ワークフローの利用状況(2025年)/前編

ワークフローの利用実態 「押印リレー」から逃れる方法はやっぱりAIなのか?

AI機能を搭載した「AIワークフロー」への期待が高まる一方で、導入はまだ全体の5%程度にとどまり、正確性や運用面での課題が浮き彫りに。ワークフローツールの「×AI」はまだ時期尚早なのか。

 業務のデジタル化が進む今、ワークフローツールもAI機能の実装によって新たな進化の段階に移りつつある。アイ・ティ・アール(ITR)の調査によれば、2023年度のワークフロー市場は前年比46.9%増と大幅に拡大し、今後も堅調な成長が予測される。

 この流れを受けて、キーマンズネットでは3年ぶりにワークフローツールの利用状況に関するアンケート(実施期間:2025年9月1日~12日、回答件数:224件)」を実施した。本稿では、ワークフローツールの導入割合に加えて、AIワークフローが企業現場でどこまで浸透しているのか、そして導入障壁はどこにあるのかを探る

メールと紙からの脱却進む ワークフローの導入割合は62.5%

 自社の書類や申請案件の社内回覧・承認方法を尋ねたところ、「ワークフローツール(専用申請・承認システム)」と回答した割合は62.5%となり、次いで「メールでの回覧・承認」(35.3%)、「紙の書類回覧」(26.8%)、「グループウェアのワークフロー機能」(26.3%)、「ExcelやWordファイルを共有・送付」(24.1%)が続いた(図1)。

図1 書類や申請案件を社内で回覧・承認する方法(従業員規模別)

 この結果を従業員規模別で見ると、1001人以上の大企業では7~8割が専用のワークフローツールを利用しており、約3割が社内ポータルやイントラネットの申請フォームを利用している。一方で、約3割の企業が紙文書やメールなどによる旧来の申請方法を採用している。この差は単なるIT投資の規模だけでなく、業務慣習や現場の抵抗感、システム導入のノウハウ不足など多様な要因が絡んでいると考えられる。

 2022年8月の前回調査と比較すると、グループウェアのワークフロー機能や「Excel」「Word」ファイルによる申請が大幅に減少する一方で、専用ワークフローツールの利用は約20ポイントも増加している。この動きは、従来の汎用(はんよう)ツールからより専門的で高機能なシステムへとニーズがシフトしていることを示している。

 導入形態に関しては、「クラウド型(SaaS)」が61.5%と最多であり、特に従業員数が少ない企業で主流となっているのに対し、大企業ではオンプレミス型や自社開発型の割合が高い。これは、中小企業が初期投資を抑え、スピーディーに導入できるクラウドサービスを選好している一方で、大企業は自社の業務にカスタマイズした高度な管理・運用を求めているためと考えられる(図2)。

図2 勤務先で利用しているワークフローツールの形態(従業員規模別)

 この傾向は、ワークフローツールの市場が成熟し、企業の多様なニーズに応じて選択肢の多様化が進んでいることを意味している。今後は、クラウドの利便性とオンプレミスの柔軟性をどう両立させるかが、ツールベンダーと企業双方にとって重要な課題となるだろう。

「製品×AI」の時代でも、現場から支持されないAIワークフロー

 かつては「紙をなくす」「ハンコをやめる」といった目標がワークフロー導入の動機となっていたが、現在は「実際にどれだけ業務がラクになるか」「現場の生産性がどれだけ向上するか」といった、より現実的・定量的な成果が導入判断の基準になっているということだ。

 こうした企業ニーズの変化を受けて登場してきたのが、AI技術を取り入れた「AIワークフロー」と呼ばれる新たな製品ジャンルだ。

印刷する
SNSでシェア

IT担当者300人に聞きました

業務課題、注目のITツール……。話題には上るけれど、実際のところはどうなのか。キーマンズネット会員の声で知る、隣のカイシャのIT事情。読者のホンネを紹介します。

この連載の記事をもっと見る

関連記事

こんなメディアも見られています

キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。

無料会員登録
最新情報をいち早くチェック!

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます(メディアごとに文章は変更)

いますぐ無料会員登録

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9

キーマンズネット SNS

X @Keymansをフォロー

インフォメーション

キーマンズネットをフォロー