2021年9月13日、RPA BANK はキーマンズネットに移管いたしました。
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近年、ウェブを通じたマーケティングの注目度が高まっている。背景には商品やサービスの認知がウェブにより広く行われるようになっていることや、効果測定がしやすく効率の良い情報収集が可能といったウェブマーケティングの特徴がある。さらに、新型コロナウイルス対策による在宅勤務の拡大により従来型の営業活動が難しくなったことで、この傾向に拍車がかかっている。
そして最近特に注目を集めているのがマーケティングオートメーション(MA)と呼ばれるツールである。SATORI株式会社(東京都渋谷区)が提供する国産のMAツール「SATORI」は、ウェブサイトを訪問した匿名顧客に対するアプローチも可能だという。これはウェブサイトにアクセスしたユーザーの行動履歴などを活用して、各顧客に最適化した広告を配信するDMP(データマネジメントプラットフォーム)という技術をベースにしている。
SATORI株式会社のマーケティング営業部長を務める高橋美絵氏に、特に匿名顧客へのアプローチを強みとしたMAツール、「SATORI」について話を聞いた。ウェブにアクセスしたユーザーを顧客に変えていく手法は、営業活動の1つの未来形として一見の価値がある。
−コロナ禍で対面での営業が難しくなっています。この状況で効率の良い営業活動を行うにはどうしたらよいのでしょうか。
消費者の購買活動は以前からデジタルへと移行していましたが、これは企業の購買でも同様です。米調査会社のフォレスターが2019年に実施した「BtoBのマーケティングに関する調査」では、回答者の92%が「新たな購買における情報収集をウェブ検索から開始する」と答えています。検討の初期段階でも60%が「営業担当者と接触したくない」とし、62%が「非対面の接点のみで購入先を絞り込む」としています。
ここにコロナ禍が加わったことで、営業の最終局面と言える商談もウェブによる非対面のコミュニケーションが主流となりつつあることを体感しています。営業活動のデジタル化が進み、対応できる企業とできない企業との間に格差が生じ、それが広がっている実態が見えてきています。
今後、自社の商品やサービスを購入してもらうためには、実名か匿名かを問わず、ウェブ上で接点を持った「購買意欲を持つ潜在顧客」を抽出し、アプローチする仕組みが必要になるのです。例えば、われわれが提供する「SATORI」は、実名客のデータベース化に加え、サイト訪問者の97%以上を占める(*SATORI社調べ)といわれる匿名顧客への最適化されたアプローチを実現しています。
−自社サイトのPVを伸ばしても、アクセスしている人の中で誰が購買意欲のある見込み客なのかが分からなければ対策は打てないということですね。では、匿名顧客へのコミュニケーションを「SATORI」はどのように実施しますか? また、実名顧客向けの手法についても併せて聞かせてください。
自社サイトにアクセスしてきた顧客のうち、相手を特定できるのはわずか3%以下(*SATORI社調べ)と言われています。ほとんどの顧客は自分の情報を開示せずに離脱してしまい、打つ手がありません。この匿名状態の顧客にいかにアプローチできるかがカギになります。
「SATORI」は、情報量の少ない非対面状態の顧客から、効率的に見込み度合いの高い顧客を抽出し、アプローチするという企業の課題に応えられます。匿名顧客へのアプローチには、プッシュ通知、ポップアップ、パーソナライズという主に3つの手法を用います。
プッシュ通知は、以前閲覧したことがあるもののその後自社サイトを閲覧していない顧客にプッシュ通知を表示し、ウェブサイトへの再来訪を促します。ポップアップは、自社サイトを閲覧している顧客にフォームやバナーなどのポップアップを表示し、問い合わせを促進したり興味関心を高めるウェブコンテンツの閲覧へ誘導します。パーソナライズは、顧客の行動履歴に沿ってフォームやバナーを出し分けし購買意欲を高める手法です。当社でもこの「SATORI」を使ってマーケティングを行っているのですが、匿名ながらも、「もうすぐ購入しよう」と考えている顧客が、実名顧客の約10倍程度も存在するということが分かっており、ここにアプローチすることが重要だと考えます。
一方で、実名顧客とのコミュニケーションでは、メルマガの配信はもちろん、ダッシュボードでのマーケティング施策結果のチェック、特定の条件を満たすユーザーをリスト化するセグメントやキャンペーン機能のほか、条件に合致した顧客がきたら社内にアラートメールを配信するなどシナリオに沿ったマーケティングの自動化を実施します。
−ウェブのアクセスデータから有望な匿名顧客へのアプローチに成功した、SATORI導入企業の事例について教えてください。
三井住友DSアセットマネジメント様は、画一的な情報発信ではなく、新規および既存の顧客の状態に合わせたワンツーワンのコミュニケーションを実施することを課題としていました。顧客への対応を効率化することで、よりサービスを手厚くする狙いです。
「SATORI」を導入されてからは、まずはアクセス数の多いページにポップアップを設置し、セミナー集客を実施。セミナー申込数は最大で9.2倍に増えました。また、セミナー申込者を管理して開催前にリマインドメールを送信したところ、参加率が最大1.9倍に上がったと伺っています。そのほか、口座開設前後の既存顧客へのステップメールについて、件名を工夫することで開封率80%を記録、転換率も向上しました。
また、トヨクモ様は、ウェブサイトからの問い合わせを増やし、案件を増やしたいという思いから「SATORI」を導入いただきました。施策としては、ウェブサイトにポップアップを設置し、閲覧したコンテンツに合わせた誘導を開始したところ、ウェブサイトからの問い合わせが5倍に増えたとご報告いただきました。そのほか、ジャストシステム様も、ポップアップによる誘導の実施によってリード獲得効率を1.5倍に上げるという実績を出されています。
成功された導入企業様に共通しているのは、顧客が望んでいるコンテンツを作成し、興味関心が高まった最適なタイミングで「SATORI」を使って提供されたことです。冒頭お伝えした「情報量の少ない非対面状態の顧客から、効率的に見込み度合いの高い顧客を抽出し、アプローチする」を実践された先進的な事例といえます。
−「SATORI」と他のMAツールの間にはどのような違い、差別化要素がありますか?
匿名のリードにもアプローチできる点は、「SATORI」の大きな差別化要素です。「SATORI」がDMPと呼ばれるアドテクノロジー技術を基に開発されていることが背景にあります。一般的なMAツールは、定期的にメールマガジンを出したり、ウェブ上の行動履歴から顧客をスコアリングしたりといった機能の提供にとどまるものが多いです。また、外資系のツールが多く、日本語化されていないこともある中で、国産ならではの使いやすさやサポート体制も評価いただいてます。
お客様へのサポートでは、「SATORI」を活用するための豊富な資料、動画を充実させ、ユーザー様ご自身がコンテンツやマーケティングシナリオを制作するための情報も盛り込んだ支援サイトを提供しています。このほか、利活用セミナーや個別相談会の実施、ユーザー会や「SATORIコミュニティ(通称=SUGM)」の存在、有償サポート、プロアクティブサポート、パートナー社との提携によるご支援、オンライン会議の仕組みを使って常駐するSATORI担当者に相談できる仕組みなど、多様なサポートに取り組んでいます。
−営業活動の変化により、MAツールの重要性が高まっていることが分かりました。デジタルシフトによって、営業をはじめとした企業の業務は変化していくと考えますか?
デジタルシフトという流れにコロナ禍の影響が加わることで、いわゆる飛び込み営業などがさらに難しくなり、営業の現場でもMAの活用は広がると考えています。既に実名を把握している顧客はもちろん、ウェブサイトにアクセスしてくれた匿名顧客に焦点を当て、実際の購入へ促していきたいというニーズは確実に存在します。
デジタルシフトの流れはMAにとどまりません。例えば、われわれは自社で活用している「SATORI」に顧客情報を取り込むにあたって、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入して業務を効率化しています。獲得したリードを顧客情報として「SATORI」に取り込む際には、取り込み用のフォーマットに合わせてエクセルでデータを加工する必要がありました。しかし気を付けて作業していても行や列がずれることがたびたび生じました。見込み客の情報や個人情報ですからミスができないということもあり、データの確認作業は大きな負担となっていました。そこでJBアドバンスト・テクノロジー株式会社のクラウドRPAサービス「デジピタ」を導入したところ、非常に効率が上がったのです。
MAやRPAをはじめ、デジタルシフトに挑戦する企業はこれからますます増えていくと考えています。
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