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結局、何日出社すればいいの? 成功例に学ぶ「正しい出社頻度」とは

専門家によれば、ハイブリッドワークを正しく実施できていないと、さまざまな悪影響があるようだ。結局、どの程度の出社頻度が「正解」なのだろうか。

» 2023年05月15日 07時00分 公開
[Ryan GoldenHR Dive]
HR Dive

 Gartnerが発表した調査結果によれば、ハイブリッドワークを正しく実施しないと従業員が退職する可能性が高まるという(注1)。

 Gartnerによると、ハイブリッドワークの成功事例に見られる特徴は「可視性」と「柔軟性」「つながりの支援」だ。同社の調査結果から、チームメンバーと仕事のスタイルの好みを共有することで、そうしないチームと比較して、エンゲージメントやインクルージョン、パフォーマンスが高まることが分かった。

正しい「出社の頻度」とは?

 では、多くの企業が悩む「出社頻度」はどの程度が良いのだろうか?

 対面を前提とした業務環境を構築しなくても、定期的に対面で接する機会を用意すれば、ハイブリッドワークでも生産性を維持できるとGartnerは述べる。同社によると、ハイブリッドワークで成果を維持するためには週3日以上はテレワークを実施する必要があるという。

 近年の研究では、ハイブリッドワークのような柔軟な働き方が従業員や職場文化に与える影響について、さまざまな主張が交わされている。

 オフィスや働き方に関する国際団体のInternational Work Group(以下、IWG)が実施した調査によると、ハイブリッドワークは従業員が幸福を追求する時間を確保するのに役立つという(注2)。ハイブリッドワークを経験した回答者の65%は「運動する時間が増えた」と回答し、「年間で約3日分の睡眠時間が増えた」と回答した。2022年にIWGが人事担当者を対象に実施した別の調査では、子育てなどの事情を抱えた候補者にとって、ハイブリッドワークの有無が企業選びのポイントになっているという結果が得られた(注3)。

 一方、ハイブリッドワークやテレワークが従業員にとってネガティブな結果をもたらすという主張もあるようだ。福利厚生や働き方に関する調査団体のIntegrated Benefits Instituteが2023年2月に実施した調査によると、柔軟なモデルで働く従業員は、対面で働く従業員に比べて不安やうつ症状が増加していることが明らかになった(注4)。Glassdoorのレポートによると、在宅勤務はキャリアが浅い人から低い評価を得ており(注5)、DDIのレポートではハイブリッドワークが企業のリーダーに対する従業員の信頼低下につながる恐れがあると指摘している(注6)。

 全社一律のハイブリッドワークは(注7)、従業員の選択肢管理職との交渉機会を確保する制度よりもエンゲージメントや生産性、定着率の低下につながる可能性が高いという調査結果もある。企業は従業員同士のコミュニケーションに投資できているか、留意するべきだ(注8)。

 Gartnerのケイトリン・ダフィー氏(人事施策担当リサーチディレクター)は次のように述べる。

 「現在多くの企業で実施されているハイブリッドワークは、『対面での業務の方法をテレワークに取り込む』視点が欠如している。形式的なハイブリッドワークに固執するのではなく、人事担当者は自社に合った新しい方法を確立することで従業員同士の摩擦を減らし、エンゲージメントを高めることができる」(ダフィー氏)

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