5分で分かる最新キーワード解説
強電気魚の電気器官をデバイス化した「シビレエイ発電」とは(1/4 ページ)
シビレエイの発電器官を発電デバイスに応用した「シビレエイ発電機」が登場した。近未来の発電手法がいよいよ実現なるか。
今回のテーマは「シビレエイ発電機」だ。デンキウナギやデンキナマズと同様に、電気で外敵から身を守る特異な性質を持つシビレエイの発電器官を発電デバイスにする。マイクロ流体デバイス研究から派生したこの研究、強電気魚の持つ100%近いエネルギー変換効率を生体外に取り出して利用するという古くからの夢を実現するかもしれない。
「シビレエイ発電機」とは
シビレエイ発電機とは、強電気魚シビレエイの発電器官を発電デバイス化した新原理の発電機だ。理化学研究所生命システム研究センター(QBiC)集積バイオデバイス研究ユニットの田中陽ユニットリーダーらの研究チームが2016年5月に発表した。
水族館で、水槽の中のデンキウナギに放電させ、電飾を点灯させる実験展示を見たことがある人も多いだろう。あの発電能力を活用できないものかと、誰しも夢想したことがあるに違いない。
発電原理はかねて解明されてはいたものの、現実に生体と切り離して発電デバイスが作られることはこれまでなかった。その個体の入手が困難なことと、発電を人為的に制御する技術がなかったことが主な理由だ。
しかし、ありふれた魚の中にも、体内に強力な発電機構を持つものがいる。シビレエイもそんな強電気魚の一種だ。日本の中部以南の浅海に生息しており、例えば伊勢湾の漁師の網には大量にかかるという。しかし、食用に適さないため魚屋の店頭には並ばない。
また、めったな刺激では放電しない上、体長約30センチと小型で、水族館のスーパスターの一員である体長2メートルのデンキウナギや1メートルのデンキナマズのような迫力に欠け、実験展示に向かないので水族館にいても話題になることがない。
だが、放電電力はデンキウナギの最大電圧600ボルト、最大電流1アンペア、デンキナマズの同350ボルト、1アンペアに引けを取らない。最大電圧こそ30ボルトと低いが、最大電流は20アンペアが計測される。電力で見ればデンキウナギと同等の発電能力があるわけだ。
デンキウナギなどに触ると最悪ショック死もあり得るが、シビレエイだと手でつかんでも、いつも放電するわけではなく、放電しても一瞬ビリッとするのが不快な程度だ。つまり、小さいわりに他の生物に比べれば強い電気を出しながら危険は少なく、おとなしくて取り扱いが容易だ。
このような特徴に着目し、これまで獲れても捨てるしかなかったシビレエイの発電器官を、発電機として使えないかと考えたのが田中氏だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
5分でわかる最新キーワード解説
この記事の著者
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Copilot、Word文書まとめて」で社内全滅? 勝手に増殖するAIウイルスで大騒ぎ:895th Lap
-
2
ソニー子会社、M365環境にあえて「Gemini」を導入 システムを競合させない工夫とは
-
3
SOAPはRESTに負けたのか? 「古いAPI」を残すか見直すか
-
4
現役情シスに聞いた「忙しすぎる理由」 やりたいけど手が回らない仕事とは? 228人調査
-
5
「AIコーディングで高速開発」が、なぜ企業の弱点に? 開発部門のAIとの付き合い方
-
6
「AIを入れたのに、仕事が変わらない」 企業が見落としている"使い方"
-
7
「Gemini Notebook」で利用者10倍 シニア社員をAIヘビーユーザーにした首都高の考え
-
8
取手市、生成AIを「使わなくてもいいよ」でまさかの定着成功 その以外な効果とは
-
9
【対談】「ひとり情シス」は悪ではない 担当者が辞めても「回る情シス」の作り方
-
10
“脱・C言語”を狙う開発者が「Cの代替言語を作っても失敗する」と断言するワケ:894th Lap
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー