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BBQで気付かされた、“ある税金”が普通に徴収される日が来るかも?

環境負荷削減の取り組みが叫ばれるこの時世、世界各国で「ある税金」の導入が議論されている。キャンプ好きな筆者はあることを心配していて……?

» 2023年01月27日 08時00分 公開
[キーマンズネット]

 2023年に入って初めての出張、香川の丸亀へ。翌日の取材に備えて前日に香川入り。“うどん県”での夜だけに、うどんをチョイスしたいところだが、丸亀駅の近くにうどんの名店を見つけられず。そこで、丸亀を代表する骨付鳥の名店にて、丸鳥をおいしくいただく。

 翌日は午前11時からの取材で時間に多少の余裕があったため、朝早い時間にホテルをチェックアウトし、徒歩圏内にある、日本100名城の1つである丸亀城を訪問。急勾配な見返り坂を登って天守閣から丸亀の街を一望、今年も元気に頑張れそうな気がする。根拠は全くないが。

丸亀城の天守閣から。遠くには瀬戸大橋が見える。

“ある税金”が普通に徴収される日が来るかも?

 筆者はメディアで仕事をしていることもあり、普段から多くの取材をこなしている。そうした中で、一昔前に比べて新しいジャンルのソリューションに出会う機会が減りつつあると感じている。今ではDX(デジタルトランスフォーメーション)関連のソリューションやゼロトラストをはじめとしたセキュリティ関連のソリューションが取材対象となりやすいが、これらはさほど「新たなジャンル」というわけではない。

 そんなおり、久しぶりに聞き慣れない領域のソリューションに触れた。世界で導入が進む“ある税金”の支払い義務にかかわるソリューションだというが、一体どのようなものなのか。

 カーボンアカウンティング、いわゆる“炭素会計”と呼ばれるものだ。日本においては、金融機関の一部に導入されている。今後は製造業など多くの業態において必要になる可能性のあるソリューションだ。

 炭素会計は、環境負荷軽減を目的にしたソリューションだ。企業の環境負荷軽減の取り組みは、オフィス冷暖房の温度設定を調整するといった地道な活動をはじめ、太陽光などの再生可能エネルギーへの切り替え、植林や環境保護への寄付などを通じてCO2排出量を相殺するカーボンオフセットの実施など、さまざまなアプローチがある。

 その一つとして、多くの企業が関心を示しているのが、欧州連合(EU)が導入を進める「国境炭素税」だ。EUは、2021年に環境規制の緩い国からの輸入品に課税する国境炭素税を導入すると決定した。2022年12月には国境炭素調整措置(CBAM)の設置規則案について暫定的な合意に達して、2026年から炭素賦課金の支払義務化を実施すると公表した。この義務化によって、日本からEUに対象製品を輸出する際には、炭素賦課金を支払わなければならなくなる。

 米国では、米証券取引委員会(SEC)が企業に対して温室効果ガス排出量と気候変動リスクの開示を義務付ける「気候関連開示規則案」を検討している。国内外を問わず米国に上場している企業は、CO2排出量の報告が必要になる可能性が高い。

 日本では、2023年1月に召集される通常国会に「GX(グリーントランスフォーメーション)推進法案」が提出される見込みだ。その中で「カーボンプライシング」(炭素課金)の導入が盛り込まれると各メディアが報じている。

 今や、2050年までのカーボンニュートラル(CO2排出をネットゼロに)を表明している国は120カ国を超えている。環境負荷軽減に向けた取り組みはこれからますます加速することだろう。

サプライチェーン全体での排出量も導き出す炭素会計とは?

 ただし、CO2排出量を削減するためには、企業活動におけるCO2の排出量を把握する必要がある。そこで期待されているのが、炭素会計と呼ばれる仕組みだ。炭素会計は、事業活動の中で「どれだけ温室効果ガスを排出したか、あるいはその削減に寄与したか」を算定し集計する仕組みだ。企業の活動量データをERPなどのシステムから収集して、算出のための基本式を用いて排出量を導き出す。その上でさまざまなシミュレーションをしながら削減計画を立てて、プロジェクトを動かすものだ。

 排出量は、事業者が自ら排出するスコープ1、他社から供給された電気、熱・蒸気の使用によって間接的に排出するスコープ2、そしてサプライチェーン全体で間接的に排出するスコープ3を積み上げて算出する。

 炭素会計におけるデータ収集は、主にETLやEAIなどのソリューションが担う。それらを収集して、活動量と国ごとに指定されている排出原単位に基づいて排出量を導き出せる。日本では炭素会計ソリューションを導入しているケースは少ないものの、炭素税など直接収益に影響する企業もあるだろう。炭素会計ソリューションは、今後関心を集めるソリューションになると予想できる。

2023年もキャンプに期待、炭は大量に使うが……

 さて、2023年もすでに1カ月弱が経過しようとしている。2022年同様、あっという間に年末を迎えてしまいそうで怖い。まあ具体的なことは何一つ決まっていないが、昨年から本格的に始めたキャンプだけは、しっかり楽しみたいものだ。

 先日、実は家族ぐるみの付き合いのある知人から、早速キャンプのお誘いをいただいた。予定は3月下旬、今からキャンプ場を押さえておかないと埋まってしまうらしく、参加するなら予約してくれるとのこと。

 もちろん二つ返事でオーケーしたのだが、キャンプといえば、たき火、たき火といえば炭、炭といえば炭素、炭素といえば……た、炭素会計……!

 キャンプで使う炭であれば地球環境に与える影響は軽微だと思われるが、いずれキャンプ用の炭も、「個人的な活動におけるCO2排出量の一部として計算すべし」なんて時代が来ないことを願いたい。


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