マネーフォワード、2800人の情報をNotionに集約 「AIに聞けば分かる」環境へ
社内の情報が複数の場所に分散していれば、従業員もAIも必要な情報にたどり着きにくい。マネーフォワードは約2800人規模のグループでNotionを活用し、社内情報を集約した。「AIに聞けば分かる」環境づくりをどう進めているのか。
生成AIやAIエージェントを業務に組み込むには、AIが参照しやすい形で社内情報を整理し、信頼できる情報源にアクセスできるようにする必要がある。マネーフォワードはこの課題に目を向け、約2800人規模のグループ全体で情報の集約先を見直した。2025年10月から全社移行を進め、現在は「Notion」と「Notion AI」を全社共通の情報基盤の一つとして活用している。
目指すのは、単なる社内Wikiの集約ではない。情報を探す、業務を進める、AIに相談するといった行動を1つの環境につなげ、AIネイティブな組織づくりにつなげることだ。
マネーフォワードが全社で進めるAI活用の下準備
マネーフォワードでは、グループ内の情報が複数の場所に分散し、必要な情報を探し出したり、社内で共有したりするまでに手間がかかっていた。
この状況は、AI活用を進める上でも課題となっていた。前述の通り、生成AIやAIエージェントに業務をアシストさせるには、社内に蓄積された情報をAIが参照しやすい形で整理し、信頼できる情報源にアクセスできるようにする必要があるからだ。
そこでマネーフォワードは、社内情報を集約する基盤としてNotionを選んだ。製品選定では複数の製品や選択肢を比較し、情報の集約やナレッジ共有に加え、プロジェクト管理やAI活用までを単一のプラットフォームで扱える点を評価した。
Wikiやドキュメント、データベースといった機能に加え、Notion AIによる横断検索や要約、議事録作成、チャットなどを同じ環境で利用できることも選定理由となった。開発速度や管理機能、権限設定、セキュリティ機能も要件として確認した。また、以前からNotionを利用していた従業員がいたことも、全社展開を進める上での後押しとなった。
優先度の高い情報から段階的に移行
2025年10月に全社移行に着手した。Notionのプロフェッショナルサービスの支援を受け、移行する情報やスケジュールを決めたほか、記事の整理や、ポータルや権限の設計も進めた。全ての情報を一度に移すのではなく、まず優先度の高い記事から着手し、2025年12月末までに、全従業員が使える情報基盤として展開した。
現在は営業や開発、コーポレートなどの各部門が利用し、全社ポータルや部門別ナレッジ、プロジェクト管理、議事録、業務手順、各種ドキュメントなどをNotionにまとめている。
情報の置き場所をそろえることで、「どこを探せばよいか分からない」という状態をなくし、部門をまたいだ情報共有もしやすくした。必要な情報を探すために複数のツールや場所を行き来する場面も減らせる。
「情報を探す」から「AIに聞く」へ
次の段階では、Notionに集めた情報を、日々の業務でAIが使える形にしていく。
まず検討しているのが、社内から寄せられる問い合わせにAIが回答するヘルプbotだ。社内情報を基に回答することで、従業員は必要な情報を自ら確認しやすくなり、問い合わせを受ける側の対応も減らせる。
また、社内AIエージェントの一部では、Notionのカスタムエージェントも活用している。Notionに蓄積した情報をAIエージェントから参照できるようにし、情報を探したり、定型的な作業を繰り返したりする場面でAIを使う範囲を広げていく。
まずは、情報を探すのに時間がかかる業務や定型的な作業を対象に取り組み、成果を確認しながら、各部門の業務に合わせたエージェントへ展開していく考えだ。
Notionを「情報とAI」の入口に
マネーフォワードは中長期的に、Notionを「情報を探す」「業務を進める」「AIに相談する」ための共通の入口として位置付ける。
社内情報をNotionに集め、その情報をAIが参照して業務を支援する。さらに、グローバルな非同期コミュニケーションや部門を越えた連携にも活用し、情報検索や定型作業に要する時間を削減する考えだ。
AIを導入する企業が増える一方で、AIに何を参照させるのか、正しい情報にどうたどり着かせるのかという問題もある。マネーフォワードは、AIツールを追加するだけでなく、その土台となる社内情報を1つの場所に集めるところから取り組んでいる。
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