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「次世代CRM」最前線、顧客エンゲージメントを実現するには?IT導入完全ガイド(2/4 ページ)

» 2015年03月02日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

「何度も言わせるな!」クレーム処理の裏側は?

 さらに、実際の業務がどう変わるかの具体例も見ておこう。図3は従来型のCRMツールで自動車保険の補償請求に関して、「車両修理状況はどうか」という疑問に対して回答する業務の模式図だ。

 この場合、6回の対応履歴が記録されているものの、合計4回の過去履歴をたどらなければ状況が分からず、しかも顧客から対応に不満が表明された事実が抜け落ちている。

顧客対応履歴の確認ケースの例(1) 図3 顧客対応履歴の確認ケースの例(1)自動車事故補償の場合(出典:ベリントシステムズジャパン)

 一方、オムニチャネル化して統合的な情報管理が行える最新ツールでは、図4に見るように、現在継続中の問合せケースなどがリアルタイムに把握でき、問合せの解決状況、アンケートやソーシャルメディアで表明されているクレームの処理状況も同時に把握可能だ。

 問合せに迅速、適切に対応することで、離反リスクを少なくし、満足度を上げることが期待できる。図4下は、この確認作業を行う画面の一例だ。顧客別にこのようなサマリーと詳細が表示できる。

顧客対応履歴の確認ケースの例(2) 図4-1 顧客対応履歴の確認ケースの例(2)自動車事故補償の場合
顧客対応履歴の確認ケースの例(2) 図4-2 顧客対応履歴の確認ケースの例(2)

「次世代CRMツール」の注目機能とは?

 こうしたオムニチャネル化を通して営業やマーケティング施策の適切な立案や実行が可能な新しい機能を備えるのが「次世代CRMツール」の特徴だ。備える機能は多様だが、以下では「ソーシャル」「モバイル」「通話分析」を中心に、ツール進化の一端を紹介する。

ソーシャル活用

 現在では会社や製品、サービスに対する感想や評価はSNSやブログなどへの投稿の形で表出されることが多い。そこにある顧客の声(VOC)は、会社に直接寄せられるものよりも実態を反映している可能性もあり利用価値が高い。

 一方、間違った根拠による批判には適切な情報発信により正していく活動も必要だ。最新ツールには、ソーシャルリスニング機能と、それをベースにしたソーシャルメディアを利用したキャンペーンコンテンツの開発支援機能、複数SNSへの自社からの投稿および投稿管理機能、顧客に直接応対したりサポートを行ったりするソーシャルモニタリング機能、キャンペーンなどの効果分析機能などが備えられるようになった。

ソーシャルを活用するCRMツール機能の例 図5 ソーシャルを活用するCRMツール機能の例(出典:日本マイクロソフト)

 例えば、ソーシャルリスニング機能によって集めたデータを「インジケーター」と呼ばれる分類手法によって仕分けると「製品の購入傾向」や「サポートへの評価」などが分かる他、「ネガ/ポジ分析」と呼ばれる、製品やブランドへの好意や反感なども調べることが可能だ。自社に関する情報だけでなく、競合他社の分析もでき、比較も可能だ。

ソーシャルデータ分析の例 図6 ソーシャルデータ分析の例(出典:日本オラクル)

 また、ソーシャルメディアへの自社からの投稿に際しては、内容に問題がないかを上司などがチェックしてからでなければできないワークフロー機能や、SNS内でアプリが利用できるFacebook用にはCRMツール上でアプリ機能をドラッグ&ドロップして企業ページに組み込み、簡単にキャンペーン用コンテンツなどを作り上げる機能を備えるものもある。

 ソーシャルから情報を集め、またソーシャルを利用して自社から情報を発信していくことが、顧客との関係性をより強めていくことにつながり、キャンペーン効果を上げ、Webサイト、ECサイトへの集客や店舗への集客などにもつながる。ソーシャル関連機能は、今後は絶対に見逃せない。

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