Microsoft 365 Copilotで仕事が進む人ほど「地味な成果」を軽視しない理由

「生成AIは思ったほどすごくない」そんな声の裏にあるのは、過剰な期待と劇的な変化への誤解にあるのかもしれない。Microsoft 365 Copilotの使い方がうまい人のマインドセットを解説する。

 生成AIの進化は止まらず、次々に新しい技術やサービスが生まれている。ニュースやSNSでは、「生成AIが人間の仕事を奪う」「業務が劇的に効率化された」といった華々しい言葉が飛び交い、期待が膨らむ一方だ。

 こうした中で注目される「Microsoft 365 Copilot」(以下、Copilot)は、生成AIの中でも「人の代わりに働くAI」ではなく、「人の働きを支援するAI」として位置付けられる。「Word」「Excel」「Outlook」「Teams」など、日々の業務に密接に関わるアプリケーションに組み込まれ、ユーザーの作業を補助する存在だ。

 Copilotを導入しようとすると、「何ができるのかよく分からない」「思ったほどすごくない」「使えない」といった声が聞かれることがある。これは、Copilotに対して“人の代わりになるAI”という過剰な期待が先行してしまうことが原因だ。Copilotは決して万能なAIではなく、日常業務の中で“ちょっとした面倒”を軽減することに価値がある。

 本連載では、筆者自身が社内でCopilotの活用を推進する中で得た気付きや体験を基に、「人のそばで支えるAI」としてのCopilotとの向き合い方を探っていきたい。第1回では、Copilotに対する期待の在り方を見直し、日常業務の中で見えてくる“ちょっとした便利”の積み重ねこそが、Copilotの本質的な価値ではないか――そんな視点から考えてみる。

著者プロフィール:太田浩史(内田洋行 エンタープライズエンジニアリング事業部)

2010年に内田洋行でMicrosoft 365(当時はBPOS)の導入に携わり、以後は自社、他社問わず、Microsoft 365の導入から活用を支援し、Microsoft 365の魅力に憑りつかれる。自称Microsoft 365ギーク。多くの経験で得られたナレッジを各種イベントでの登壇や書籍、ブログ、SNSなどを通じて広く共有し、2013年にはMicrosoftから「Microsoft MVP Award」を受賞。

誤った期待が生むAIの誤解 重要なのは「使える場面」を知ること

 Copilotは使えない生成AIなのだろうか。実際に日々使っているユーザーの立場からすると、決してそんなことはない。ただし、Copilotが得意とするのは「人間の仕事を奪う」といった劇的な変化ではなく、もっと身近な日常業務の中にある“ちょっとした面倒”を軽減することだ。

 「Microsoft 365 Copilot」は、「Microsoft 365」アプリをより効果的に使うための生成AIだ。例えば、メールの下書きを作成したり、会議の要点を要約したり、Excelで数式作成を支援したりといった、細かな作業をスムーズにこなすことができる。

 さらに、Copilotは単なる作業の代行者ではなく、業務の質を高めるパートナーとしても機能する。例えば、文章のトーンや構成を自動で調整することで、より伝わりやすいメールや資料を作成できるようになる。これは、単なる時間短縮にとどまらず、コミュニケーションの質の向上にもつながる。

 加えて、Copilotはチャットを通じたユーザーとの対話においても柔軟に対応できるのが大きな特徴だ。質問に対して的確な回答を返すだけでなく、文脈を理解しながら会話を進めることで、ユーザーの意図をくみ取った提案やサポートが可能になる。曖昧(あいまい)な依頼にも補足質問を通じてニーズを明確化し、最適な解決策を提示できる。これは、単なるツールではなく、対話型の“思考のパートナー”としての役割を果たしていると言える。

図1 Microsoft 365 Copilotは、日常の作業のちょっとした場面で私たちを助けてくれる(出典:筆者作成の資料)

 このように、Copilotの価値は「派手な成果」ではなく、「日常業務の中にある小さな課題の解決に寄り添って手助けしてくれる存在」であることにある。だからこそ、Copilotを活用する上では、「何ができるか」だけではなく「どんな場面で助かるか」という視点も重要になる。日々の業務の中で「これ、ちょっと面倒だな」と感じる瞬間こそが、Copilotの出番だ。

「それだけ?」と思う変化が、仕事の質とスピードを底上げする

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この記事の著者

太田浩史
太田浩史

2010年に内田洋行でMicrosoft 365(当時はBPOS)の導入に携わり、以後は自社、他社問わず、Microsoft 365の導入から活用を支援し、Microsoft 365の魅力に憑りつかれる。自称Microsoft 365ギーク。多くの経験で得られたナレッジを各種イベントでの登壇や書籍、ブログ、SNSなどを通じて広く共有し、2013年にはMicrosoftから「Microsoft MVP Award」を受賞。

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