比較的低コストでリアルタイムの映像・音声配信が可能だ。チャット機能や資料共有機能もあり、自前のオンライン研修を構築できる企業では使いやすく、導入ハードルが低い特長がある。一方で研修コンテンツは基本的に自社で用意する必要があり、研修進捗管理や効果測定には別途、LMS(Learning Management System)を利用するなど、研修担当者の負荷は高めになりがちだ。

研修コンテンツの自社作成、研修実施、学習進捗管理、効果測定に重心を置いたツール

 Eラーニング教材や教材動画の作成・編集、配布、オンライン配信、相互コミュニケーションなどの機能を持ち、LMS機能を搭載するか、LMS専用ツールとの連携を可能にしたツール。既成の研修教材ではなく自社オリジナルの研修教材から作り込みたい場合や、自社特有の実務・実技内容に踏み込んだコンテンツを使いたい場合には好適。講師のほか、先輩社員などがメンターとして研修に加わることができる仕組みを作りやすく、進捗や成果を管理して、研修をより効果的にすることができる。

 月額定額制のクラウドサービスとしてはGeneralist/LW(東芝デジタルソリューションズ)など、オンプレミス構築前提のツールとしてはKnowledgeDeliver(デジタル・ナレッジ)、iStudy LMS(クシム)、LearningWare(プロシーズ)などがある。こちらはオンライン学習機能を強化したEラーニングツールといった趣だ。

研修コンテンツを選んで自前の研修コース構成や学習管理が可能なツール

 サービス業者側で豊富な研修コンテンツ(各種研修目的に沿った動画や研修資料、カリキュラムなど)を用意しており、ユーザー企業側が業者設定のコースにのっとり、または自由に組み合わせてオリジナルな研修コースを構成できるようにしたサービス。ビジネス一般のマナーや常識、業種や職種に特有で基本的な知識などのように、会社個別に大きく異なることのない研修内容は、既存コンテンツを利用したほうが効率的で低コストだ。ただしコンテンツを提供するだけでなく、研修をサポートし、事後のフォローも着実にするために、学習進捗管理や効果測定、フィードバック、次の研修プログラム作成などが容易にできる機能も重要だ。さらに自社独自の研修コンテンツを組み合わせることができればなお良い。これについては以下に具体的サービスを5種を取り上げ、簡単に紹介する。

ツール5選

【eラーニングライブラリ】(日本能率協会)

 「eラーニングライブラリ」は人材育成支援に長年の経験をもつ日本能率協会が作成した全285コース(随時追加)の研修コンテンツを提供している。マネジメントから技能職などまで、職種ごとに幅広い領域の学習コースを1年定額(4356円/ID)で利用できる。教育担当者や上長が受講者の学習状況を確認し、適切なタイミングでメールなどでサポートすることも可能だ。

【AirCourse】(KIYOラーニング)

 「AirCourse」は、動画とテスト、ワークで構成された標準研修コースを月額(600円/ID コンテンツプラスプランの場合)で受け放題なのが特長。オリジナル動画をアップロードして自社オリジナルの研修コースを構成することもでき、効果測定のためのテスト作成機能、資料共有、アンケートおよび教育履歴や結果を一元管理可能な管理機能も備えている。グループ内でのナレッジ共有SNSも標準で利用できる。

【playse(プレイス).eラーニング/plyays.オンボーディング】(manebi)

 「playse.eラーニング」は、オフィスワーク、接客、販売、営業、製造、物流など、業界問わず学べる3000本の教材と各種カリキュラムを用意、柔軟にコースが設定可能なオンライン研修ツール。動画、プレゼンテーションツール、PDFなどを利用したオリジナル教材作成も可能で、提供されるコンテンツに加えて、例えば「新卒社員や転職者の入社時研修だけ」のオリジナル研修コンテンツを組み込むことも自由。月額300円/ID(月間利用数1001人以上の場合)といった利用しやすい料金プランも特長だ。

 また同社の「playse.オンボーディング」は、新入社員のオンライン研修機能と定着支援、離脱抑制を図るサポート機能をパッケージにし、コミュニケーションツールとしての側面も追加されたサービス。3カ月間のオンボーディング内容設計支援も受けられる。こちらは初期費用30万円、月額1万5000円。

【Schoo(スクー)法人向けサービス】(Schoo)

 2011年からユーザー参加型のインタラクティブな生放送の学習体験を提供してきた「Schoo」は、現在5700本以上の学習動画(毎月追加)を自由に組み合わせてユーザー企業独自の研修コースを組み立てられるサービスを提供している。自社のオリジナル動画を組み込むことも可能だ。月額料金(1500円/ID)で利用できる。

【Biz CAMPUS Online/Biz CAMPUS Live】(ラーニングエージェンシー)

 「Biz CAMPUS Online」は、同社が提供する定額制集合研修(Biz CAMPUS Basic)の研修をストリーミング配信するサービス。過去開催した研修テーマは基本的なビジネスマナーからマネジメントスキルまで300種類以上、定期開催している研修も125種類以上用意している。「Biz CAMPUS Live」はリアルタイムにオンライン講義やグループワーク、アンケート機能やチャットを利用した質疑応答、講師フィードバックなど、講師と受講者、受講者と受講者間も双方向でやりとりできる機能を備え、リアルな集合研修に近いサポートが可能なところが特長だ。

 以上、オンライン研修に利用できる多様なツールの中から一部を紹介したが、こうしたツールばかりでなく、講師派遣型の研修サービスを実施してきた業者が研修内容をオンライン化して提供しているケースもある。従来の講師派遣型集合研修をなるべくそのまま踏襲したい場合などには、そのようなオンライン研修サービスの利用も視野に入れると良いだろう。

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