コロナ禍によってデジタル技術への投資が進んだことで2021年のIT市場は回復傾向に転じた。2022年のIT市場はどこへ向かうのか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が契機となってビジネス環境は様変わりした。急激な環境変化に適応するために企業はデジタル技術への投資を積極的に進め、それが2021年IT市場の回復要因となった。回復傾向にあるIT市場だが、2022年はどこに向かうのか。IDCは、2022年の国内IT市場において鍵となる技術やトレンドを発表した。
2022年、グローバルIT市場は「デジタルファースト」へ進むだろうとIDCはみている。国内市場も例外ではなく、今後も断続的に起きるだろう環境変化に適応し、成長を継続できる組織能力(デジタルレジリエンシー)を身に付けるために今後もデジタル技術への投資が勢いを増すと予測される。
以降は、IDCが2022年に起こると予測するイベント10項目を紹介する。
2022年の国内IT市場は前年と比べて微増にとどまるが、サステナビリティと変化するビジネス環境への適応、現場のエンパワーメントに向けたデジタルファーストの姿勢が企業で強まる。
分散、多様化するデータやインフラストラクチャのレジリエンシーを向上させるために、デジタルインフラストラクチャへの変革が本格化する。
顧客と従業員エンゲージメントの変革を経験した企業は、クラウド型ツールやオートメーション、データ、AI(人工知能)を活用した新しいワークモデルの構築にまい進する。
企業のDataOpsの適用によって、機械学習ベースのデータエンジニアリングやビジネス分析、データクリーンルームの活用が進み、データ共有の適用範囲が拡大する。
オムニチャネルにおけるパーソナライズされた顧客エクスペリエンスを提供するため、動的な顧客理解の拡大に向けたCDP(Customer Data Platform)の構築が進む。
企業のセキュリティ、リスク管理、トラスト対応に関する信頼指標が、企業のブランド評価を測るネットプロモータースコアとして活用されるようになる。
効率性向上だけでなく、社会的責任の遂行や従業員エクスペリエンスの向上などを志向したリモートオペレーションの実現に向けた新たなプロセスの開発が進む。
企業の強みとしてのデータやアプリケーション、オペレーションを競合他社や異業種企業と共有するエコシステムプラットフォームの構築が加速する。
企業活動の分散化に対応しながら、「ワイヤレス主導」と「クラウドドリブン」なネットワークに向けて、企業のネットワークと運用の最適化に関する検討が進む。
DXを推進するために、企業のソーシング戦略の見直しが本格化する。
IDC Japanの寄藤幸治(リサーチバイスプレジデント)は、「COVID-19は収束を迎えたとは言えないが、企業は未来に向けた投資を進めている。ITサプライヤーは、企業の『Future Enterprise化』実現のため、顧客企業の従業員といったミクロな視点、顧客企業を中心とした産業エコシステムというマクロな視点など、さまざまな視点から支援すべきである」とコメントする。
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