次に、各クラウドメールのサービス内容を加味して検討してみよう。クラウドメールを単なる社内メールサーバの置き換え先としてのみ検討するのはもったいない。ベンダー側はメール+αの機能を強化すべく、2つの方向性でサービスに磨きをかけている。
1つは、メールシステムとしての基本機能とセキュリティに焦点を当てた標準機能とオプションをラインアップし、その上でグループウェアなど他のツールとの連携機能を加えられるようにする方向だ。メールシステムだけを変えたい場合にはこの方が都合がよいし、無駄な機能を省くことで低コスト化やユーザーサポート、教育の負担を軽減させることができそうだ。一例として、国内メール専業ベンダーのサービス機能を見てみよう(表1)。
メール運用に当たって必要な機能が標準で用意されており、セキュリティ面を強化するオプション機能も大体網羅されているといってよいだろう。
もう1つの方向性は、ビジネス上のコミュニケーションやコラボレーションの多彩なニーズにできるだけ答えようとする方向で、マイクロソフトの「Office 365」とGoogleの「Google Apps」がその典型だ。むしろグループウェアからワークフローなど申請や承認機能を省いたサービスと考えた方がよいほど、多彩な機能がある。
Office 365とGoogle Appsのメール以外の機能を使ったユースケースの例
スケジュール共有や管理、共用設備の予約管理、ファイル共有、電子会議室、社内SNSやチャット、連絡先やアドレス帳共有、利用者リスト共有、Web会議、ドキュメント作成や編集、ポータル構築(プランによって利用できない場合もある)
こうした機能は既存グループウェアや専用ツールで代替可能ではあるが、運用が統合できるメリットは大きい。特にコラボレーション用途では、ファイル共有やSNS、チャット、Web会議などの手段を必要に応じて即座に使い分けることができ、即時性のあるコラボレーションを実現できる強みがある。これら2つのサービス以外でも、スケジューラやアドレス帳、SNSやチャットなどを利用できるクラウドメールがもちろんある。しかしドキュメント作成や編集についてはこれら2つに比肩できるものはない。
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