法務の9割がAI導入、なのに「使いこなせる」は3割どまり 何が起きているのか
上場企業の法務部門では、9割近くが既にAIを業務で使っている――。MOLTONの調査はそんな高い導入率を示した。だが「ほぼ全員が使いこなせている」と答えた企業は3割にとどまる。導入と定着の間にある溝は、どこから生まれているのか。
法務部門ではAIの利用が広がっている。
MOLTONが上場企業の法務担当者に実施した調査では、89.8%が何らかのAIソリューションを業務で利用していた。一方、「法務部門のほぼ全員がAIを使いこなせている」と回答した割合は32%にとどまった。導入率の高さと、組織への定着度は必ずしも一致していない。むしろ、経営層と現場では見えている景色が全く違っていた。
手直しに10分以上――半数が抱える「使えなさ」
定着を妨げる要因の一つが、AIの出力をそのまま業務に使えないことだ。回答者の52%は、AIが生成した内容の手直しに10分以上かかると答えた。AIを使いこなせない理由としては、「AIが誤情報を出すのが怖い」「自社や業界固有のルールを考慮してくれない」「法改正や最新判例などがリアルタイムで反映されていない」といった回答が挙がった。
この結果からは、AIの操作方法を教えるだけでは定着に十分ではないことが分かる。具体的には誤りを確認する担当者や確認項目を定めること、自社の規定や業界ルールを参照できる環境を整えることなど、出力を業務で扱うための手順が必要になる。利用者個人の判断に依存したままでは、手直しや確認の負担が増え、継続利用につながりにくいからだ。
社内ルールの明確化も課題だ。AIを使いこなせない理由として、「社内のAI利用ルールが曖昧(あいまい)で使いにくい」との回答もあった。入力してよい情報の範囲や、AIの出力を利用できる業務、最終確認の責任者が不明確であれば、利用者は活用をためらいやすい。
管理職と一般従業員の認識差にも注意が必要だ。会社全体で「ほぼ全員がAIを使いこなせている」とした割合は、経営層・部長クラスが53%だったのに対し、一般従業員は19%だった。導入状況を利用者数やアカウント数だけで評価すると、現場の手直し負担や利用上の迷いを見落とす可能性がある。定着度を把握するには、利用頻度に加えて、確認作業の時間や利用を中断した理由なども見る必要がある。
法務部門の調査から見えるAI定着の条件は、利用方法の教育、出力を検証する手順、明確な社内ルールの3点だ。AI導入の成否を判断する際は、導入率だけでなく、現場がどの業務で使い、どの程度の追加作業が発生しているかを継続的に確認することが重要だ。
なお、この調査は2026年6月、プライムやスタンダード、グロースの各市場に上場する企業の法務部門勤務者を対象に実施した。有効回答は206人で、経営層・部長クラスが72人、一般従業員が134人だ。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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