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経費精算システムの利用状況(2021年)

面倒な作業だが必ず発生する経費精算業務。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の期間中は、出社前提の経費精算のフローを変えるべきという機運があるが、現状はどうか。

» 2021年08月05日 09時30分 公開
[キーマンズネット]

 キーマンズネットは2021年7月2〜7月21日にわたり、「経費精算システムの利用状況」に関する調査を実施した。

 今回は経費精算の「方法」や「タイミング」、コロナ禍での「経費精算方法」や「申請手続きの変化」などを調査した。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の期間中は、出社前提の経費精算のフローを変えるべきという機運があるが、現状はどうか。

コロナ禍の今、経費精算システムの利用率は?

 ペーパーレスが叫ばれて久しいが、企業の経費精算業務にその波は影響しているのだろうか。経費精算方法について聞いたところ図1のような結果になった。

 全体の43.8%が自社の経費精算システムを利用しており、クラウド経費精算システム利用は26.5%、Excel利用は17.7%、紙による手書き運用は8.4%だった。クラウドサービスと自社システムに限らず、70.3%が経費精算システムを利用しており、2020年8月に行った同様の調査から5.1ポイント増加した。

 従業員規模別の結果では、1001人以上の企業では自社システムを、101〜1000人の中堅規模の企業帯では主にクラウド形態のサービスと自社システムで票が分かれた。100人以下の中小企業ではExcelや所定の用紙を使用するケースが多い。

 また経費精算を行うタイミングは、全体の62.5%が「経費が発生したタイミング」と回答し、「締め日近くにまとめて」(26.5%)申請するという回答が続いた(図2)。Excelや紙で経費精算をしている回答者は「締め日近くにまとめて」申請する割合が高い傾向にあり、経費精算に使用するツールによって効率の良い申請方法を選択しているようだ。

図1 経費精算の方法
図2 経費精算を行うタイミング

約6割が緊急事態宣言下も「出社して経費精算」に対応

 新型コロナウイルス感染症(covid-19)の流行によって、テレワークが普及し、変則的な働き方に対応せざるを得なかった企業も少なくないだろう。回答者は「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」の期間中、どのように経費精算をしていたのか。

 アンケートの結果は、「通常通りに出勤して手続きしている」43.4%、「自宅から手続きをしている」(35.8%)、「普段は在宅勤務だが、精算手続きがある時は出社して手続きをしている」(17.7%)と続き、全体で61.1%が出社を伴う運用をしていることが分かった(図3)。

 経費精算システムを利用している場合も、社外からシステムにアクセスできる環境が整備されていなかったり、紙の申請書や領収書を伴うルールで運用していたりする場合に、出社して経費精算の手続きをしなければならない。コロナ禍はそうしたフローの見直しが進んだのだろうか。

 「コロナ禍での申請手続きへの変化」を聞いた質問では、全体の7割が「変化なし」と回答した。コロナの流行経費精算フローの見直しにそれほど影響していないというのが実情のようだ(図4)。「その他」の回答としては、「領収書の原本提出を廃止(PDFなどデータでの提出が許可された)」や「定期券を廃止し、交通費は出社日をカウントして自動精算となった」といった例が上がった。

図3 「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」期間中の経費精算方法
図4 コロナ禍での申請手続きへの変化の有無

満足度62.4%も「紙運用」に不満も

 現在の経費精算手続きについての満足度を聞いた。「とても満足」が6.2%、「まあ満足」が56.2%、「やや不満」が27.0%、「とても不満」が10.6%と続き、全体で「満足」が62.4%、「不満」が37.6%という結果だった。

 具体的な不満の内容は、「自社で導入している経費精算システムが使いづらい」(24.5%)、「領収書を紛失、保管し忘れた際に経費登録ができない」(23.6%)など(図5)。自腹精算を示唆する回答が2位に挙がったことが印象的だ。フリーコメントにおいては「紙の領収書の押印や保管が面倒」「領収書のデータを添付した上で、後日紙の送付もしなければならず面倒」「社内で申請書を印刷しなければならない」など、紙の領収書や申請書を伴う運用フローの効率の悪さを挙げる声が多かった。その他「精算金が銀行口座に振込まれるため、出金に手数料がかかる」といった具体的シーンを挙げる回答者もいた。

図5 経費精算業務への不満

 関連して、経費精算システムを選定あるいは活用する際に重視するポイントを調査したところ、例年通り「操作性の良さ」「導入コスト」「運用コスト」が上位に続いた(図5、複数回答)。注目すべきは2020年8月に実施した前回調査と比較し、在宅勤務やリモートワークといった柔軟な働き方の支援機能を挙げる割合が高い傾向にあったことだ。

 例えば「モバイル対応」や「柔軟なフロー設計、カスタマイズ性」といった項目は前年度10.6%から22.1%に、同様に「領収書を写真で保存できる」は19.7%から26.1%、「ICカード連携」は5.5%から14.2%にそれぞれ2倍近く増加した。加えて「操作性の良さ」も54.5%から69.5%と15.0ポイント増加しており、新型コロナウイルス流行を背景に社内外問わず柔軟に経費申請を実行できる環境が求められていることが分かる。

 なお、今回はじめて追加した「電子帳簿保存法への対応」という項目は、23.5%の支持が集まった。2020年10月の電子帳簿保存法改正ではキャッシュレス決済を対象に紙原本での保管義務が軽減されるなど経費業務のペーパーレス化に資する改正があったため、電帳法の対応を視野に経費精算システムを選定するというケースもあるのかもしれない。

図6 経費精算システムを選定・活用する際の重視ポイント

 本アンケートは全回答者数226人のうち情報システム部門が35.0%、製造・生産部門が17.7%、営業/営業企画・販売/販売促進部門が13.3%、経営者・経営企画部門が7.5%などと続く内訳であった。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。

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