マイナンバー制度で求められているのは、基本的には「マイナンバーを収集すること」「安全に保管すること」「当局への提出書類に記載すること」の3つだけだ。ここでは特に「安全に保管すること」について考えてみたい。
だがその前に、制度対応のタイムテーブルを確かめておこう。まず最も労力が必要と思われる従業員(パートやアルバイト、役員なども含む)についてのスケジュールだ(図1)。
マイナンバーを記載して書類を作るのは2016年の雇用保険の帳票や中途退職者の源泉徴収票が最初のケースになるはずだ。そのタイミングまでにマイナンバーが収集できていることが望ましい。
マイナンバーは原則として変更されることがないので、収集は1回限りで済む。それを実施するのは、201511月ごろからの平成28年分の扶養控除等(異動)申告書作成のタイミングが最適だ。ここで従業員とその家族を含むマイナンバーが収集できれば、翌年の源泉徴収票作成までの間は、少数の該当ケースに個別に対応することでしのげよう。
約1年をかけて、じっくりとシステム化を含む運用体制を作り上げていけばよい。収集のタイミングは、マイナンバー制度対応の話題がホットなうちが最適で、この時機を逃すと従業員に制度の説明や番号提供の意義を理解してもらうことに余計な労力を使うことになるかもしれない。
また業務委託先など取引先に関しては、2017年1月31日が提出期限の2016年分の支払調書に間に合えばよい。ただし番号通知からあまり時間がたってしまうと、番号通知カードの紛失などで手間が増えることになりかねない。できるだけ早期に収集するようにしたい。基本的には従業員の場合と同様のスケジュールで収集やシステム化を行うとよいだろう。
既存株主への「配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書」や「特定口座年間取引報告書」などへのマイナンバー記載は、2016年1月時点で氏名、住所を告知していれば、3年間は記載しなくてもよい猶予規定がある。
すぐにマイナンバーが収集できなくても猶予期間内に収集してシステムに登録すればよい。ただし新規の株主については支払いの時点で必要になるので、猶予期間中ずっと個別対応するよりは、早期にシステム化しておいたほうが後の憂いがないとはいえるだろう。
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