メディア

Cisco製品で見つかった脆弱性 製品のバックドアが原因か

Cisco Systemsの管理用ソフトウェア製品に緊急の対応が必要な脆弱性が見つかった。認証されていない犯罪者がリモートからデバイスにログインできるという脆弱性だ。この脆弱性はCisco Systems製品に隠されていたバックドアが原因だという見方がある。

» 2025年05月02日 07時00分 公開
[Rob WrightCybersecurity Dive]
Cybersecurity Dive

 Cisco Systems製品の管理用ソフトウェアに緊急の脆弱(ぜいじゃく)性が見つかった。

 脆弱性が発見された後、実際にこの脆弱性が攻撃者によって悪用された事例も見つかった。そもそもこの脆弱性は開発元によるバックドアだという指摘もある。

Cisco製品で見つかった脆弱性 製品のバックドアが原因か

 サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)は2025年3月21日週の初めに、Cisco Systemsの「Smart Licensing Utility」に関連する重大な脆弱性「CVE-2024-20439」(注1)を、犯罪者に悪用されている既知の脆弱性をまとめたKEVカタログに追加した。この脆弱性は2025年3月にSANS Technology InstituteのInternet Storm Centerが報告済みのものだ(注2)。

 CVE-2024-20439は、Smart Licensing Utilityにおける静的認証情報に関する脆弱性だ。共通脆弱性評価システム「CVSSv3.1」のベーススコアは「9.8」と高く、深刻度は最も高い「Critical」だ。この脆弱性自体は2024年9月にもう一つの脆弱性「CVE-2024-20440」とともに発表済みで(注3)、回避策はないものの、アップデートも公開されている。後者の脆弱性はリモートからSmart Licensing Utilityにおける情報漏えいを引き起こす恐れがある。

 CVE-2024-20439は認証されていない攻撃者が文書化されていない静的管理者認証情報を使用して、脆弱な状態にあるCisco Systemsのデバイスにリモートアクセスできるというものだ。ネットワーキングに関係する大手企業によれば、この脆弱性はSmart Licensing Utilityがアクティブに実行されている場合にのみ悪用される可能性があるという。

 Cisco Systemsも2025年4月2日にこの2つの脆弱性の悪用の試みがあったことを確認して、セキュリティアドバイザリーを更新した(注4)。セキュリティアドバイザリーには「2025年3月、Cisco Systemsのセキュリティインシデント対応チームが、この脆弱性を悪用する試みが実際にあったことを認識した」と記されている。

 CVE-2024-20439に関するKEVカタログには「ランサムウェア攻撃で使用されているかどうかは不明」と記されている。

専門家が経緯を説明

 2025年3月19日、Internet Storm Centerに所属するヨハネス・ウルリッヒ氏は、この脆弱性に対する悪用の試みを発見した(注5)。

 当時、ウルリッヒ氏は『Cybersecurity Dive』に対して「他の悪質な活動に利用されていた小規模なbotネットからこの試みが発信されたようだ」と語った。同氏によると、2025年3月中旬に悪用例が急増したという。同氏は2025年3月、電子メールで「それ以前はこの脆弱性に関連する活動はごくわずかで、同年1月の初めに1日だけ急増したことがあった」と記した。

 ウルリッヒ氏は2025年3月31日の週にCybersecurity Diveに対して次のように語った。

 「ここ2週間の悪用はbotネットからの攻撃に限られている。新たな活動は確認されていない。われわれの最初の報告が、CISAがこの脆弱性をリストに追加する一因になったと考えている」

 Internet Storm Centerによる投稿の中でウルリッヒ氏は、この脆弱性を「バックドア」と呼び、「Cisco Systemsは製品にしばしばバックドアを用意している」と述べた。このような静的管理者認証情報が、もし悪意のある者の手に渡ってしまうとシステムへのアクセスを許してしまうため、注意が必要だと警告した。

 ウルリッヒ氏はセキュリティ研究者のニコラス・スターク氏が2024年9月にブログ記事で「CVE-2024-20439」の技術的な詳細を公開しており(注6)、その中に静的認証情報が含まれている旨を指摘した。攻撃者はこのブログ記事で静的認証情報を見つけて、それを使ってSmart Licensing Utilityを実行しているCisco Systemsの製品にアクセスした可能性がある。

© Industry Dive. All rights reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。