ぱっと見は同じUSB Type-Cケーブルに見えても「これ何に使えるんだっけ?」と思うことがある。こうしたユーザーの悩みを解決する、ある方法が生み出された。
外見は同じように見えるUSB Type-Cケーブルでも「デバイスは動かないけど、充電だけはできる」など、ケーブルによって仕様が異なることに憤りを覚えたことがある人もいるだろう。
ちょっぴりイラっとするこの問題に終止符を打つ、ある秘策が編み出された。この問題をどう解決しようというのか。
USB Type-Cケーブルに起こりがちな問題の解決方法を提示したのは、ゲーム配信者向けにビデオキャプチャーデバイスやコントローラー、ライティング機器などの製品を販売するElgatoだ。
オーディオエンジニアでありゲーム配信者としても著名なMatt “Spike” McWilliams氏によれば、Elgatoの製品がこのUSB Type-Cにまつわる問題を解決するという。McWilliams氏は「X」(旧Twitter)に、「Elgatoの製品はグローバルスタンダードになるべきだ」と称賛のポストを贈った。Tech系情報サイト「The Verge」がそのことを記事で紹介したことでさらなる話題になった。
McWilliams氏が称賛したのは、Elgatoのテレプロンプターに付属していたUSB Type-Cケーブルだ。彼のポストに添付された画像では、USB Type-Cケーブルのコネクター部分に、「3.0」という規格名と「5Gbps」という最大転送速度が刻印されている。これで「USB 3.0」(「USB 3.1 Gen 1」および「USB 3.2 Gen 1」)に対応するUSB Type-Cケーブルであることが一目で分かる。特に「USB 3.x」はバージョンが上がるにつれて「Gen」表記が付くなど分かりにくいが、これでその問題も解消されるというわけだ。
以下は、USB Type-Cケーブルが対応する規格名と最大転送速度、ケーブル長をまとめたものだ。
USB 2.0(480Mbps、4m)
USB 3.1 Gen 1(5Gbps、2m)
USB 3.1 Gen 2(10Gbps、1m)
USB 3.2 Gen 1(5Gbps、2m)
USB 3.2 Gen 2(10Gbps、1m)
USB 3.2 Gen 2 x2(20Gbps、1m)
USB4 Gen 2 x2(20Gbps、1m)
USB4 Gen 3 x2(40Gbps、0.8m)
Thunderbolt 3(40Gbps、0.8cm)
Thunderbolt 4(40Gbps、2m)
ケーブルは表記以下の長さでなければ規格に沿った最大転送速度が出ない可能性がある。つまり、長すぎては思うように速度が出ないということだ。さらにUSB Type-Cには「USB PD(USB Power Delivery)」という電力供給規格が定められている。最大240W(ワット)までの給電が可能だが、ケーブルによっては最大15W/30W/60W/100Wというように対応する給電能力が異なる。
そして、USB Type-Cケーブルの最大転送速度とUSB PDについては大は小を兼ねる。最大転送速度が大きければ、その速度未満の規格にも対応する。しかし、その逆はできない。充電するのに20W必要なスマートフォンなら30W対応のケーブルで給電できるが、60Wが必要なノートPCには給電できない。
つまり接続するデバイスを正しく使いこなすためには、使うUSB Type-Cケーブルの素性を正確に把握する必要があるわけだ。そのためにも、USBの規格を制定するUSB-IF(USBインプリメンターズ・フォーラム)は、下図のようなアイコンをパッケージおよびケーブルに刻印することを推奨する。
カラーのアイコンはパッケージに、モノクロのアイコンはケーブルに刻印する。これなら最大転送速度も給電能力も一目で分かる。だが、推奨であって義務ではないので、今のところは広く使われているわけではない。そのため、Elgato製のケーブルに刻印された規格と速度表記が有効であるとMcWilliams氏は称賛したのだ。
そしてこの盛り上がりを受けてElgatoのシニアバイスプレジデントであるJulian Fest氏は、今後同社の製品に付属するUSBケーブルおよびHDMIケーブルには必ずスペックを刻印するとXに投稿した。デバイスがうまく動作しない場合でも「ケーブルが技術的な原因かどうかを推測する必要はなくなる」とし、ユーザーの不満をこれ以上増さないことを表明した。
The Vergeの編集者であるTom Warren氏は「全てのメーカーがこれを採用してほしい」と語る。USB Type-Cケーブルにはっきりと刻印されたスペックは、今後、われわれのデジタルライフをより便利にしてくれる可能性を秘めているのかもしれない。
上司X: USB Type-Cケーブルに施されたスペックの刻印が意外と便利、という話だよ。
ブラックピット: ええ、まあ確かにそうですね。手元にあるType-Cケーブルって外観は同じですけど、どういうスペックだかはっきり分からないですもんね。
上司X: 挿してみないと使えるかどうか分からんというのはとても不便だ。パッケージ入りで買ったケーブルはともかく、デバイスに付属するのはホント素性不明になる。
ブラックピット: そうですよねえ。そして、また抜いたらそのケーブルの素性は分からなくなるというね。
上司X: Elgatoのようにケーブル単体でスペックが分かるようになると、確かにそういうこともなくなるかもしれん。
ブラックピット: それにしても、最近、USB Type-Cケーブルの話題が増えた気がするんですけど。
上司X: んー。「iPhone 15」のせいかな? と思わなくもないが。多分、気のせいだろ。
ブラックピット: Type-Cにほぼ統一されてよかったと思いきや、みんなの不満が爆発したという感じでしょうかね。ともかく、他のメーカーもElgatoに追随すればいいですね。
上司X: まあそうだな。結局ケーブルで迷いたくなかったら「Thunderbolt 4」ケーブルなんかを買っておけば間違いないんだろうが、それなりに高いしな……。付属のケーブルもちゃんと使いたいし。だからこそ、今回の取り組みは評価されてるってことだ。ほんと、みんなマネすればいいと思うよ。
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
年齢:46歳
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中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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