「UiPath 2022.4」が提供された。RPA実行環境としてmacOSをサポートした他、クラウドでもRPAを実行できるようになった。
UiPathは2022年5月24日、RPA(Robotic Process Automation)と人工知能(Artificial Intelligence)などの技術を組み合わせた業務自動化ツールの最新版「UiPath 2022.4」を紹介した。同社は2021年12月に「UiPath 2021.10」をリリースし、「エンドツーエンドの自動化の次のステージとなるセマンティックオートメーションの推進」をアピールしたが、「UiPath 2022.4」はその戦略を一歩進めたかたちだ。
同日に開催された製品発表記者会見では、冒頭に代表取締役CEOの長谷川 康一氏が「UiPathの自動化プラットフォームは国内外で広がっている。世界200カ国以上で200万人以上のユーザーが利用し、所属する企業や組織は1万100を超える」と説明。最新版UiPath 2022.4のアップデートポイントを紹介した。
今回のUiPath 2022.4ではmacOSを新たにサポートし、MacのデスクトップでWebブラウザ操作やアプリケーション操作を自動化できるようにした。記者会見では、Excelのシートに記載された情報をホテル予約サイトへ自動転記するデモが披露された。
RPAテスター向けの機能として「Automatic RPA Test Creation」も提供する。複雑に分岐するワークフローに対し、全てのパターンを網羅するテスト用データを自動で生成できるツールだ。これを利用することで、「テスト開発者はテストデータ作成の工数を削減できるとともに、抜け落ちや漏れのない安定した自動化テストを実現できる」とした。
最新版ではUiPathとして初めて、SaaSでRPA実行環境「UiPath Automation Cloud Robots」を提供する。仮想マシン型とサーバレス型の二つのタイプを用意した。
仮想マシン型「Cloud Robots - VM」は、Windowsベースのロボット実行環境を仮想マシンとして提供する。スケジュールやトリガーで実行する「Unattended Robot」を、Windowsの実行環境を構築することなくクラウドで稼働させられる。サーバや自動化フローの管理といった負担も軽減される。
一方、サーバレス型の「Cloud Robots - Serverless」は、APIとWebアクセスをベースにした自動化フローを、サーバレスに実行できる。サーバ環境を気にすることなく多数のジョブを並行して実行できるため、ジョブを急きょ増やしたいなどのケースで役立つ。UiPathの夏目健氏(アドバンスドテクノロジーアーキテクト部 エバンジェリスト)は次のように話す。
「SaaS型ロボットの登場により、手動実行の有人ロボットやスケジュールやトリガーで実行する無人ロボット、RPAの検証を行うテストロボットなど全てのロボットをUiPath Automation Cloudで管理できるようになった。これによりユーザーの幅広い業務ニーズに応え、RPAの自動化を企業に浸透させる」(夏目氏)
最新版では、AI-OCR機能も強化された。帳票をアップロードするとAIが帳票の読み取り項目を自動で設定する「Forms AI」機能によって、レイアウト定義の手間が省けるようになった。
書類解析ツールの「UiPath Document Understanding」では、UiPath OCRエンジンで日本語を読み取れるようにした。これまで、日本語を読み取る際はサードパーティ製のOCRエンジンを使う必要があったが、UiPath OCRエンジンの日本語対応によって選択肢の幅が広がった。現在は、パブリックプレビュー版をクラウド版で提供しているが、今後オンプレミス版も提供予定だ。
UiPathと外部サービスを連携させるためのコネクターも拡充された。連携可能サービスとして新たに「Slack」「Salesforce Marketing Cloud」「Adobe PDF Servicesが追加され、コネクターは40以上に増えた。外部サービスとのコネクターが充実したことで、RPA開発者の工数削減や開発期間短縮につながるという。
セキュリティやコンプライアンスの面でもアップデートがあった。従来、一部のサービスで対象範囲に含まれていなかったSOC 2およびHIPPAのセキュリティ認証を全サービスで取得した。従来よりも細かくアクセスを制御できるようになり、ITガバナンスが強化された。さらに全てのユーザー企業のデータを単一のデータセンターに集約したことで、情報保護規則の厳格な順守が求められるユーザーにも対応した。
「今回20種類以上のサービスに対して100以上の機能追加を行った。業務自動化の範囲をより効率的に拡大するための機能やユーザーからの要望の高かった機能を実装している。今後も自動化に役立つ製品や機能を提供する」(夏目氏)
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