BPOは、他の業界と比較してAIの導入率が高いという特徴がある。その理由と活用方法について紹介する。ぜひ組織にAIを取り入れる際の参考にしてほしい。
AI(人工知能)の導入方法に悩んでいる組織は、ビジネスプロセスアウトソーサー(BPO)の例を参考にすべきだ。他の業種に比べて、BPO業界におけるAIの導入率が高いという。その理由と、具体的な活用方法を紹介する。
コンサルティング企業であるMetrigyのロビン・ガレイス氏(CEO兼プリンシパル・アナリスト)によると、これはBPOが社内のCX戦略のためにDX(デジタルトランスフォーメーション)、つまりAIのような革新的なテクノロジーを受け入れているためだという。コンタクトセンターにとってAIは目新しいものではないが、より新しいテクノロジーに投資するBPOは、多くの場合、エージェントと顧客の満足度を高めている。
「AIと自動化:BPOにおけるCX成功のためのステージ設定」と題したウェビナーでは、ガレイス氏と、業務効率化ソリューションを提供するNICEのトム・スタンリー氏(地域を担当するバイスプレジデント)が、BPOおよびそのコンタクトセンターエージェントにおけるAIの長所や短所、使用例を確認した。
ガレイス氏は、ウェビナーで次のように述べた。
「多くの人は『AIを活用すべきだろうか。エージェントを困惑させるかもしれない』と心配するが、私たちはAIの活用が利益になるとみている。AIは、組織の成功を長期化し、組織が必要とする回答を提供してくれるためだ」
Metrigyの調査によると、BPOは他業界の組織よりも、AI投資を優先事項として認識している。こうした背景から、BPOは自社や顧客のためにAI戦略を実施した経験を持ち、AI投資に関して信頼できるアドバイザーになる可能性が高い。
BPOは、主に次のような方法でAIを活用している。
多くのBPOが、会議の議事録やセルフサービスチャネル用のコンテンツ、顧客フィードバック用の要約などを作成するタスクにおいて、ワークフローに生成AIを導入している。これらの試みにより、BPOは、生成AIの活用においても他業界をリードしている。
BPOはAIの導入において他業界に先駆けているため、このテクノロジーの長所も短所も把握している。長所は次の通りである。
一方で、BPOにおけるAIの活用にはまだ課題もある。課題には、次のようなものがある。
包括すると、BPOは他の業界に対して、AIを導入した未来を見せている。特に、2022年後半に「ChatGPT」が発表され、生成AIへの関心が高まった後ではなおさらだ。Metrigyによると、2023年のAI導入率は予想より低く、コンタクトセンターでAIを使用している組織は全体の36%だが、BPOの場合は70%だった。この経験から、BPOは、自社の顧客を含む他組織におけるAI導入戦略を支援する立場にあるといえるだろう。
「BPOは社内で多くの経験を積むことができる。『私たちは、自社のためだけでなく、顧客のためにもAIの導入に取り組んできた』というような経験だ。そして、それらの経験は、BPOに真の意味でのデジタルトランスフォーメーションの土台を提供するだろう」(ガレイス氏)
ミカエラ・ゴス氏は、TechTargetで、カスタマー・エクスペリエンスとコンテンツマネジメント・サイトを担当するシニア・サイトエディターだ。2018年にライター兼エディターとしてTechTargetに参加した。
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