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生体認証の安全神話を信じるユーザーたち 2人に1人がリスク無理解

日立が公開した「生体認証」に関する調査結果では、利用が進む半面、そのリスクについては理解が進んでいないことが明らかとなった。

» 2022年02月03日 18時00分 公開
[キーマンズネット]

 近年、スマートフォンやIoT機器の普及に伴ってサイバー攻撃が巧妙化し、ビジネスだけでなく暮らしの面でも情報セキュリティ対策の向上が求められている。政府の情報セキュリティ政策会議は毎年2月2日を「情報セキュリティの日」と定めるといった啓発活動を進めており、市民の情報セキュリティ意識の向上と、安心かつ安全な社会の実現は喫緊の課題となっている。

 指紋や顔、虹彩といった特徴で個人を認証する「生体認証」は、パスワードやQRコードよりも安全性が高く紛失の恐れも少ないことから有力な認証手段として注目され、既にスマートフォンやPCのログイン情報や大型イベントの入場システムなど幅広い場面での利用が進む。

 今後デジタル化が進む社会では、生体認証の活用に期待が高まる一方で、さらなる普及に向けて、生体情報の悪用やプライバシー問題などの課題を解消して安全な管理を実現することが重要だ。

生体認証に不安を感じないユーザーの半数はリスクを無理解

 生体情報を漏えいすることなく安全かつ確実に本人を認証できる公開型生体認証基盤「PBI」(Public Biometric Infrastructure)を開発する日立製作所(以下、日立)は2022年2月1日、全国の10〜70代の1500人を対象とした「生体認証に関する意識調査」(調査期間、2021年12月24〜27日)の結果を公表した。

4人に1人が生体認証を利用

 調査結果によると、普段からセキュリティ対策として生体認証を利用する回答者は25.5%だった。

セキュリティ対策で生体認証を利用している割合と生体認証を利用したい場面(出典:日立のプレスリリース)

 年齢別に見ると10代は48.8%、20代は34.9%となり若い層の利用が特に多いことが分かった。また、生体認証の利用者のうち73%が「スマートフォンロック」をきっかけに利用し始めた。今後利用したいシーンとして「スマートフォンロック」「ネット上でのカード利用・その他決済時」が上位となり、スマートフォンの普及やオンライン決済の需要拡大が生体認証の浸透に大きく影響していると分かる。

ログイン情報忘れ、何度も間違えロックがかかる 6割が認証で困った経験アリ

 調査では、57.3%の回答者がWebサイトや実店舗での本人確認時に困った経験があることが分かった。トラブルの内容としては「ログイン情報を忘れる」が最も多く36.2%、次いで「ログイン情報を何度も誤り、ロックがかかる」が20.1%で、ログイン情報を正しく覚えられないケースが目立つ。

認証での困りごと(出典:日立のプレスリリース)

 このような本人確認時のトラブルを生体認証で解消できる場合、利用したいかどうかを質問したところ、「そう思う」の割合は65.3%となり、生体認証の利用への期待が高まっていることが伺える。

7割以上が生体認証に不安を感じないが、約半数は生体認証のリスクを無理解

 生体認証を利用する上で安全性への不安を感じたことがある人は「生体情報を悪用される不安」「プライバシー問題に発展する不安」「生体情報の誤認証により本人が認証されない不安」などを挙げる一方で、不安を感じたことがない人の割合は73.3%となった。

 そのうち2人に1人が生体認証のリスクについて、「理解していたものはない」と回答したことから、生体認証の利用に不安を感じていない人の半数はリスクを正しく理解できていないことが明らかとなった。

生体認証の不安とリスク(出典:日立のプレスリリース)

 生体認証は、本人確認の煩わしさを解消し、パスワードなどよりもセキュリティ強度が高いという大きな利点がある一方、替えられない個人情報であるため、万が一データが漏えいした場合、重大なリスクに発展する恐れもある。生体認証を利用する上で求めることを尋ねたところ、82.7%が「安全性」と回答した。

 調査結果を受け、日立は「生体認証は、破棄や変更ができない生体情報を利用するため、その活用には高い信頼性の確保が必要です。今後デジタル化が進む社会では『生体認証』は本人確認を手軽かつ確実に実現できる利便性から生活者の意識においても不可欠な認証技術になるでしょう。生体認証に潜むリスクを正しく理解しないまま、不安を感じずに利用している人が多数いることも判明したため『生体情報の安全な管理』という課題の解消が、さらなる利用普及において重要であると認識しました」とした。

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