RPAブームから数年がたった今、企業におけるRPA活用率はどのように変化しているのか。大規模調査から読み解く。
業務自動化の現在地を探るために、キーマンズネットは「業務自動化に関する意識調査2023年」と題してアンケート調査を実施した(期間:2023年7月20日〜8月31日、有効回答数:606件)。本連載は、全8回にわたってアンケート調査から得られた結果を紹介する。
第2回となる本稿では、業務自動化のための主要なツールであるRPA(Robotic Process Automation)の導入状況や、導入時の壁、主要製品のシェアなどを紹介する。なお、グラフで使用している数値は、丸め誤差によって合計が100%にならない場合があるため、ご了承いただきたい。
RPA導入の主な背景となるのが、人手による繰り返し作業の自動化によるコスト削減や生産性の向上だ。導入の動機となるような単純な繰り返し作業はどの程度存在するのか。調査対象者に勤務先の業務で繰り返し作業や定型作業が占める割合を感覚値で聞いたところ、最多が「ごく一部存在する」が57.8%で、次いで「業務の約半分を占める」が24.8%となり、「業務の大半を占める」との回答は4.6%にとどまった(図1)。
次に、RPAの導入状況について見る。2022年の調査では、導入済みは「トライアル実施中」(8.5%)、「トライアル完了」(1.5%)、「本格展開中」(6.2%)、「本格展開完了」(23.9%)を合わせて40.1%だった。この状況はどのように変わったのだろうか
今回の調査においては、導入済みは「トライアル実施中」(11.2%)、「トライアル完了」(3.6%)、「本格展開中」(21.9%)、「本格展開完了」(10.2%)を合わせて46.9%だった。本格展開中、本格展開完了を合わせた割合は2022年とほぼ変わらず、トライアル企業が微増した(図2)。導入状況はここ数年でほぼ横ばいではあるが、未導入企業の中でも「興味がある」(25.4%)、「検討中」(7.3%)を合わせた32.7%がRPAに強い関心を寄せていて、いまだ潜在的なニーズがあることが分かる。
企業規模別に調査の結果を見ると、従業員数が多い企業ほど導入率、特に「本格展開中」「本格展開完了」の割合が高い傾向にある。一方で、「興味はある」「検討中」を合わせた関心度の値は、「1〜100人」(31.2%)、「101〜500」(27.5%)、「501〜1000人」(31.2%)、「1001人〜5000人」(23.4%)、「5001人以上」(24.6%)となり、企業規模にかかわらずニーズがあると考えられる(図3)。
最後に、RPA製品に関する理解の程度を探るために、RPAの代表的な10製品に対する理解度と利用経験の有無について聞いた。各製品とも認知度や導入率はほぼ変わらなかった。
導入率は横ばいではあるものの、企業規模に関わらず強い関心が寄せられているRPA。普及期に入り、企業によってはRPAで業務プロセス改革に成功しているケースもある。一方で導入時の壁や、導入後の運用の課題などで利用を挫折する場合も聞かれる。次回は、RPAが抱える課題とその解決策について考える。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。