2024年6月の「Microsoft 365」のアップデートTeamsやSharePointなどで数多くの新機能が追加された。業務効率化に役立つ機能はどれか。
「Microsoft 365」では、毎月のように新機能の追加や改善がある。2024年6月に行われたMicrosoft 365のアップデートについて、内田洋行の太田浩史氏(エンタープライズエンジニアリング事業部)がウェビナーで紹介した。
6月のアップデートでは「Microsoft Teams」(以下、Teams)、「SharePoint Online」(以下、SharePoint)を中心とする機能が追加された。
6月のアップデートでは、Teamsのチャネルやグループチャット、通知関連を中心に便利な機能が幾つか追加された。
チャットやチームのチャネルでのメッセージにファイルを添付した時に、ファイルのサムネイルが表示されるようになり、ファイルを見つけやすくなった。画像を複数添付した場合も見やすい。画像をクリックすると画像ビュワーが開いて、キーボードの右左キーで快適に閲覧できる。
「Microsoft Loop」コンポーネントの会議で使える「会議メモ」が、チームのチャネル内の会議でも使えるようになった。チャネル会議で作成された会議メモは、チームのライブラリ内の「会議」フォルダに保存される。「会議」フォルダは、チャネルのフォルダの外に作られるため、全てのチャネルで行われた会議のメモが一つのフォルダに集約される。なお、会議フォルダは、チームで共有しているSharePointのライブラリ内に作られる。
3人以上のメンバーでのグループチャットの中で、ワンクリックでオンライン会議室を作成できる「今すぐ会議」機能が搭載された。グループチャットのメンバーは会議室に自由に出入りできる。グループチャットには従来もビデオや音声通話機能があったが、開催時にメンバー全員に呼び出しがかかっていた。今回追加された「今すぐ会議」では、会議開催時の呼び出しは行われない。「チャットで呼びかけて、参加できるメンバーだけで手軽に会議する」、そんな使い方が想定されているようだ。
チャットやチャネルのメッセージの投稿欄で、「/」を入力することで、チャットなどに関する各種機能を呼び出せるようになった。スラッシュコマンドには以下のようなものがある。覚えておくと便利だろう。「Slack」といった他のコラボレーションツールを意識したような機能だ。
/window 新しいウィンドウでチャットを開く
/loop Loop段落を追加する
/code コードブロックを追加する
/busy 状態[取り込み中]に設定
/brb 状態を[一時退席中]に設定
次は通知に関するアップデートだ。Teamsはあまり使わないチャネルを非表示にできる。これまでは、チャネルの表示/非表示に関係なく、チームメンションでチームメンバー全員に通知を送れていた。アップデートによってそのような利用が不可となり、非表示したチャネルからは、個人メンションとタグメンションのメッセージのみ、通知が届くようになった。確実に全員にメンション通知を送る必要性がある場合は、チームメンバー全員を含むタグを事前に作成しておくとよいだろう。
次も通知関連のアップデートだ。チャットでは通知をミュートできるが、これまではミュートしても、自分の投稿へのリアクション、個人メンション、皆さまメンション(@everyone)の全てで通知が届いていた。変更後は、個人メンションのみ通知を受け付けるように。特定の個人に見てほしいメッセージを投稿するときは、個人メンションを忘れずに使う必要がある。
Teamsには、ユーザーのプレゼンス(連絡可能、取り込み中、応答不可などの状態)を表示する機能がある。相手ユーザーのプレゼンスに応じて通知を受け取る機能が追加された。特定の相手となるべく早くコミュニケーションを取りたい時などに、「連絡可能」になったら通知が届くように設定しておくとよいだろう。古いバージョンのTeamsでは実装されていた機能だが、今回新しいTeamsにも実装された。
SharePointにも複数の機能が追加された。「Microsoft Stream」(以下、Stream)で動画を編集し、SharePointで動画を配置したページを作成するといった作業が一段とやりやすくなった。
「Microsoft Lists」に先行して展開されていた新機能や新UIが「SharePointリスト」にも展開された。新たに追加された機能は、「☆評価0〜5」の評価列や、ドラッグ&ドロップで画像をアップロードできる画像列、タブによるビューの切り替えなどがある。複数ユーザーで同時アクセスして同時編集できる機能も追加された。便利な機能が増えた反面、使い勝手が少し変わったので注意が必要だ。
SharePointではセクションを追加してレイアウトを作る。2段組み、3段組みのセクションレイアウトで、文字・画像の配置(上ぞろえ、上下中央ぞえおえ、下ぞろえ)を選べるようになった。SharePointのレイアウトの表現力は少しずつ上がっている。
SharePointリストのプレイリスト テンプレートから作成された動画プレイリストを、Stream Web パーツで表示できるようになった。リストWebパーツで追加するよりも動画のサムネイルを大きく表示できるので、より目立つ形で動画コンテンツをページ上に配置できる。
もう一つも動画に関するアップデートだ。テンプレートの中に、ビデオ用のテンプレートが追加された。動画のコンテンツを目立って配置できるテンプレートで、現在は4種類から選べる。社内で動画を共有する時には、ビデオテンプレートもチェックしよう。
Stream、「Microsoft Outlook」(以下、Outlook)、「Microsoft Forms」(以下、Forms)でも機能改善や追加が行われた。
Streamを開いた時、共有の権限があるユーザーには、右上に共有メニューが表示される。この共有メニューに「ビデオニュース投稿を作成する」という項目が新たに追加された。このメニューを選択すると、SharePointのビデオページテンプレートを利用して、SharePointニュースとして動画の紹介記事を投稿できる。わざわざSharePointに戻ってニュースを作成し直す必要がないので効率が良い。
SharePointのライブラリの中から動画ファイルを開くと、Streamで動画が表示される。この画面右上にある「トリミング」アイコンをクリックすると、トリミングのモードに切り替わり、動画の中で不要な部分を簡単に削除できる。会議録画でムダな部分が生じてしまった場合などに、トリミングを使うといいだろう。なおStreamでトリミングしても元のファイルは一切編集されないため、ダウンロードすることで元のファイルを入手できる。トリミングした部分を見せたくない場合は、ダウンロードを禁止にする必要がある。
モバイル版Outlookのアップデートだ。Outlookのカレンダーに登録された予定から、Teamsの会議チャットを開けるようになった。スマートフォンにインストールされたTeamsアプリが起動して、会議チャットにダイレクトにアクセスできる。
「iOS」版Outlookでメールの分類機能が追加された。分類タグを利用してメールを分類、管理できる。
最後はFormsだ。これまではフォーム所有者のみにしか送れなかった「新たに回答があったことを知らせる通知メール」を、指定したユーザーに送れるようになった。設定したい場合は、Formsの設定画面から、[各回答の通知をメールで受け取る]にチェックを入れる。するとその下に入力欄が現れ、メールで通知したいユーザーを追加できる。なお、通知先に設定したユーザーには、フォームの共同編集権限も与えられることになる点に注意が必要だ。
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