IDC Japanは国内のローコード/ノーコードプラットフォームの動向調査結果を発表した。導入企業は回答企業485社中4割近くなり、導入企業の6割が開発の民主化を進めていることが分かった。
IDC Japan(IDC)は2021年11月11日、国内のローコード/ノーコードプラットフォームの動向調査結果を発表した。
一般的にノーコードとは、コーディング作業なく画面設計のみでアプリケーションを利用できるツールや環境のことを指し、ローコードは最小限のコーディング作業のみでアプリケーション開発が可能なツールや環境を指す。例えば、「Microsoft Excel」で管理しているデータがあるならば、そのExcelシートをドラッグ&ドロップするだけでデータベース化できるというものだ。
IDCは同プラットフォームを、アプリケーション開発においてコーディングを最小限に抑えるもしくはコーディングすることなくビジュアルモデリングによって、データやロジック、フロー、UIなどを定義してアプリケーションを開発、運用できる環境を提供するソフトウェア製品またはクラウドサービスと定義する。
IDCが同年9月に国内企業485社に対して同プラットフォームの導入状況について調査したところ、導入企業は全体の37.7%だった。その内54.1%は直近2年以内に導入したと回答しており、同社は近年のローコード/ノーコードの流行が導入を後押ししているとみている。
また、導入に向けて実装/検証を進めている企業は12.8%、導入する計画のある企業は8.2%で、今後のさらなる導入も見込まれているという。
同プラットフォームを導入している企業の62.3%は、IT部門以外の部門や職種でもアプリケーションを開発できるようになっている。IDCはこのようにアプリケーション開発がIT部門以外の従業員でも可能になることを「開発の民主化」と呼ぶ。調査結果からIDCは同プラットフォームが開発の民主化を促進させているとする。
導入理由としては、「開発スピードの向上」が37.7%で最も高い回答率となった。さらに、「開発コストの削減」が30.1%となったことから、IDCは「開発工程の中で最も時間のかかるコーディングを減らすことで、開発のスピード向上とコスト削減を実現したいと企業は考えている」と予測する。また、業務プロセスの自動化が30.6%で2番目に高い回答率になりローコード/ノーコードで業務プロセスやワークフローを自動化するためのアプリケーションが開発されることが期待されているようだ。
ただし、同プラットフォームにはメリットもある一方でIT部門から見えないところで開発される"野良アプリ"がもたらすデメリットへの対策も重要だ。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティグループマネジャーの入谷光浩氏は「ローコード/ノーコードプラットフォームの導入後、いかに社内での活用度を高め、開発の民主化を推進していくかが重要だ。そのためには、開発スキルのトレーニング、勉強会や事例発表会の開催など、ローコード/ノーコード開発を社内に浸透させる組織や担当者が必要である。併せて、ローコード/ノーコード開発を安全に進めるための開発基準やデータ管理などの開発におけるガバナンスを策定することも忘れてはならない」と述べる。
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