IT導入完全ガイド
2016年、データベースを見直すならチェックしておきたい技術トレンド(4/4 ページ)
中長期的にはバッチをなくすアイデアも検討を
IT投資意欲の旺盛な大手エンタープライズ企業の多くでは既にデータベースシステムへのフラッシュストレージ導入が進んでおり、さらなる「性能」アップを目指して、あらゆるデータを本当の意味で「リアルタイム」に共有・分析・予測したいという要求に応えようとする動きがあるという。
既存のリレーショナルデータベースはストレージとしてHDレベルのI/Oを想定し、さまざまな高速化のための工夫をしてきた。例えば、素早くデータを分析するために、集計用のビューをいくつも用意したり、個別にバッチプログラムを用意したりといった、今まで当たり前としてきた手続きは、いずれもHDI/Oを含むシステムパフォーマンス上の制約に対応するために生まれた手法だ。
データウェアハウス向けにデータベースの情報を出力する必要があるのは、システム負荷が高すぎてデータウェアハウス処理をデータベースシステム上で動作させられないからだった。
もしこれが全てフラッシュストレージ上、もしくはメモリ上で処理できるようになると、これまでとは異なるアプローチでデータベースエンジンを作ることができる。
データウェアハウスなどの処理においては、列指向の格納方法(カラムストア型、カラム型)を取ることにより、並列化がしやすく高速化が実現できる。縦方向に同じタイプのデータが並ぶことから、データ圧縮がしやすくなるというメリットもある。解析系のシステムでは、列指向で並列が可能なデータベースを基幹系とは別に構築することで、データベース処理の高速化を実現する手法は当たり前になってきた。
そして、カラムストアをさらに高速にするために登場したのが「インメモリデータベース」だ。これはデータベースのデータをメモリ内で処理することにより、高速化を実現するというものだ。インメモリデータベースは、SAP HANAの登場で注目を集めたが、今ではSQL ServerやOracle Databaseなどでも実装されている。
バッチ処理のない基幹業務システムは実現するか?
カラムストアとインメモリデータベースが登場し、超高速なトランザクションと集計処理が同時に実施できるようになってきたことで、基幹業務システムのデータベースには新たな可能性が見えてきた。バッチ処理なしでのデータベース運用の可能性だ。
例えば「基幹システム向けパッケージ」を例に考えてみよう。
通常、会計処理における単純なデータモデルは「ヘッダテーブル」と「明細テーブル」が必要だ。このシステムをリレーショナルデータベースで実現しようとすると、処理速度の問題で月別サマリーテーブルや品目別サマリーテーブルなど、明細からさまざまなテーブルをパフォーマンスの理由で作らなければならない場合が多い。これにはインデックス生成のコストや、サマリーテーブル生成のためのプログラムの保守コスト、何よりそれらを生成するための「バッチ処理時間」が必要になる。システムの改修によりバッチ処理時間が増大し、突き抜けが起きてしまう要因だ。
インメモリデータベースをフル活用すると、ヘッダテーブルと明細テーブルを「高速に処理」できるため、これらのサマリーテーブルを作る必要が無くなる。そのため、サマリーテーブル作成のためのプログラムも、バッチ処理もすることなく「リアルタイム」で集計できるのだ。SAPが提供する基幹システムソリューションである「S/4HANA」では、このようなアーキテクチャ変更によりソースコードの4割を削減したという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
IT導入完全ガイド
注目の技術やITツール。そもそもどういったモノで何に使えるのか、どんなモノを選ぶべきか、課題はあるか、といった情報を基礎から徹底解説します。
この記事の著者
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Windowsを使い続けるのは正解か? 「Linux化」というモダナイズのもう一つの選択肢
-
2
スクエニ開発陣が「ドラゴンクエストX」の世界観を守るのに「Gemini」が必要だったワケ
-
3
「Gemini Notebook」で利用者10倍 シニア社員をAIヘビーユーザーにした首都高の考え
-
4
「情シスやめます」と言われたら――ある日突然「ゼロ情シス」になった企業のその後
-
5
“壊してもいい”が現場を変えた 岩塚製菓、生産性1.3倍を生んだDX定着の条件
-
6
「社内情報をAIに食わせればいい」だけでは足りない、情報検索精度向上の鉄則
-
7
ニンテンドーシステムズ開発者が明かす、通信「低遅延・安定運用」のコツ【事例集】
-
8
製造業の73%が「生成AIに仕事を頼みたいのに頼めない」理由とは
-
9
次世代ゲーム機戦争の裏話 「セガサターン」に2基のCPUが必要だったワケ:725th Lap
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー