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» 2021年09月27日 07時00分 公開

「ジョブ型雇用」なぜ今? 失敗の歴史と令和の雇用事情を解説

日本的な雇用制度を見直して欧米型の合理的な仕組みを取り入れるべきという声は、過去幾度も提唱されました。しかしいずれも定着せず、現在も日本型の雇用制度は残っています。一方で、昨今注目される「ジョブ型人事制度」は浸透を始めています。これまでの「脱日本型雇用」との違いとこれからの日本の雇用の変化について解説します。

[赤羽博行,あしたのチーム]

著者紹介:赤羽博行

あしたのチーム 代表取締役社長CEO

大学卒業後コンサルティング会社にて、財務管理会計を中心とした基幹系システムの開発、提案、導入コンサルティングを担当し、その後人事や顧客、与信、決済、債権管理といった業務システム全般のコンサルティングや新規事業の立ち上げに関わった実績を持つ。あしたのチーム設立直後の2009年から社外取締役として参画し、2018年6月より代表取締役社長CEOを務める。

サマリー

  • 「ジョブ型」の歴史、過去の「脱日本型雇用」と何が違うのか
  • ジョブ型を「取り入れざるを得ない」深刻な事情
  • 大企業と中小企業、企業と従業員それぞれにとっての「ジョブ型雇用」事情
  • 欧米欧州とは違う「日本版ジョブ型人事制度」がある

 新卒一括採用、年功序列賃金、終身雇用を前提とした日本型人事制度は「メンバーシップ型」と呼ばれます。これらは昨今注目される欧米型の人事制度「ジョブ型」との対比として呼ばれますが、実は欧米において「ジョブ型」という呼称や明確な定義はありません。

 雇用の在り方は欧州と米国においても少しずつ異なり、専門家の中でも定義は分かれます。経団連は「2020年 経営労働政策特別委員会報告」の中で、AI技術者などの高度専門人材の雇用についてジョブ型雇用の普及を指摘していますが、本稿ではジョブ型人事制度を「ジョブディスクリプション(職務記述書)で定義した特定の職務内容(業務・タスクの集まりである「ジョブ」)における成果基準を遂行するために必要となる人材を適正な対価(市場価値)で雇用するシステム」と定義し、過去の経緯と導入が進む背景を解説します。

「ジョブ型」の歴史、過去の「脱日本型雇用」と何が違うのか

 日本においては、1960年代初頭から「終身雇用と年功序列型賃金を見直すべきだ」という声があり、職務に応じて報酬を支払う欧米型の雇用システムへのシフトが検討されてきました。

 実際に「脱日本型雇用制度」の取り組みが進むきっかけとなったのは、1990年代に起きた「バブルの崩壊」です。人件費の抑制を主な目的として、業績や評価と連動して報酬を支払う(Pay for Performance)「成果主義」制度の導入が進みました。また、年功序列型賃金になりがちな職能等級制度を是正する目的で、職務等級制度(ジョブグレード)の導入による年功序列型から職務型の等級制度への移行(Pay for Job)も進みました。

 当時、多くの企業が成果主義を導入しましたが、その全てが成功したわけではありません。以下に成果主義の失敗事例を紹介します。

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