IT導入完全ガイド

中堅・中小企業の老朽化システム、どうする? 「コストを抑える」「丸投げしない」ためのガイド

ITRによると、中堅・中小企業で老朽化したシステムのモダナイゼーションを実施済みの企業はわずか14%にとどまっている。モダナイゼーションを阻む壁は何か。そして壁を乗り越える「現実的」な解決策とは。

 「2025年の崖」と呼ばれる老朽化したITシステムであるレガシーシステムの問題が、いよいよ現実のものとなってきた。レガシーシステムを抱え続けることで起こる問題はIT領域にとどまらず、事業経営にとっても大きなリスクになる。

 それにもかかわらず、多くの中堅・中小企業では依然としてモダナイゼーションが進んでいない。IT専門の調査・コンサルティング会社のアイ・ティ・アール(以下、ITR)が2024年に実施した「IT投資動向調査2025」によると、従業員300人未満の中小企業でレガシーシステムのモダナイゼーションを実施済みと回答した割合はわずか9%にとどまり、300~999人の中堅企業でも14%にとどまっている。

 34%が「実施済み」、56%が「実施済み~2025年末までに着手予定」と回答した5000人以上の大企業との差は歴然としている。

 一方で、IT投資の重要度を尋ねた調査では「レガシーシステムのモダナイゼーション」は7位にランクインしている。つまり、レガシーシステムのモダナイゼーションは重要だという課題認識はあるものの実行に移せていない状況が見て取れる。これは単に予算や人材の問題だけではなく、より構造的な課題が潜んでいることを示唆している。

 そもそもレガシーシステムとは、経済産業省の定義によると、「技術面の老朽化、システムの肥大化・複雑化、ブラックボックス化等の問題があり、その結果として経営・事業戦略上の足かせ、高コスト構造の原因となっているシステム」(経済産業省「DXレポート」より)を指す(注1)。COBOLや古いJバージョンのJavaで書かれたいわゆる“塩漬け”にされたシステムだけでなく、サポート切れの「Windows Server」を搭載したサーバなどさまざまだが、基本的には何も変えずに使い続けている業務システムだ。

 なぜ中堅・中小企業では、このような深刻な問題を抱えたシステムが放置されているのか。そして、どうすればモダナイゼーションが進むのか。ITRの入谷光浩氏(シニア・アナリスト)に聞いた。

この記事で取り上げる内容

  1. レガシーシステムが招く「3つの経営リスク」とその深刻度
  2. 中堅・中小企業のモダナイゼーションを阻む「壁」
  3. 経営陣を説得するための「優先順位マトリクス」
  4. 「丸投げしない」「コストも低減」するためのパートナー選び
  5. AIへの過信は禁物

レガシーシステムが招く「3つの経営リスク」

 レガシーシステムを放置することはなぜ危険なのか。入谷氏が指摘するのが、次の3つのリスクだ。

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