セキュリティ専門家の上野宣氏に聞く

攻撃者に先回りして潜んだ脆弱性を見つける「Web脆弱性診断ツール」の選び方

脆弱性を突いたサイバー攻撃は、事前に対応していれば防げる問題だが、被害は後を絶たない。こうした事態を未然に防ぐ上で、攻撃者に先回りして脆弱性を見つける「Web脆弱性診断ツール」が有用だ。ツールの特性や選び方、脆弱性問題に対応する上で企業として気を付けるべきことをセキュリティの専門家である上野 宣氏に聞いた。

 今や連日のように、サイバー攻撃による被害が報じられるようになった。ただ、一口に「サイバー攻撃」といっても、その種類はさまざまだ。

 たびたび報じられている攻撃の一つがEmotetだ。実在する人物の名前をかたり、それまでのやりとりを踏襲したメールで人をだましてマルウェアに感染させる手口で知られる。いくら注意しても、それをかいくぐって人の心理を突いてくることが特徴で、感染はある程度やむを得ない部分もあるだろう。

 一方、システムを運用する上で必要な義務を果たしていれば防げたはずの被害もある。それが、脆弱(ぜいじゃく)性を突いたサイバー攻撃だ。脆弱性情報を把握してパッチを適用したり、あらかじめ修正したりしていれば防げる問題だが、残念ながら被害は後を絶たない。しかもWebアプリケーションの場合、自社が被害に遭うだけでなく、保存されていた個人情報などが漏えいし、被害者であると同時に加害者となってしまう恐れがある。

 「Web脆弱性診断ツール」は、こうした事態を未然に防ぐ上で有用だ。攻撃者に先回りする形で自らSQLインジェクションやコマンドインジェクション、クロスサイトスクリプティング(XSS)といった脆弱性を見つけ出して修正することで、自社のシステムやサービス、顧客を守れる。そんなWeb脆弱性診断ツールが果たす役割と選び方について、セキュリティの専門家であるトライコーダの上野 宣氏に聞いた。

インタビュイー:上野 宣氏(トライコーダ 代表取締役)

 2006年にトライコーダを設立し、ハッキング技術を駆使して企業などに侵入する「ペネトレーションテスト」や「サイバーセキュリティ実践トレーニング」などを提供。

 OWASP Japan代表、Flatt Security社外取締役、グローバルセキュリティエキスパート 社外取締役、ScanNetSecurity 編集長などを務め、第16回「情報セキュリティ文化賞」受賞、第11回アジア・パシフィック情報セキュリティ・リーダーシップ・アチーブメント(ISLA)を受賞。

 主な著書に「Webセキュリティ担当者のための脆弱性診断スタートガイド - 上野宣が教える情報漏えいを防ぐ技術」「HTTPの教科書」など、他多数。

3種類に分けられるWeb脆弱性診断ツール、それぞれに得意、不得意も

 最近はマイクロサービスが広がりつつあるが、Webアプリケーションは基本的にOS上でWebサーバなどのミドルウェアが動作し、さらにその上で個別に開発したWebアプリケーションプログラムが動作するという構成を取る。それぞれに脆弱性が潜む恐れがあるが、OSやミドルウェアなどベンダーが提供するソフトウェアの脆弱性は「プラットフォーム診断ツール」でチェック可能だ。一方、実現したいサービスに合わせて、JavaやPythonなどさまざまな言語で開発されたWebアプリケーションの脆弱性を見つけ出すのが、Web脆弱性診断ツールとなる。

 上野氏は、Web脆弱性診断ツールにもいくつかの種類があると説明した。具体的には「自動診断ツール」「手動診断ツール」(手動診断補助ツール)、そして「ソースコード解析ツール」だ。それぞれのツールの特徴を解説する。

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