VDIで失敗に陥る最大の原因は、単純にイニシャルコストで物理PCとの比較を行ってしまうことにある。VDIを導入する際には、「それによって何を実現するのか」という目的を明確に定めたプロジェクトとして取り組むことが重要となる。
「必要となるイニシャルコストと年間費用はどの程度か」「年間の業務運営コストはどれくらい削減可能となるのか(運営にもたらす効果はどれくらいか)」「結果としてイニシャルコストの回収にどの程度の期間を要するのか」といった、損益分岐点の見極めや総投資回収シミュレーションに基づいたROIを設計することがプロジェクト成功の道となる。
また、コストを算出する際には、設備投資や運用費用などの直接的なコストだけでなく、「仮に既存のユーザー環境で情報漏えいが発生した場合、どれくらいの賠償金が発生するのか」といったリスクにつながる、見えないコストを顕在化させることも大切だ。
いきなりVDIを大規模に展開するのは、あまりにもリスクが大きい。小さく始めて、効果を実証しながら利用範囲を拡大していくのが望ましい。
とはいえ、あまりにも小規模な導入ではメリットを出しづらく、一定数のユーザーをカバーして利用しないと、イニシャルコストの高さばかりが目立って、立ち消えになってしまうのが現実だ。
そこで検討したいのが、DaaS(Desktop as a Service)の活用である。サービスとして利用できるDaaSであれば、ユーザー数に比例した拡張が容易であり、オンプレミスのVDIにもシームレスに移行することができる。
また、もともとクラウドから提供されるDaaSなら、タブレットなどのモバイルデバイスから利用することに対しても違和感が小さく、VDIに対するユーザーの意識を自然に変えていけるというメリットもある。
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