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多摩都市モノレール、複雑怪奇な列車ダイヤと車両運用をAIで最適化

東芝インフラシステムズと東芝は、多摩都市モノレールの列車ダイヤと車両運用をAIによって最適化し、2022年3月12日のダイヤ改正にその成果を適用した。運用コストを年間5%程度削減可能だという。

» 2022年06月29日 15時32分 公開
[キーマンズネット]

 東芝インフラシステムズと東芝は2022年6月27日、多摩都市モノレールの列車ダイヤと車両運用をAI(人工知能)によって最適化し、同年3月12日のダイヤ改正にその成果を適用したと発表した。これによって、運用コストを年間約5%削減できるとしている。

 鉄道会社は、列車ダイヤに従って列車を運行するが、全ての車両を同時に使用できるわけではない。限られた車両を効率よく運用するために、各種検査や清掃のスケジュールを決める検査、清掃計画と、各列車ダイヤをどの車両で運行するかを決める配車計画を組み合わせ、最適な車両運用計画を立てる必要がある。

 従来はこれを専門知識と経験を持つ従事者が時間をかけて作成してきたが、検査・清掃は営業運転の合間に車両基地で行われること、平日と土休日で列車ダイヤが異なっていることなど、非常に多くの条件を考慮する必要があり、最適な計画を練ることが難しかった。一部を変更すると、計画全体の再作成に多大な労力が必要なことも課題だったという。

 こうした課題を解決するため、どのようにAIを活用したのか。

輸送計画最適化AIによる改善効果(出典:東芝インフラシステムズのリリース)

3つのAIを組み合わせて車両運用計画を最適化

 東芝研究開発センターは多摩都市モノレールに導入済みの輸送計画ICTソリューション「TrueLine」のダイヤデータを基に、現場のノウハウや制約条件を数理モデル化した輸送計画最適化AIを開発。これを、東芝インフラシステムズと多摩都市モノレールが調整しながら検証を重ねた。

 TrueLineが備えているAIは、「検査・清掃計画AI」「配車AI」「運用循環AI」の3つだ。

 検査・清掃計画AIについては、規定の周期や作業工数を守りつつ作業の回数を最小化するよう検証を実施し、効率の良い検査・清掃作業の計画を確認したという。

 配車AIは、検査・清掃計画の結果を利用して、日々の配車を計画する。検査・清掃計画の結果から配車可能な車両を抽出し、配車を計画できることが確認できたとしている。

車両運用計画作成業務フローのAI位置付け(出典:東芝インフラシステムズのリリース)

 運用循環AIでは、 平日と土休日の異なるダイヤでも車両を均等に運用し、検査時期が均等に訪れるような運用順を計画できることを確認した。出入庫順も計画でき、縦列留置となる車両は出入庫時間差を大きくすることでダイヤに乱れが生じても、基地内の運用をできるだけ変えずに済む計画を作成できたとしている。

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