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「次世代CRM」最前線、顧客エンゲージメントを実現するには?IT導入完全ガイド(4/4 ページ)

» 2015年03月02日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]
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オムニチャネルで販売やマーケティング施策につながるツールを選ぶ

 CRMを実施する目的は「業務効率向上」「リスク軽減」「ロイヤリティー強化」「売上向上」の4本柱といわれる。

 次世代CRMツールも目的は同じだが、顧客接点となるチャネルの多さと、それぞれのチャネルからの情報の統合的な管理、そして顧客(特定個人または特定法人)の嗜好やニーズにフォーカスして、複数チャネルから一貫性のあるアプローチで販売やマーケティング施策を実行する機能が特に今後重要になる。

 自社が重視する顧客接点を全部カバーし、必要な分析、レポート機能、具体的な施策実行の手段が標準で備えられているかをチェックすることはこれからますます重みを増すポイントだ。

 また、顧客接点が多様化する中で、顧客の満足度を左右している部分がどこかを把握できるかどうかも大事なポイントだ。顧客は1つのチャネルのみで接触するわけではない。

 購買でも問合せでも、複数チャネルを経由する場合が多い。そのどこかで対応に問題があり、不満を覚えるとすれば、その箇所を改善していく必要がある。顧客が会社に接触して目的を完了させるまでの流れを「カスタマージャーニー」と呼ぶが、その行程で満足度を左右したポイントを分析できる機能があると、業務プロセスの改善に役立つ。

カスタマージャーニーの一例 図11 カスタマージャーニーの一例(出典:ベリントシステムズジャパン)

ソーシャル機能はコストや性能も比較しよう

 ソーシャル関連機能の中で、ソーシャルリスニングの対象となるソースにまず注目しよう。主要なSNS、ブログ、掲示板、ニュースサイト、レビューサイトなどを幅広くカバーする製品を選びたい。

 また、機能を利用する場合のコスト(従量制料金など)も、実際の利用ケースを想定して算出する必要がありそうだ。ソーシャルメディア分析サービスとの比較も行い、コスト最適な利用を図りたい。また、キーワード検索やネガ/ポジ分析などを行うには、データ量が膨大なためパフォーマンスも重要な要素だ。高速データベースを利用すると一般的なデータベースと8倍の差が出るケースもある。

基幹システムやPOS、ECとの連携機能を調べよう

 CRMシステムもBIなどと同様に、いかに新鮮なデータを迅速に反映できるかが重要なポイント。基幹システムやPOSシステム、ECとの連携により、顧客データや商品データ、在庫データなどが迅速に反映できる連携機能(API)を備えているか否かは、顧客対応の品質とスピードに深く関わる。

 CRMの運用法にもよるが、対応の一貫性を求めるなら他システム連携はこれからは必須となるだろう。特にPOSシステムやECのデータ交換仕様はバラバラだが、会員ポイントなどは統合的に一貫性をもって管理できなければならない。リアルタイムに現状を反映する仕組みがとれるかどうか、追加開発などのコストがかかるかどうかを調べておきたい。

利用目的が絞れるならそれに見合う機能特化型のツールも選択肢

 例えば、マーケティングや営業戦略の立案に利用したいなら、分析機能、ビッグデータ対応機能、ソーシャル活用機能、O2O対応機能などが充実したツールがふさわしい。また、コンタクトセンターの効率化、合理化を目指すなら、CTIとの連携機能や、業務監視、把握、モニタリング機能を確認し、対応品質を向上させていけるツールを選びたい。

 同様に、営業活動の効率化に役立てたいなら、SFAとの連携機能が充実したツールが適する。汎用(はんよう)的なCRMツールではなく目的特化型のCRMツール(SFA、コンタクトセンターソリューションの発展形)が適することも多いはずだ。ただし、その場合でも顧客に各チャネルで一貫したアプローチがとれるかどうかは十分に検討しておくべきだ。

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