情報分析基盤を内製したLIXIL、デジタル変革の道のりは「名寄せ」から?(3/4 ページ)
どうする? 顧客情報の「クレンジング」「名寄せ」を考えてみた
船水氏らは名寄せ実施に当たって、顧客情報をどこまで生かせるかを検討している。重複や不明、不正なデータなどを除いた「きれいな顧客情報」がどのくらい得られるかの検証だ。
その結果、メールなどでリーチできる顧客が約101万世帯も存在することが明らかになった。同社の場合、名寄せは左図のようなフローで実施している。
「名寄せ」の前に下準備として最も重い作業がデータクレンジングだ。システムが異なると、異字体の扱い、電話番号や郵便番号のハイフンや全角/半角などの数字の扱い、住所の分割位置の違いなど、運用ルールが大きく異なる。また、有効でないデータが入力されているケースでは適切にチェックして取り除く必要もある。こうしたことから、実際に名寄せを行う前に、格納データそのものを一定のルールの下で整えていく行程がデータクレンジングだ。
これらも実際の格納データの特性を分析し、登録データを無駄にしない方法を考えつつ、場合によっては潔く「きれいな無効データ」に変換するといった判断も必要になる。
情報システム担当である船水氏は、自らクレンジングの方法を検討。公的な辞書情報と照合しながら、必要に応じて各レコードを一定のルールで修正、補完する方法を採用した。併せて無効なデータを取り除く処理も行っている。これだけの件数に複雑な処理を加えるため、処理の手法は事前に小さめのデータで幾つかの方法を評価している。
ここで単純なプログラムによる文字列操作と比較して、インメモリデータ分析が可能なApache Sparkを使った場合、約260倍も高速に処理ができたという。
「インメモリ処理ができるApache Sparkはデータ量の多いリストとのマッチングに適している、との知見が得られた」(船水氏)
住所のクレンジングでも同様の比較をしている。住所の場合、(1)郵便番号辞書を使った補完、(2)住所の適切な分割、(3)番地などの表記の統一、(4)住所に含まれる異自体の統一と、4つの処理を同時に実行する必要がある。処理をイメージした方には想像が付くと思うがこちらもやはり、メモリをうまく利用できるApache Sparkが得意とする領域。こちらは処理が複雑だったこともあり、Pythonプログラムによる操作と比較すると878倍も高速だったとしている。
こうした検証を経て、実際の顧客情報DBの「名寄せの条件」と実施環境を決定、実際の運用では、全体の約60%が名寄せできている状況だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
事例で学ぶ! 業務改善のヒント
この記事の著者
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
スクエニ開発陣が「ドラゴンクエストX」の世界観を守るのに「Gemini」が必要だったワケ
-
2
「Gemini Notebook」で利用者10倍 シニア社員をAIヘビーユーザーにした首都高の考え
-
3
ニンテンドーシステムズ開発者が明かす、通信「低遅延・安定運用」のコツ【事例集】
-
4
Windowsを使い続けるのは正解か? 「Linux化」というモダナイズのもう一つの選択肢
-
5
「新しいOutlook」って使ってる? 移行で変わるメール誤送信対策
-
6
ChatGPTに「おすすめの○○は?」 実は答えが決まっているらしい:893rd Lap
-
7
製造業の73%が「生成AIに仕事を頼みたいのに頼めない」理由とは
-
8
できる人ほど教える時間がない AIは暗黙知の夢を見るか
-
9
こんなところに野良AIが? 事例で解説、実際にあった2つの発覚パターンと防衛策
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー