メディア

怪しい情報でも「ガセネタか本当か」をネットで確かめてはいけないワケ:746th Lap

インターネットには正しい情報だけでなく、フェイクニュースなどの誤情報も多い。そうした情報を見つけるとついネットで「本当かどうか」を確かめたくなるものだ。

» 2024年02月09日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 世界は陰謀論やフェイクニュースといったさまざまな誤情報であふれている。もちろん、その情報を信じるか信じないかは個人の自由だが、場合によっては周囲との人間関係に影響を与えることもある。

 フェイクニュースなどの誤情報を見つけると、つい「本当か」とネットで検索してしまいがちだが、実はそれは「やってはいけないこと」だという。それはなぜか?

 正しい情報にしても誤った情報にしても「元ネタ」となる最初の発信情報がある。それを見つけることで「真実」にたどり着く可能性は高い。

 誤情報を流す人々は「自分で調べてください」というフレーズをよく使うそうだ。ある研究結果によると、この「自分で調べる」という行為が結局のところ誤情報を信じることにつながるのだという。この研究結果をまとめた論文が科学誌『Nature』に掲載された。そして2023年12月20日、科学情報誌『Scientific American』のWebサイトにその論文に関する記事が掲載されて話題となった。

 記事によれば、論文を発表したセントラルフロリダ大学のケビン・アスレット氏をはじめとする研究チームは、2019年から2022年にかけて数千人の被験者に対してタイムリーなニュース記事を読んでもらい、そのニュースが「真実」「虚偽」「不明瞭」のどれに該当するかを分類させた。一部の被験者群には、それを確認するために「Google」などの検索サイトを使うよう指示した。

 専門家のファクトチェッカーがその結果を確認したところ、検索なしで分類した被験者群に比較して、オンライン検索で分類した人たちの方が約20%も多く虚偽情報を「真実」と判断したという。

 研究チームがその理由を検証すると、検索サイトで情報を検索した場合、多くの被験者は検索結果の1ページ目に表示されるリンクをたどることが多く、その結果、誤情報やフェイクニュースを読み、信じることが多かったという。3分の1の被験者の検索結果に誤情報が表示され、約10回に1回はその誤情報のリンクをたどっていたそうだ。

 当時は折しもコロナ禍のまっただ中であり、真偽が定かではないさまざまなニュースが飛び交っていた。研究チームは一例として「U.S. faces engineered famine as COVID lockdowns and vax mandates could lead to widespread hunger, unrest this winter.」(新型コロナウイルス感染症によるロックダウンとワクチンの義務化により、米国は仕組まれた飢餓と不安に直面する)というタイトルのニュースを検索すると、ヒットした検索結果の約63%が信頼性の低い情報だった。

 このタイトル中の「engineered(仕組まれた)」こそが誤情報へと導く「キーワード」だと研究チームは分析した。このワードは、誤情報を発信する人が頻繁に利用する単語で、これを除外して検索すると誤情報が表示されることはなかったという。つまり、そのワードを含むからこそ、検索結果には似たような誤情報が優先的に表示されるのだ。

 このことから、研究チームは誤情報の真偽を調べようとした時に特徴的なキーワードと検索エンジンの仕組みによってさらなる誤情報に導かれることになり、それを信じる人が増えると結論づけた。そして、冒頭で触れたように、注意すべきは誤情報の発信者たちは「Do your own research」というフレーズをよく使うということだ。彼らが意図しているかどうかは明確ではないが、結果的にこのフレーズが誤情報とへ誘導していることにほかならない。

 研究チームは対策案として、ユーザー、特に高齢者のデジタルリテラシーを向上させるプログラムを提供すること、そして検索エンジンを改善して誤情報を優先的に表示しないようにすることを挙げた。今後、検索エンジンの改良は進むかもしれないが、まずは、われわれが「検索結果は必ずしも正しくない」ことを肝に銘じながらインターネットを利用する心構えが必要になりそうだ。


上司X

上司X: フェイクニュースや誤情報の真偽を調べるのに検索サイトを使うと、逆に誤情報を信じちゃう傾向にあるという話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: 誤情報のタイトルに含まれているワードが、さらなる誤情報へ導くと。なるほど。


上司X

上司X: まあ、もっともな話ではあるけどな。


ブラックピット

ブラックピット: 怪しいワードには気付きにくいものですものねえ。


上司X

上司X: よく「認知バイアス」なんて言われるけど、検索サイトで検索することでそういう思い込みや先入観を加速させてしまう結果になるのだろうな。


ブラックピット

ブラックピット: 近ごろだと、生成AIを使ったフェイクニュースなんかも増えていますしね。画像や動画なんかもフェイクでいろいろ作れるそうですし。


上司X

上司X: そうだな。ますます誤情報があふれる世の中になりそうだ。


ブラックピット

ブラックピット: ホントに。「信じるか信じないかはあなた次第!」でいいんですけど、それを拡散したり周りに強要したりする人たちがちょっと苦手ですね。


上司X

上司X: キミにも苦手な人がいるんだな。そういうときって、面と向かって否定しても逆にトラブルになりそうだから厄介だよな。かといって自分で調べるように言えばもっと深みにはまる……なんともやるせないことだ。なんとか早めに解決の糸口を見つけたいものだよ。

川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。

編集部からのお知らせ