議事録AIの利用状況(2026年)/前編

議事録AIが「特定の会議」でしか使われないのは、なぜ? 「限定利用」が6割超の理由

Microsoft TeamsやGoogle Meet、ZoomといったWeb会議ツールの付加機能だけでなく、NottaやYOMELのように、議事録作成に特化した多様な専用ツールがある。議事録AIの導入率が7割に達し普及が進んでいるが、その利用実態を見ると毎日活用するユーザー層は3割にとどまる。

 会議の議事録作成に、どれだけの時間を費やしているだろうか。このような非効率な業務は、今も多くの現場に残っている。その解決策として注目を集めているのが、AIによる文字起こしや要約を自動化する「議事録AI」だ。

 市場規模も拡大を続けている。グローバルインフォメーションが2026年4月に発刊した「人工知能(AI)会議コパイロットの世界市場レポート 2026年」によると、同市場は2026年に26億6000万ドル、2030年には73億9000万ドルに達すると予測されている。

 こうした成長が見込まれる中、実際の企業現場ではどの程度活用が進んでいるのか。キーマンズネットが実施したアンケート調査(実施期間:2026年4月2日~4月10日、回答件数:180件)を基に、前編では勤務先における議事録AIの利用状況や利用ツール、活用範囲と頻度、そして、会社非公認ツールの利用実態について解説する。

議事録AIの利用率は約7割 従業員1001人以上の企業では8割超

 まず、議事録AIの利用状況を尋ねたところ、「全社的に導入している」(32.2%)、「一部の部署・チームで導入している」(31.1%)となり、合わせると63.3%。さらに「試験的に利用(PoC)している」(9.4%)を含めると、何らかの形で議事録AIを利用している企業は約7割に上る。この結果を企業規模別に見ると、従業員数1001人以上の中堅~大規模企業では導入率が8割を超えていることが読み取れる(図1)。

図1 議事録AIの利用状況(全体/従業員規模別)

 この背景には、会議数の多さに起因する記録・共有コストの差があると考えられる。大企業ほど会議の開催頻度や関係者数が増え、議事録作成や情報展開にかかる負担が大きくなりがちだ。文字起こしや要約を自動化できる議事録AIは、費用対効果が見えやすく、導入判断が進みやすい領域と言える。

 次に、利用している議事録ツールの内訳を見ると、「Microsoft Teams(トランスクリプト機能)」(62.6%)、「Microsoft Copilot」(47.3%)が上位を占め、「ZoomのAI議事録機能」(25.2%)、「Google Meet(字幕・記録機能)」(16.8%)、「Google Gemini」(15.3%)、「自社開発ツール」(9.2%)が続いた(図2)。既存のワークスペースに組み込まれた機能の利用が中心であり、新たに専用ツールを導入するというよりも、現在利用している会議ツールの機能として議事録AIを活用しているケースが多いことが分かる。

図2 利用している議事録AIツール(議事録AIを「全社的に導入している」「一部の部署・チームで導入している」「試験的に利用(PoC)している」と回答した人を対象)

 特に日本市場では「Microsoft 365」の普及率の高さを背景に、Microsoft系サービスが上位を占める結果となった。一方で、「Google Meet」や「Google Gemini」も一定の利用が見られ、企業が採用しているワークスペース基盤が、そのまま議事録AIツールの選定に影響していることがうかがえる。

 注目すべきは、活用領域の広がりだ。従来のようにWeb会議の付随機能として議事録を生成するだけでなく、「Microsoft Copilot」や「Google Gemini」といったチャット型AIを併用するケースも増えている。これにより議事録AIは、単なる文字起こしツールにとどまらず、要約の生成やタスク抽出、関係者への共有といった会議後の業務プロセス全体を支援するツールとして位置付けられつつある。

日常利用者は3割 議事録AIが「特定の会議」でしか使われない理由

 議事録AIの利用企業であっても、その使われ方は一様ではない。利用頻度や活用範囲に目を向けると、日常的に活用されているケースがある一方で、「特定の会議でのみ利用」にとどまるケースも少なくない。この違いの背景には、運用面における共通した課題がある。

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