“流れていく会話”をAIが構造化 チャット履歴を会社の資産に
業務上の会話には、後から参照すべき貴重な情報が多く含まれる。しかし、従来型のチャットでは、こうした情報が整理されないまま流れ、必要な場面で見つけにくい。そうした課題を解決するために、AIチャットエージェントが役立つかもしれない。
フラグメントは2026年6月25日、チームのチャット履歴を会社の資産に変換するチャットAIエージェント「NEO」を正式リリースした。
同社はNEOを単なるAIチャットツールではなく、チームの会話を理解、記憶し、プロジェクトの知識として蓄積し続けるAIエージェントと位置付けている。会話から重要情報や意思決定の背景を整理し、チームのナレッジとして再利用しやすい形へ構造化する点が特徴だという。企業内に散在する情報を一つの知識基盤として扱えるようにする狙いだ。サービス名のNEOはNext Evolution Operatorを縮めたもので、会話構造化AIエージェントとして展開される。
情報収集の負担をAIで軽減 放置されていた会話履歴を知識へ
同社が掲げるコンセプトは「チャットは、2.0へ」だ。業務上の会話には、意思決定の背景や仕様検討の議論、顧客とのやりとり、プロジェクトの経緯など、後から参照すべき情報が多く含まれる。しかし、会話を交わすだけで終わる従来型のチャットでは、こうした情報が整理されないまま流れ、必要な場面で見つけにくい課題があった。NEOは会話をAIが理解し、知識として整理、蓄積することで、社内のやりとりを再利用可能な情報資産へ変えるエージェントとして設計された。
リリースの背景には、企業で日々発生する膨大なコミュニケーションと情報探索の負担があるという。同社によると、ナレッジワーカーは勤務時間の約20~30%を、情報探索に費やすため、会議時間の多くも意思決定の整理に使われ、生産性低下の要因になっている。NEOはこうした課題を解決するために、チームの一員として会話に参加し、会話内容の整理や要件定義の構造化、意思決定の背景の保存、次のアクションの提案を担う。単なる補助ツールではなく、「チームの一員として働くAI」の新たな概念を示すサービスだ。
企業では日常的に、「この仕様はどう決まったのか」「この案件の過去の提案資料はどこか」「この顧客は前回なぜ失注したのか」といった確認が発生する。これらは本来、企業にとって価値の高いナレッジである一方、個人の記憶や過去チャット、メール、個人フォルダなどに分散し、すぐ参照できない状態になりやすい。NEOはチームの会話をAIが理解し、ナレッジとして蓄積することで、人に聞かなくてもNEOに聞けば分かる状態を目指す。
NEOの主な特徴は4つある。第一に、会話のリアルタイム構造化だ。雑多な議論から重要な情報を抽出し、見やすく整理する。第二に、ナレッジの蓄積と再利用だ。過去のやりとりをプロジェクト単位で記憶し、必要な場面で呼び出せる。第三に、組織の知識を横断的に活用する仕組みだ。チーム内の会話や資料をもとに、必要な情報を迅速に提示する。第四に、カスタマイズ可能なアウトプットだ。組織やプロジェクトのニーズに応じた出力形式へ対応する。
正式リリースまでの流れとして、同社は2025年10月にクローズドベータを開始した。参加ユーザーの声を基に改善を反映し、今回の正式公開に至った。
利用者は公式サイトから基本無料で登録可能だ。ワークスペースを作成し、プロジェクトごとにスレッドを立て、チーム内の会話や資料をNEO上に蓄積できる。正式リリース時点の提供機能は、チームで利用できるワークスペース機能やプロジェクト単位でのスレッド管理、会話内容の整理・要約などをそろえる。また、有料プランにアップグレードすることで、稼働量の追加などが適用される。
フラグメントは今後、NEOをチーム内の会話整理だけにとどまらない、個人や組織に蓄積されたスレッド上のナレッジを必要な場面で呼び出せる知識基盤へ発展させる方針だ。SSO対応や外部ツール連携を通じ、企業内に散在する会話や資料をNEO上に集約し、再利用可能な知識資産として活用できる環境整備を計画する。同社は、チャットを会話の場から知識が残る業務基盤へ変えることを打ち出した形だ。
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