近年報道されている内部不正の事例を基に、4つのケースでの対策例を示す。
前述の経済産業省委託調査によると、ビジネス上有用なノウハウや技術などの営業秘密の漏えいのうち、中途退職者からの漏えいが最も多く、50.3%を占めている。転職や契約期間の終了などにより、従業員が退職するタイミングに特に注意が必要といえる。
従業員によって持ち出される情報は、顧客情報や技術情報などさまざまだが、このような情報を安全に管理するために、前提となるのが重要情報の特定だ。情報は、重要情報と一般情報の少なくとも2つに分け、重要情報が含まれる電子文書には「機密文書」などを記載し社員に分かるようにして管理しなくてはならない。
重要度に応じた文書保護の対策として、文書管理ツールやDLP(Data Loss Prevention)ツールを活用する際も、まずは重要情報の特定が前提となる。また、このように重要情報を特定して安全に管理していなければ、不正競争防止法の保護対象にならない(不正競争防止法の保護対象となるための要件は、経済産業省の「営業秘密管理指針」を参照)。
退職時期が近づくと情報を持ち出そうとする傾向が見られる。長期間にわたり情報を取得していたケースもあるが、不正行為は退職直前まで続くことも多い。従って、退職の数週間前程度からPCなどをシステム管理部門の管理下に置くことが望ましい。また、何らかの形で監視されていると意識させることが抑止につながる。
対策
従業員が退職後に重要情報を持ち出すことを防ぎ、知りえた重要情報が競合他社に渡らないようにするための措置をとる。
対策
なお、2013年8月に公表された「営業秘密管理指針」では、より実効性のある競業避止義務契約に向け、関連部分が改訂されている。
システム管理者は多くの権限を持つため、不正行為を働こうとすると重大な事故を引き起こしかねない。システム管理者の権限を適切に管理し、かつ監視することがポイントとなる。
対策
対策
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