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» 2015年05月11日 10時00分 公開

クラウドメールは機能性とUIで選ぶIT導入完全ガイド(4/7 ページ)

[土肥正弘,ドキュメント工房]

「人」と「タスク」中心のSNSライクなクラウドメール

 UIに関連した大きな動きとして、2015年4月に日本で発売された「IBM Verse」のコンセプトは見逃せない。

 Verseは同社が従来提供しているSaaS型コラボレーション環境である「IBM Connections Cloud」の一部として提供されるもので、メールとスケジュール機能、ファイル共有、IM、ビデオ通話などの機能を備える。クラウドメールとして注目すべきなのは、従来のNotes/Dominoのインフラを継承しながら、そのフロント部分を新コンセプトで一新したことだ。同社はモバイルデバイスも強く意識したUIの開発に、1億ドルを投資したというだけに、独創的な仕組みが数々盛り込まれている。図3にVerseのメール画面例を示す。

「人」と「タスク」主軸のUI画面例 図3 「人」と「タスク」主軸のUI画面例(出典:日本IBM)

 メールと企業内ソーシャル機能はこの画面に統合されており、画面上部に頻繁に連絡し合うメンバーが自動表示(手動追加や削除は可能)され、メールはフォルダ分類ではなく、内容を示すアイコンに整理されている。

 図4に見るように、「人」や「キーワード」「ファイルやリンクの添付」などにより大量のメールから目的のものを絞り込むことができ、相手を示すアイコンからプロフィール(ビジネスカード)情報を参照し、メール送信やチャットの開始、オンラインステータスの確認が可能だ。更に、メール内容を即座に社内ブログに転載、共有することも可能だ。

 また、あるメールを「タスク」に登録すると、設定期限内にメール送信や転送など必要なアクションを一覧で確認したり、図3最下部に表示されているスケジュールバーで確認したりできる。仕事の優先順位と関係者をベースに、「今やるべき仕事」「これから何をすればよいか」を画面から教えてくれる。

 タスク完了まで「残り時間あと◯分」とアラート表示されることを「大きなお世話」と感じる向きもあるかもしれないが、確かに生産性を絶えず気にさせる効果、忘れないようにする効果があるだろう。自然に会社の文化を変えていく効果も期待できそうだ。

IBM Verseのメールの操作性の例 図4 IBM Verseのメールの操作性の例(出典:日本IBM)

 特に「アクティビティストリーム」と呼ばれる機能は注目だ。人、ファイル、コミュニティー、フォーラム内の特定トピックなどを「フォロー」することで、関心のあるさまざまな情報を時系列で並べて参照し、必要ならメールや投稿などの操作をその画面から行うことができる。SNSの「タイムライン」と同様の機能性を備えるようになったわけだ。

 こうした新コンセプトは、メールを探し、内容を読み、必要な対応を行うために従来必要だった時間を短縮することにつながるとIBMは説明している。ただし、従来のメーラーUIとの違いは大きく、エンドユーザーが上手に利用してくれるかどうかに不安を感じる向きもあるだろう。実はこのUIは従来のNotesベースのメールUIに、ユーザー側で簡単に切り替えることができる。エンドユーザーのリテラシーに合わせてUIを使い分けながら、徐々に新UIに慣れてもらうこともできそうだ。

コラム:IBMのアナリティクス技術ということはWatson採用か?

 画面例から予想されるように、ソーシャルマップなどユーザー個人の交際範囲を学習する機能、タスクの優先順を整理する機能などのアナリティクス技術がサービスの中に組み込まれているのが大きな特徴1つだ。

 ただし、IBM製品だけにWatsonを使ってメール内容を解析しているかと思いきやそうではないそうだ。Watsonが分析してしまったら、私達の自然言語も分析され、公にしたくない交友関係まで明らかにされてしまうなんて可能性もあるかもしれない。

 ひとまずはセキュリティ面を守る上でもWatsonとは別のアナリティクス技術を採用しているようだ。ちなみにVerseは現在SaaS版のみの提供だが、やがてはオンプレミス版のリリースも予定されている。アナリティクスエンジンの搭載など、従来にはない機能追加が必要なため、まだ時間はかかるとのことだ。

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