調査によると、キャリアの浅い従業員は在宅勤務を好まない傾向があるようだ。なぜだろうか?
近年、在宅勤務が一般的になりつつあるが、企業情報サイトGlassdoorの経済調査チームが2023年3月28日に発表したレポートによると、キャリアの浅い従業員は在宅勤務を好まない傾向があることが明らかになった(注1)。
なぜ、キャリアの浅い従業員は中堅やベテランの従業員に比べて在宅勤務を好まないのだろうか?
キャリアの浅い従業員の在宅勤務に対する評価は5段階中4.3と最も低く、中堅従業員(4.6)や管理職(4.6)、役員(4.7)と比べても低くなっている。
Glassdoorのアソシエイトエコノミスト兼データサイエンティストのリチャード・ジョンソン氏は以下のように述べる。
「キャリアが浅い従業員は、新しい組織でしっかりとした足場を築こうとしても、テレワークがその障害になるケースがある」(ジョンソン氏)
キャリアの浅い従業員は全般的な勤務満足度も低いことが調査で分かっている。全体的な評価と在宅勤務の評価の差を見ると、中堅従業員の在宅勤務への満足度の高さが顕著だ。
この結果は、パートタイムの労働者がフルタイムの労働者よりテレワークを否定的に論じる傾向があるという点で、Glassdoorの過去の調査結果と一致するとジョンソン氏は述べる。テレワークはコミュニケーションの問題から、パートタイマーやキャリアの浅い従業員に悪影響を及ぼす可能性がある。
「テレワークでキャリアの浅い従業員が経験のある従業員と同じように満足するために必要なサポートやリソース、機会を十分に得られるようにするには、まだ課題が残っている」(ジョンソン氏)
一方、在宅勤務は休暇(有給休暇)や健康保険と並んで重要な福利厚生だと捉えられている。従業員はスケジュールの柔軟性や生産性、大切な人と過ごす時間、通勤時間の短縮など、在宅勤務の経験についてポジティブな面を挙げている。職種別では、技術営業とサポート職のテレワークに対する評価が最も高く(5段階中4.9)、次いでビジネス開発職(4.8)、弁護士(4.8)の順だった。
同レポートは、テレワークに対する評価と全体的な勤務満足度との差についても報告した。ソーシャルワーカーが最も差が大きく、在宅勤務に対する満足度が高いことを示していると考えられる。在宅勤務に最も満足している職業として、カスタマーサービス担当者や支店長、経営コンサルタント、アカウントエグゼクティブ、アンダーライターが上位に挙げられている。これらの職業は全てテレワークの評価が4.6以上であり、在宅勤務の評価が総合的な勤務満足度より高い。
「テレワークが可能な全ての職種で一貫しているのは、在宅勤務に対する高い満足度だ。全体として、職場の柔軟性を後退させたり、単に出勤の日数を増やしたりするだけの企業は、離職率が高まるリスクがある」(ジョンソン氏)
テレワークやハイブリッドワークの形態は、今後も効果的な人材確保や採用のツールとなり得ると予想されるが(注2)、人事担当者や企業のリーダーは、職業や職務レベルによって異なる従業員のニーズを考慮する必要がありそうだ(注3)。
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