Q1:クラウド型データウェアハウスを利用するメリットは何か?
A1:自社で人員やデータセンタ、もしくはコンピュータ資源を保持しなくとも良いという点、またリソース要求の急激な変化に対応しやすい点がメリットだ。そういった意味では、一年のうち限られた期間だけデータ分析を行いたい、あるいはテスト的にデータ分析を行いたいといった要件にも対応できる。この場合、構築したデータウェアハウスの基盤を安価なアーカイブ用ストレージサービスに保存していくことで、必要になったときにいつでも再開することができる。
事実、主に米国を中心とした先行企業は、下記のような理由からクラウド型データウェアハウスを採用している。必ずしもコストが安くなるという理由ではない点に注目すべきである。ただ、最近では小規模での開始であれば、1時間当たりわずか 0.25ドル(約25円)で利用が可能な製品も登場しており、コスト面でも利用しやすくなってきているといえる。
Q2:クラウド型データウェアハウスは、オンプレミスで構築・運用する場合と比べてコストは安くなるのか?
A2:データウェアハウスの構築では、データモデルや分析環境の設計がかなり大きな比重を占めるため、一概に安くなるとはいえない。ただし、初期費用や運用フェーズ以降のコストについては、大きく削減できる可能性がある。
Q3:あちこちに分散しているデータを、どのようにデータウェアハウスに集めるのか? また、その際にデータ通信やDB登録、更新などの追加料金は発生しないか?
A3:ソースデータがCSV形式になっていれば、クラウド側のストレージにデータをアップロードし、そこからデータウェアハウスのDBにインポートするだけでよい。
アップロードについては、データ転送料金は発生しない。クラウド内のストレージからデータウェアハウスへのデータ転送は、通常無償で行われる。また、DB登録、更新作業についても、簡単なツールを利用してユーザー側で行える。
データウェアハウスには機密性の高いデータが含まれるケースが多いだけに、クラウドで運用するに当たっては、厳重なセキュリティの確保が大前提となる。
対策としては、企業ごとにクラウド内の仮想環境を分離するとともに、暗号化と仮想閉域網により安全な通信路を確保するといった方法がある。また、インターネット経由でデータを送受信する場合には、盗聴やセッション乗っ取りなどの防止対策を施したセキュアなネットワークサービスを選定することが必要だ。
なお、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠したセキュリティ対策を施したクラウド型データウェアハウスもある。ベースとなっている一般社団法人保健医療福祉情報安全管理適合性評価協会(HISPRO)による「支払基金等へのレセプトオンライン請求用IPsec+IKEサービスチェックリスト」は、クラウド上のセキュリティがどうあるべきかを考える上での参考になる。
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