IT導入完全ガイド
企業のログ管理はクラウド版や無償ツールの登場でどう変わる?(2/6 ページ)
セキュリティとコンプライアンスにログが活用される時代
機器の個別ログの管理は主に障害対応の効率のためだったが、統合ログ管理が普及したのは2008年のJ-SOX法施行に伴う内部統制への対応という、むしろ経営側からの要請によるものだった。
業務に不正がないことを示すためにはまずログの保管がいる。万一不正があれば、ログは不正の証拠になるため、その確保が重要だ。また業務記録の削除や改ざん、改変がもしなされても発見できるようにして、コンプライアンスを徹底させることも大切だ。各種ログを横断的に検索できる統合ログ管理ツールは障害対応を更に迅速化し、日常的な操作監視も効果的に行えるようにしたが、一方で蓄積したログは単にストレージを占めるだけで活用の道が見つけられずにいた。
内部統制需要が一巡したころからITの深刻な課題になっていたのがサイバー攻撃や内部不正による大規模情報漏えい事件だ。事件の解明に最も大きな役割を果たしたのが保管されていたログだ。ログの価値と管理の必要性がセキュリティの視点から広く認識されたのはこのころから。大企業中心に統合ログ管理ツールを利用して不正や攻撃の痕跡、兆候を発見できる仕組み(セキュリティインテリジェンス)づくりが行われるようになってきた。
この動きを近年加速させているのがビッグデータ解析ツールの洗練だ。個別のログもビッグデータだが統合ログ管理は更に大規模なデータを対象にする。そこに記録されたデータを上手に分析すれば、個々のログ検索では不可能な相関などを見いだし、サイバー攻撃(不正侵入活動やマルウェアの活動など)や不正な情報取扱いの痕跡あるいは兆候を、より短時間に発見できる。
これをリアルタイムな高リスクセキュリティイベント検知に利用しているのがSIEMツールで、こちらは大企業中心に導入されている。一方、統合ログ管理ツールはSIEMよりも長期間のログを対象に日次、週次、月次、年次などで監査を行って問題を見つけることに向いており、情報漏えい事件の事後調査、不正行為の調査のために利用されることも多い。
Pマーク、PCI DSSなどの取得にも
個人情報保護法、金融商品取引法、新・会社法などの法的な要請もさることながら、個人情報漏えいや産業スパイ事件がたて続けに報道される昨今、大企業や官公庁のみならず、一般業種の中堅・中小企業にとってもリスクマネジメントの強化は急を要する課題だ。
さらに下記を取得したい場合にも、セキュリティとコンプライアンス強化策の面からログ管理体制は重要となる。
- Pマーク取得
- PCI DSS準拠
- ISMS(情報セキュリティマネジメント)認定、など
また、昨今では顧客、株主、発注元企業、親会社などがセキュリティ対策状況を注視するようになり、対策状況が株価や顧客/株主満足度に影響するとも指摘されている。
特にIT関連のサービス業ではセキュリティ対策に不備があるとみなされれば契約を拒否されるのが現実。他の業種でも取引先との間で機密情報の授受が少しでも必要な場合は、セキュリティ対策を十分にとっていないと競合相手と同じ土俵に上がれなくなる可能性があるので気を付けたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
IT導入完全ガイド
注目の技術やITツール。そもそもどういったモノで何に使えるのか、どんなモノを選ぶべきか、課題はあるか、といった情報を基礎から徹底解説します。
この記事の著者
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「パスキーはワナだ、使うな」にネット騒然 プロが“待った”をかけるワケ:902nd Lap
-
2
「Gemini Notebook」で始める「AI×自動化」実践ガイド
-
3
今、IT資格を取るならどれ? ランキングに見る「急浮上の資格」と「不動の資格」
-
4
48年も愛された名作CPU「Z80」を、引退に追い込んだ“抗えない事情”
-
5
止まらない不正アクセス、広がる情報漏えい 大手企業・公的機関を襲った10事案
-
6
大田区、年1000時間の問い合わせを「AI電話」で削減できるか? 実証実験で見えた課題
-
7
「言い訳文化」から脱却のNECが足立区に伝授した生成AI活用術とは データ活用“逆算”の鉄則
-
8
Microsoftの“あのキャラ”がまさかの復活? 公式「X」乗っ取り事件の珍騒動:901st Lap
-
9
相次ぐ不正アクセス、でもセキュリティ訓練は「やりっぱなし」の悲惨な実態【企業調査】
-
10
生成AI導入に失敗する企業「6つの共通点」 情シスヘルプデスクの負担を減らす設計とは
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー