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バリューチェーン分析はいいことだけじゃない 短所と長所をそれぞれ紹介

効率性の向上とコスト削減を追求する企業にとって、バリューチェーン分析は欠かせなくなってきている。一方、長所と短所をそれぞれ知っておかないと、思わぬ結果を招く可能性もある。

» 2023年11月17日 08時00分 公開
[Paul MaplesdenTechTarget]

 バリューチェーン分析は企業のプロセス改善に役立つが、短所もある。企業リーダーは短所についても理解を深めることで、「ツールと戦略の適切な組み合わせ」を実現できる。

 バリューチェーン分析は、「バリューストリーム分析」や「リーンシックスシグマ」のような継続的改善フレームワークと組み合わされる場合が多く、企業活動のための“継続的な改善”を目的としている。

 バリューチェーン分析によって、企業は自社の特定の事業活動がエンドユーザーにどのような価値を提供しているかを知ることができる。このような活動は生産効率の最大化やコスト削減、企業の収益改善に役立つが、バリューチェーン分析に頼りきりでは企業のリーダーが重要な情報を見逃す恐れもある。

バリューチェーン分析の3つの短所とは?

 バリューチェーン分析を的確に使わないと、企業は思わぬ結果を招く可能性がある。

短所1 バリューチェーン分析によって改善の機会が失われる可能性

 バリューチェーン分析の長所の1つに「個々のプロセスに焦点を当てる」というものがあるが、これは“潜在的な弱点”でもある。

 特定のビジネスプロセスだけに焦点を合わせることで、企業リーダーはその他の潜在的な機会を見逃す恐れがある。リスクと機会を完全に見通すには、バリューチェーン分析に加えて他のビジネス分析手法を組み合わせることが不可欠だ。

短所2 サードパーティーが対象の場合はうまくいかない可能性

 バリューチェーン分析には「データへのアクセス」「継続的改善への気構え」「変化への強い関心」が欠かせない。企業リーダーは、社内で賛同を得ていても、ベンダーやパートナーといった外部の利害関係者の同意を取り付ける必要がある。

 企業リーダーは、バリューチェーン分析をサードパーティーにも説得できるように、強固な関係を構築していなければならない。

短所3 サービス業にはうまくいかない可能性

 バリューチェーン分析は製造業の製造過程などで効果を発揮しやすく、サービス業への適用は難しい場合が多い。サービス業は従業員と消費者の関わり方がビジネスの基盤になっており、それには企業ごとに大きな違いがあるためだ。

 サービス業を手掛ける企業の場合は、バリューチェーン分析よりも「カスタマージャーニーに焦点を合わせる戦略」として、顧客体験(CX)に関するデータを取得して分析するほうが良い成果をもたらす可能性がある。

バリューチェーン分析の長所3つ

 バリューチェーン分析の長所は以下の3つだ。

長所1 バリューチェーン分析はビジネスプロセスを分析する体系的アプローチ

 企業は消費者向けの商品やサービスを生み出すために、さまざまな活動に取り組んでいる。バリューチェーン分析は特定のプロセスに含まれる多様な活動を調べるもので、企業リーダーが業務改善の方法を見いだすのに役立つ。

 企業リーダーは、この手法を自社やサプライヤー、場合によっては競合企業にも適用できる。

長所2 バリューチェーン分析はデータによる客観的なインサイトを提供

 バリューチェーン分析は、質の高いデータを利用して現在のビジネスプロセスに関するインサイトを提供する。これによって企業は、コスト削減や自社製品やサービス差別化に取り組む中で客観的な情報源を利用できる

長所3 バリューチェーン分析は製造や製品開発の改善に役立つ

 幅広い業界でバリューチェーン分析は利用可能だが、特にメーカーには大きなメリットがある。メーカー企業は、調達や保管、受注処理、流通などの製造過程を持っており、この全てにおいてバリューチェーン分析の適用が可能だ。

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